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【消防法参照】非常用発電機を設置の際に必要な届出とは?

【消防法参照】非常用発電機を設置の際に必要な届出とは?

「非常用発電機を設置したけど、消防法の届出って必要なのかな…」
「届出はどのタイミングで提出するものかな…」
とお困りの方はいませんか。

非常用発電機を設置したら、消防法に基づき消防署や行政への届出が必要となります。
しかし、さまざまな書類や届出先で戸惑う方も多いでしょう。

この記事では、非常用発電機の設置時に提出しないといけない届出について解説しています。
届出をうっかり忘れてしまうと罰則があるので、注意が必要です。
非常用発電機の導入を検討中の方は、ぜひ最後までご一読ください。

発電設備設置の際には、消防法に関する届出が必要

非常用発電機を設置したら、消防法により届出及び申請が必要です。
ここからは、提出しなければならない届出について解説します。

発電設備設置届とは

どのような使途でも、設置型の発電機には「発電設備届」が必要です。
遅くとも設置工事が開始する3日前までに、管轄の消防署へ届出を提出しましょう。

届出の際に、設置する発電機の配置や何の設備と連関しているかの単線結線図も必要となります。
発電機を防災目的で使用する場合には、発電機の仕様書、出力容量計算書、建物の平面図・立面図を添付してください。

消防法に関する届出・申請

消防法では、消防用設備などの非常電源として設置される自家発電設備に関して、設置工事の着手前後に各地域の消防庁に届出を行うことが課せられています。

届出は下記の4つです。

  • 工事整備対象設備等着工届
  • 消防用設備等設置届
  • 電気設備設置届
  • 危険物貯蔵所設置許可申請

それぞれの内容について解説します。

工事整備対象設備等着工届

消防用設備などの工事について、工事着工の10日前までに設備の種類などの必要事項を届け出ましょう。
当該消防用設備等に非常電源として発電機を設置時には、関係設備共通の非常電源関係図書を添付します。

消防用設備等設置届

消防用設備等を設置する場合、工事が完了した日から4日以内に届け出が必要です。
非常電源の用途で消防用設備等に発電機を設置する場合は「非常電源(自家発電設備)試験結果報告書」を必ず添付しましょう。

電気設備設置届

発電機の容量に関係なく仕様書・平面図などを添付。工事開始3日前までに届け出ましょう。

危険物貯蔵所設置許可申請

非常用発電機の燃料として指定数量以上の石油・ガスなどを貯蔵か取扱う場合、その区分に応じて市町村長か都道府県知事、総務大臣に申請し許可を受けてください。
指定数量を下回る場合(5分の1以 上指定数量未満)は、少量危険物設置届の提出になりますので注意してください。

次からは、消防法以外の非常用発電機の届出に必要な関係法令を解説します。

電気事業法に関する届出・規定

電気事業法では、一定の出力以上の発電設備は自家用電気工作物として、電気事業法の規制を受けます。
設置する際には、経済産業省令に基づく下記の3つの届出をして規定を守りましょう。

  • 事業用電気工作物の維持/技術基準適合維持(法第39条)
  • 保安規程の制定、届出及び遵守(法第42条)
  • 主任技術者の選任及び届出(法第43条)

建築基準法に関する申請

建築基準法では、建築確認が必要な建築物に発電機を設置する場合は、建築確認申請に関して関係図書の添付が課せられています。

また、建築工事完了後の完了検査において各設備の試験記録・検査記録などの提出を求められる場合もあるので注意が必要です。

火災予防条例に関する届出

火災予防条例では、内燃機関を原動力とする発電設備を設置する場合や指定数量未満の危険物を貯蔵・取り扱う場合に消防機関への下記の2つの届出が必要です。

  • 発電設備設置届
  • 少量危険物設置届

大気汚染に関する届出

大気汚染防止法では、ばい煙発生施設とされる常用および非常用発電機が下記のように規定されています。

  • ガスタービン及びディーゼル機関燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり50ℓ以上であるもの
  • ガス機関及びガソリン機関燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり35ℓ以上であるもの

