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非常用発電機は消防法に基づく点検が必要!関係法令や必要な届出を解説

非常用発電機は消防法に基づく点検が必要!関係法令や必要な届出を解説

国内の電気事情は海外と比べても優秀で、地震や雷などの自然現象による停電でも、長期的に電力が止まるケースがほとんどありません。

とはいえ、火災時に電力会社の電力供給が途絶え、施設に設置している防災設備が動作しない可能性もゼロとはいえないでしょう。

一定規模の建物には、防災設備の設置が法令によって義務付けられており、災害時に防災設備へ電力を供給できる非常用発電機は人命を助ける役割を担っている設備です。

本記事では、消防法による非常用発電機の決まりや関係法令、設置に必要な届出を解説します。

非常用発電機の設置用途と設置すべき建物

発電機の主な設置用途と基準、非常用発電機を設置する目的について解説します。

発電機の主な設置用途

発電機の設置用途は大きく分けて、常用型発電機(自家発電設備)と非常用発電機(非常用発電設備)の2つです。

常用型発電機(自家発電設備)は、電力消費量の多い工場などでデマンド対策やピークカット目的で設置されます。

非常用発電機を設置すべき建物は、不特定多数の人が出入りする1000㎡以上の建物です。

病院、ホテル、学校、商業施設、工場、オフィスといった大型施設に非常用発電機を設置する場合が多いといえます。

非常用発電機を設置する目的は、防災設備への電力供給だけでなく、停電時における医療機器や設備のバックアップ用電源、災害時のBCP対策などさまざまです。

非常用発電機を導入する企業の増加

近年では、台風の大型化や大雨による災害被害でも事業を素早く復旧するべく、BCP対策として非常用発電機を導入する企業が増加しています。

地震や台風など自然災害が起こりやすい日本において、災害時の停電によるトラブル防止は必須です。

防災設備や人命救助の機器類が停電によって稼働しなくなると、大変な事態になりかねません。

非常用発電機を設置すれば、停電時でも防災設備やコンピューターに電力を供給でき、スプリンクラーや消火栓、非常灯、医療機器などが使用できます。

非常用発電機の関係法令

非常用発電機に関係する法令は、消防法・電気事業法・建築基準法の3種類です。

各法令によって、維持管理に必要な点検や使用用途、出力容量などが義務付けられています。

それでは、各法令と非常用発電機の関係性についてみていきましょう。

消防法

スプリンクラーや消火栓ポンプなど消防設備へ電力供給をおこなう非常用発電機には、災害時でも正常に作動できるよう非常電源としての規制が消防法によって設けられています。

学校、病院、商業施設、映画館、ホテル、工場など不特定多数が出入りする施設(特定建築物)には、消防設備の設置が必要です。

火災などの災害によって、電力会社による消防設備への電力供給が止まった際に備えて、防災用の非常用発電機や蓄電池設備を設置すべきといえます。

一般用・防災用に関わらず、非常用発電機を設置する際には、所轄の消防署へ届出が必要です。

点検は、消防設備点検資格者と第一種自家用発電設備専門技術者の両方の資格を所有している技術者がおこないます。

電気事業法

電気事業法では、常用・非常用に関わらず発電機はすべて電気工作物として扱います。

消火活動や避難に使用する予備電源ではなく、災害後の業務継続や保安用として施設に電力を供給するのも非常用発電機の役割です。

適正な状態での運用や管理、維持を目的として、非常用発電機の設置者は保安基準に従う必要があります。

電気事業法に基づく非常用発電機の設置・維持管理において、設置者は電気主任技術者の選任と届出をしなければなりません。

なお、電気事業法の点検対象は、出力が10kWA以上のディーゼルエンジン式と、ガスタービン式に関しては出力に関係なくすべての発電機です。

電気事業法の点検サイクルは以下を参照してください。

  • 点検サイクル(月次点検):発電機および励磁装置の外観に異常があるかどうか確認する
  • 点検サイクル(年次点検):自動起動と自動停止装置の状態に異常があるか、各々の部品の接続箇所や地面との接地面・接続部分に緩みがあるか、内部蓄電池の漏れや接続と絶縁抵抗値の測定、起動装置と停止装置に異常があるかどうか確認する

建築基準法

建築基準法における非常用発電機は、消防用設備の非常電源と同じく、施設の電力が途絶えても、非常用照明や排煙機などを一定期間作動させる予備電源として位置付けられています。

建築物の所有者や管理者は、敷地内や構造および建築設備を常に適正な状態に保たなければなりません。

建築物だけでなく、電源設備も同様に適正な状態を保てるよう、点検をおこなう必要があります。

建築基準法に基づく非常用発電機の点検では、以下の作業が必要です。

  • 常用照明が正常に点灯するか確認(40秒以内の電圧確率および30分以上の連続運転)
  • 液漏れを確認
  • 蓄電池触媒栓の有効期間を確認
  • 保守報告書への記載

なお、点検対象となるのは電気事業法と同様に、出力が10kWA以上のディーゼルエンジン式とすべてのガスタービン式発電機です。

実施は一級・二級建築士、建築設備検査員、昇降機検査員、防火設備検査員などの資格保有者がおこないます。

非常用発電機の設置に必要な届出

非常用発電機を設置する場合、関係省庁や自治体に対して、工事の開始前または完了後の届出が義務付けられています。

消防法施行令に基づく消防法、経済産業省令に基づく電気事業法、国土交通省の建築基準法施行令に基づく基準法、各自治体が定めている火災予防条例などの届出が必要です。

下記が非常用発電の設置に必要な届出となります。

  • 消防法:消防用設備等設置届、電気設備設置届、工事整備対象設備等着工届、危険物貯蔵所設置許可申請
  • 電気事業法:主任技術者選任届、技術基準適合維持保安規程届
  • 建築基準法:建築確認申請、完了審査申請
  • 火災予防条例:発電設備設置届、少量危険物貯蔵届、大気汚染防止法工事計画(変更)届

届出に不備がある場合、再度提出を求められるため、事前に確認しておきましょう。

※必要な届出についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
【消防法参照】非常用発電機を設置の際に必要な届出とは?

