マンションやビルの大規模修繕工事を検討する際、「何から始めればよいのか」「管理会社に任せてもよいのか」「どの発注方式を選ぶべきか」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、大規模修繕工事の進め方を準備段階から工事完了まで解説します。
発注方式の違いや施工会社の選び方、失敗を防ぐポイントも紹介するため、管理組合や建物オーナーの方は参考にしてください。
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大規模修繕工事の進め方
大規模修繕工事は、建物の状態を把握したうえで修繕内容と予算を決め、施工会社を選定して工事を進めます。
まずは、全体の流れを理解しましょう。
大規模修繕工事とは
大規模修繕工事とは、マンションやビルの経年劣化した部分を計画的に補修し、安全性や機能、資産価値を維持するための工事です。
主な工事内容には、外壁・タイル補修、シーリング工事、屋上やバルコニーの防水工事、鉄部塗装などがあります。
大規模修繕工事は何年ごとに実施するのか
国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、修繕周期は13年が最も多く、12〜15年周期の事例が全体の約7割を占めています。
ただし、実施時期は建物の劣化状況や立地条件によって異なるため、建物診断や長期修繕計画をもとに判断しましょう。
なぜ事前準備が重要なのか
大規模修繕工事では、建物調査や資金計画、住民との合意形成などの事前準備が工事の成否を左右します。
十分に調査せず発注すると、着工後に想定外の劣化が見つかり、追加費用が発生するかもしれません。
管理組合や建物オーナーが主体となり、建物の状態、予算、工事内容、スケジュールを整理しましょう。
大規模修繕工事の進め方①建物調査・現状把握
最初の工程は、建物の劣化状況を正確に把握することです。
調査結果は、工事範囲や工法、予算を決める基礎資料になります。
建物診断を行い劣化状況を確認する
建物診断では、外壁や屋上、バルコニー、廊下、階段、シーリング、鉄部などの状態を確認しましょう。
外壁ではひび割れや塗膜の膨れ・剥がれ、タイルの浮きや欠損を調査し、屋上やバルコニーでは防水層の破断や膨れ、排水口周辺の劣化を確認します。
調査結果をもとに修繕範囲を決める
建物診断の結果をもとに、修繕が必要な箇所と工事範囲を整理します。
安全性に関わる外壁の浮きや漏水につながる防水層の破損など、緊急性の高い部分から優先します。
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大規模修繕工事の進め方②修繕計画・予算を決める
建物の状態を確認した後は、長期修繕計画と修繕積立金を見直し、実施する工事と予算を決めます。
今回の工事だけでなく、次回以降の修繕も考慮することが大切です。
長期修繕計画を確認する
長期修繕計画とは、将来必要になる修繕工事の内容、時期、概算費用を整理し、必要な修繕積立金を設定するための計画です。
材料費や人件費、設備の劣化状況は変化するため、長期的な期間を設定し、工事項目ごとの周期と費用を見直します。
修繕積立金と工事費用を確認する
工事内容を決める前に、修繕積立金の残高と今後の収支を確認します。
現在の積立金で工事費を賄えるか、次回以降の修繕資金を残せるかを検討しましょう。
資金が不足する場合は、工事内容の見直しや一時金の徴収、借り入れなどを検討します。
国土交通省は、修繕積立金を安定的に確保する観点から「均等積立方式」が望ましいとしています。
2024年6月の改定では、段階増額積立方式を採用する場合、初期額を均等積立方式の基準額の0.6倍以上、最終額を1.1倍以内とする考え方が示されました。
工事内容の優先順位を整理する
予算に限りがある場合は、安全性や漏水リスク、劣化の進行度を基準に優先順位を決めましょう。
落下の危険があるタイルや雨漏りにつながる防水層・シーリングの劣化は優先度が高い項目です。
一方で軽微な汚れなどは、建物への影響を確認したうえで延期できる場合があります。
大規模修繕工事の進め方③発注方式を決める
主な発注方式には、管理会社方式、設計監理方式、責任施工方式があります。
費用や管理組合の負担、業務の分担が異なるため、特徴を比較して選びましょう。
管理会社方式の特徴
管理会社方式は、日常管理を担当する管理会社が、修繕計画や施工会社の選定、工事管理を支援する方法です。
建物の管理状況や過去の修繕履歴を把握しているため、管理組合の負担を減らしやすい点がメリットです。
ただし、工事内容や見積もりをそのまま採用せず、金額の妥当性や選定過程を確認しましょう。
設計監理方式の特徴
設計監理方式は、設計事務所やコンサルタントが調査、改修設計、施工会社の選定支援、工事監理を行い、施工を別会社が担当する方式です。
設計と施工を分離できるため、第三者の立場から工事内容や品質を確認しやすいですが、施工費とは別に設計監理費が必要になります。
責任施工方式の特徴
責任施工方式は、施工会社が調査や設計、施工、保証まで一括して担当する方式です。
窓口を一本化できるため、連絡や意思決定を進めやすい特徴があります。
一方で設計と施工を同じ会社が担当するため、見積もりや施工内容を客観的に確認する仕組みが必要です。
発注方式に絶対的な正解はありません。
建物の規模や予算、管理組合の体制を踏まえて選びましょう。
大規模修繕工事の進め方④施工会社を選定する
施工会社は、複数社の見積もり、同規模建物の施工実績、保証内容、安全管理、担当者の対応を比較して選びます。