該当する機種の場合、管轄の都道府県知事に工事着工事前届が必要です。
また届出後、一定期間(60日間)は工事に着工してはいけないので注意が必要です。

非常用発電機その他関係法令

上記以外にも、設置状況や発電機の機種や容量などに比例して、下記の法令により規制を受ける場合もあります。

  • 電気工事士法
  • 騒音規制法
  • 振動規制法
  • 労働安全衛生法令

騒音規制法や公害防止条例は、各自治体によって規制が異なるため事前に確認してみてください。

非常用発電機の設置基準について

ここからは、非常用発電機の設置基準についてご紹介します。

発電機の設置用途

発電機の設置用途は主に2つあります。

  • 自家発電設備 電力消費量の多い工場などでデマンド対策やピークカット目的として設置
  • 非常用発電設備 火災時に消火活動を行う防災設備や停電時に医療機器や生産設備、エレベーター設備などのバックアップのための電力供給

近年では大型台風や大雨、地震などの災害時の停電に備えるためのBCP対策として、非常用発電機を設置する企業も増加しています。

非常用発電機が設置される建物

非常用発電機が設置される建物は、学校や病院、マンション、商業施設、大手企業のオフィスや火災の危険性が高い工場などの大型施設が多いのが特徴です。

非常用発電機が正常に稼働すれば、未曾有の事態でも防災設備やコンピューターに電力供給を行えます。

例えば、スプリンクラーの作動や非常用消火栓、避難経路を示してくれる非常灯、病院内の医療機器が停電時でも使用できます。

非常用発電機の設置時に必要な届出・消防法

ここからは、法令ごとに非常用発電機の設置の際に必要な届出や点検対象、点検サイクルなどをさらに詳しく解説していきます。

まず、消防法においては、消火栓ポンプやスプリンクラー設備、非常用エレベーターなどの消防用設備の非常電源としての規制が設けられています。

対象・届出

学校や工場、映画館、商業ビル・テナントビル、病院、特別養護老人ホームなど延べ面積が1000平方メートル以上の規模を有し、不特定多数の人が出入りする施設には消防設備を設置する義務があります。

防災用か一般用かに関わらず、所轄の消防署への届け出が必要となります。

点検サイクル

年に2回の点検が義務付けられています。

  • 機器点検(6カ月に1回) 設備の正常動作確認のほか、機器損傷の有無の確認をしてその結果を報告
  • 総合点検(1年に1回) 機器の総合的な機能点検(予熱栓や冷却水ヒーター、点火栓やオイルポンプを確認)、30%以上の負荷試験

30%以上の擬似的な負荷をかけた点検の結果を報告しない、または虚偽の報告をした場合は、消防法第44条の規定により30万円以下の罰金または抑留の罰則が定められています。

消防法の改正で負荷試験が6年に1回

平成30年6月に消防法施行規則等が改正されました。
改正に伴い、毎年必ず実施が義務付けられていた負荷試験の取扱いが変更されました。

非常用発電機における消防法改正のポイントは以下の通りです。

  • 負荷試験に代えて内部監察などを追加
  • 最長6年に1回の負荷試験に延長 ※ただし、予防的な保全策が毎年講じられていることが条件
  • ガスタービンを用いた自家発電設備の負荷試験は不要
  • 換気性能点検は無負荷運転時に実施

▶非常用発電機の負荷試験に関して、さらに知りたい方は下記の記事を併せてご覧ください。
非常用発電機の負荷試験は6年に1度!点検する必要性や改正内容とは?