非常用発電機の消防法で定められている点検の種類と項目

消防法で定められている非常用発電機に点検には、総合点検・機器点検の2種類あります。

総合点検は1年に1回、総合的な機能確認と30%以上の実負荷試験を実施。

機器点検は6カ月に1回、設備の正常動作確認や機器類の損傷を確認し、結果を報告する義務があります。

非常用発電機の点検項目は以下です。

  • 疑似負荷試験装置や実負荷などによって、定格回転速度および定格出力の30%以上の負荷で必要な時間連続運転をおこない確認する
  • 稼働中の過剰な振動、発熱、異臭、漏油などがなく、正常に運転しているか確認する
  • 稼働中の煙突から出る排気が極端な黒色、白色ではないか確認する
  • 稼働中に原動機排気出口から建物などの外部にある排気系統に排気ガスの漏れがないか確認する

上記の項目を点検時には確認されます。

非常用発電機の容量は消防法に基づいて計算する

防災用の非常用発電機は、一般用の非常用発電機に比べて、必要とする容量が大きくなります。

BCP対策といった目的で設置する一般用の非常用発電機の容量は、停電時でも事業活動に支障が出ないように設置者自身が任意で決めることが可能です。

一方で防災用の非常用発電機の場合、人命に関わる防災設備への電力供給を目的とているため、最悪の事態を想定して容量を算出。

たとえば、施設内にスプリンクラーと消火栓ポンプ、非常用エレベーターが設置してある場合、同時に電力を供給しても耐えられる容量に消防法で定められた計算式で選定します。

非常用発電機における消防法の改正

平成30年6月に消防法施行規則等が改正され、年に1回の実施が義務付けられていた負荷試験の取り扱いが変更となりました。

改正によって、変更となった要件で特に重要なポイントは以下の4つです。

  • 負荷試験に加えて内部観察等を点検方法として採用
  • 負荷試験および内部観察等の点検サイクルを6年に1度へ延長
  • ガスタービン式発電機の負荷試験は不要
  • 換気性能点検は無負荷運転時に実施

※負荷試験の種類や改正ポイントについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
非常用発電機の負荷試験は6年に1度!点検する必要性や改正内容とは?

消防法が改正となった背景

消防法における非常用発電機の点検方法が改正された背景には、負荷試験の実施方法と災害時の不具合があります。

負荷試験を実施する際、商用電源を止めなければ実負荷による点検ができない場合がありました。

さらに、非常用発電機の設置場所によっては、疑似負荷装置を配置できず、装置を利用した点検ができない場合もあります。

そこで、従来の点検方法を科学的に検証し、問題点を解決できるように改正されたのです。

加えて、日本は台風や地震が発生しやすい地形であり、大雨による浸水被害が年間を通じて頻繁に起こります。

東日本大震災や熊本地震といった大災害時に、作動しなかった非常用発電機が数多くあり、社会問題となりました。

マスコミや各市議会でこの問題が取り上げられ、現在では負荷試験の報告義務を厳しく取り締まってします。

新しい法令で誤解しやすい内容

消防法の改正によって、6年に1度の負荷試験だけおこなえば問題ないと誤解している方もいるかもしれません。

しかし、6年毎の負荷試験は必要なものの、予防保全策・負荷試験・内部観察のどれかひとつは必ず毎年おこなう必要があります。

つまり、非常用発電機の負荷試験は予防保全策を実施することを前提に6年に1度の点検周期です。

非常用発電機の点検は、災害時でも正常に作動させるため毎年実施しなければなりません。

非常用発電機の負荷試験を依頼する業者の選び方

非常用発電機の負荷試験は、依頼する業者によって作業スピードやアフターサービスなどが大きく異なります。

非常用発電機に特化した専門業者なら、負荷試験の手続きがスムーズに進むでしょう。

さらに、故障時の現場調査や修理対応をおこなっている業者に依頼すれば、トータルの費用や手間を軽減できます。

業者へ修理や修繕を依頼する際には、費用だけでなく、実績や評判、保証サービスの有無なども確認しておくと安心です。

※非常用発電機における点検内容や費用について知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
非常用発電機は点検が義務付けられている?点検内容や費用、確認事項を解説

消防法に関する届出を理解して非常用発電機を正しく管理しよう

本記事では、消防法による非常用発電機の決まりや関係法令、設置に必要な届出を解説しました。

非常用発電機を設置するには、消防法・電気事業法・建築基準法・火災予防条例で定められている書類を関係省庁や自治体に届出しなければなりません。

また非常用発電機を設置すると、毎年の定期点検や負荷試験が義務付けられているため、事前に依頼できる業者を見つけておくと安心です。

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