見積もり金額の安さだけで判断しないことが大切です。
見積もりは複数社を比較する
複数社へ同じ条件で見積もりを依頼し、総額だけでなく工事項目ごとの数量や単価、材料、施工範囲、仮設工事費、諸経費を比較します。
金額が大幅に安い場合は、必要な工事が含まれていない可能性があります。
追加費用が発生する条件や、見積もりに含まれない項目も確認しましょう。
実績・保証内容を確認する
同程度の規模や構造の建物で、大規模修繕を行った実績があるか確認します。
予定している外壁補修や防水、塗装、シーリング工事の経験も重要です。
保証期間や対象範囲、不具合が起きた場合の対応、定期点検の有無も確認して価格と施工体制、保証を総合的に評価しましょう。
大規模修繕工事の進め方⑤工事を円滑に進めるポイント
工事を円滑に進めるには、着工前の住民説明会や工程・品質管理、定期的な進捗確認が重要です。
生活への影響や工程変更を早めに共有し、住民とのトラブルを防ぎましょう。
工事前に住民説明会を開催する
着工前に住民説明会を開催し、工事内容、期間、生活上の注意点を伝えます。
足場の設置期間や騒音や臭いが発生する作業、洗濯物を干せない日、バルコニーの片付け、防犯対策などを説明しましょう。
参加できない居住者には、資料や掲示板でも情報を共有します。
工程管理と品質管理を徹底する
工事中は、工程どおりに作業が進んでいるか、施工品質が仕様書を満たしているかを確認します。
天候や追加工事で工程が変わる場合は、変更理由と新しいスケジュールを共有してもらいます。
使用材料や施工箇所を写真で記録しておくことも大切です。
工事中は定期的に進捗確認を行う
施工会社から定期的に進捗報告を受け、作業内容や問題点を確認します。
追加工事が必要になった場合は、費用や工期への影響を確認し、見積書や議事録に残しましょう。
工事完了時には竣工検査を行い、不具合の手直しを確認してから引き渡しを受けます。
大規模修繕工事の進め方で失敗しないコツ
大規模修繕工事の失敗を防ぐには、十分な建物調査、管理組合の主体的な関与、長期的な資金計画、信頼できる施工会社選びが欠かせません。
注意点を事前に確認しましょう。
調査不足のまま工事を始めない
劣化状況を把握せずに着工すると、追加補修によって予算や工期を超過する恐れがあります。
外壁や屋上など、目視しにくい部分も事前に調査しましょう。
管理会社任せにしない
管理会社の支援を受ける場合でも、管理組合や建物オーナーが工事内容と費用を確認します。
必要性や見積もりの妥当性について、納得できるまで説明を受けることが大切です。
将来を見据えた修繕を考える
今回の工事費だけでなく、次回の修繕や設備更新も含めて計画します。
安価な材料でも、短期間で再施工が必要になれば、長期的な負担が増える可能性があるので注意しましょう。
信頼できる施工会社へ相談する
施工実績や見積もりの明確さ、安全管理、保証、担当者の説明力などを確認しましょう。
建物の状態に合わせて、複数の工法を提案できる会社を選ぶことが大切です。
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ギアミクスは、ロープアクセスを活用した外壁調査や部分的な外壁補修を依頼したい場合に適しています。
大規模な仮設足場を設置せずに高所へ接近できるため、足場を組みにくい場所や部分的な調査・修繕にも活用できます。
現場下見から見積もり、調査、報告書の作成、補修まで相談可能です。
建物の構造や劣化状況を確認し、必要な調査や工事内容をご提案します。
大規模修繕の計画や外壁調査についてお困りの方は、ギアミクスへお問い合わせください。
マンションのメンテナンス方法について詳しく知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。
「マンションのメンテナンス方法とは?重要な理由や適切な時期を解説」
大規模修繕工事の進め方でよくある質問
大規模修繕工事では、実施時期や工期、発注方式、建物の利用可否、修繕会社の選び方が主な確認事項です。
よくある質問についてお答えします。
大規模修繕工事は何年ごとに行いますか?
一般的に12〜15年程度の周期で検討されることがあります。
ただし、一律の実施時期は定められていないため、建物診断や長期修繕計画をもとに判断しましょう。
大規模修繕工事はどれくらいの期間かかりますか?
工事期間は、建物の規模や工事内容、天候によって異なります。
建物調査や設計、施工会社選定、住民説明会などの準備期間も含めて計画してください。
発注方式はどれがおすすめですか?
建物の規模や予算、管理組合の体制によって異なります。
管理会社方式や設計監理方式、責任施工方式の費用と役割を比較して選びましょう。
工事中も建物を利用できますか?
多くの場合、居住や営業を続けながら工事を実施します。
ただし、騒音や臭い、足場の設置、バルコニーの使用制限が生じることがあるので注意してください。
修繕会社はどう選べばいいですか?
施工実績や提案内容、見積もりの明確さ、安全管理、保証などを比較します。
複数社へ同じ条件で見積もりを依頼するのもおすすめです。
大規模修繕工事の進め方を理解して計画的に進めよう
大規模修繕工事を成功させるには、建物診断を行い、修繕計画や予算、発注方式、施工会社を慎重に決めることが重要です。
管理会社や施工会社へ任せきりにせず、管理組合や建物オーナーも工事内容と進捗を確認しましょう。
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