消防法以外にも必要な届出①電気事業法

電気事業法においては、常用か非常用に関係なく発電機は、全て「電気工作物」として取り扱われています。

適正な状態で運用や維持、管理をすることを目的として、設置者が保安基準に適合することが課されています。

対象・届出

エンジンを搭載する発電機、10kw以上のものは事業用電気工作物の対象です。
ガスタービン式の発電機や非常用発電機は、出力容量に関係なくすべて点検対象なので注意しましょう。

設置・維持管理には電気主任技術者もしくは電気管理技術者の選任と届出が必須となります。

点検サイクル

月に1回、発電機並びに励磁装置の外観の確認をします。

さらに、1年に1回は下記の内容を確認する必要があります。

  • 自動起動と自動停止装置の状態に異常はないか
  • 部品との接続箇所、地面との接地面に緩みがあるか
  • 内部蓄電池の漏れ、接続と絶縁抵抗値の測定
  • 起動装置と停止装置の動作に異常がないか

消防法以外にも必要な届出②建築基準法

国土交通省の建築基準法施行令に基づく基準法では、建築物の所有者や施設管理者が、その建築物の敷地や構造、建築設備を常に適法な状態に維持することが義務づけられています。

建築物自体に加えて電源設備についての検査も必要です。

非常用照明は建物内の全箇所に対して実施する必要があるため、電球などは全て取り付けられた状態で検査しなければならないので注意してください。

対象・届出

内燃機関(エンジン)を搭載する発電機、10kw以上のものでガスタービン式の発電機は全て点検対象です。
特殊建築物に関しても確認申請、確認審査並びに検査の届出が必要となります。

検査は、一級または二級建築士か建築設備検査員、昇降機検査員、防火設備検査員などの資格保有者が行うこととなっています。

点検サイクル

特定行政庁が定めている6ヶ月から1年に1回が目安となります。

下記の点検作業が必須です。

  • 非常用照明の正常点灯確認
  • 蓄電池触媒栓の有効期限
  • 液漏れなどの確認
  • 保守報告書の記載

非常用発電機と関わりがある機器

上記の他にも、非常用発電機と関わりがある機器の届出についてご紹介します。

危険物貯蔵所

大型の常用発電機で、軽油・灯油1000ℓまたはA重油2000ℓクラスのものが対象。
工事着手の30日前に管轄の市町村長か都道府県知事または総務大臣に申請し許可を受けます。

少量危険物貯蔵

BCP用途の非常用発電機や長時間形の非常用発電機などの発電機が主な対象。
指定数量を下回る場合(5分の1以上指定数量未満)は管轄の市町村への提出が必要です。

蓄電池設備設置届

工事開始3日前までに管轄の消防署へ提出しましょう。
設備の撤去におきましても同様に廃止の申請が必要となります。

ばい煙申請

1時間あたり50ℓ以上の燃料消費をする発電機は、経済産業省へ提出するばい煙申請が必要となります。

配管圧力試験報告書

BCP用途などで災害停電時の長時間運転を仮定して設置された非常用発電機は、燃料タンク搭載では稼働時間が足りず、別置燃料タンクにされる場合があります。

新設で設置をする際には、別置き燃料タンクと発電機を繋ぐ燃料配管の気密試験と結果報告が求められるでしょう。

▶非常用発電機のメンテナンスの必要性について知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
非常用発電機になぜメンテナンスが必要?点検項目や費用なども解説

まとめ 非常用発電機を設置を検討中なら、消防法を確認しよう

非常用発電機と消防法に関する届出についてご紹介しました。
非常用発電機にはさまざまな関係法令により設置基準や届出、点検などが定められてます。

大事な人命に関わることですので、法令違反がないように設置や管理をすることが非常に重要です。
また、信頼できる専門業者に依頼し定期的な点検を怠らないようにしましょう。

非常用発電機の設置や負荷試験のことでしたら、ギアミクスにご相談ください。

ギアミクスではロープアクセス事業や電気工事事業を行っており、全国の企業とも取引しているため、信頼性の高さが魅力ですよ。