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特高受電とは?特高受変電設備の構成やメンテナンスについて徹底解説

特高受電とは?特高受変電設備の構成やメンテナンスについて徹底解説

電力会社が供給する電力は、電圧によって「低圧」「高圧」「特別高圧(特高)」に分けられるのをご存知でしょうか。

その中でも特高は、大規模ビルや工場など一度に大量に電気を使う施設で利用されています。

特高を利用する場合、高い電圧を電力会社からそのまま受電し、施設内で電圧を変換する必要があります。

その際に必要なのが特高受変電設備です。

この記事では、特高受電の特徴や特高受変電設備の役割や構成、定期メンテナンスの詳細について分かりやすく解説いたします。

特高受電の利用をご検討の方は、ぜひ最後までご一読ください。

特高・高圧・低圧の違いは?

まずは、特別高圧(特高)、高圧、低圧の特徴についてご紹介してます。

特別高圧とは

特別高圧は通称「特高」と呼ばれ、7,000Vを超える全ての電圧を指します。
国内で主に利用されているのは、20kV、30kV、60kV、70kV、140kVで、170kVは超高圧と区分されます。

2,000kW以上の大量の電気を使う大規模工場やビル、デパートなどの施設では、特別高圧での受電が求められています。

特別高圧は、専用の送電線を直接変電所から敷地内の工場や施設に取り込むための「特高受変電設備」と呼ばれる機器を設置しなければなりません。

受変電設備の設置には、電気工事士や電気主任技術者といった特別な資格を有した専門業者へ依頼することが必須です。

つまり、特別高圧の受電設備は、高価で管理に手間がかかります。
そのため、高圧や低圧の契約と比較して電力料金単価は格安に設定されています。

高圧とは

高圧とは、50〜2,000kWの電気を利用する中小規模の工場や施設、病院、学校などの施設向けの契約です。

6,000V以上の高圧で受電するため、特別高圧と同じく敷地内に「キュービクル」と呼ばれる高圧受電設備を設置することが必須です。

キュービクルの設置も、特別な資格を有した専門業者への外部委託が必要です。

低圧とは

低圧とは、50kW未満の一般家庭や飲食店などの小規模な店舗、事務所向けの契約です。

100Vまたは200Vの電圧で、電圧を変更することなくそのまま使えるように配電されます。

特別な受変電設備の設置が必要ないため、電力料金単価は特別高圧や高圧と比較して割高に設定されています。

特高の受電が2000年から自由化

従来までは、国が定めた電力会社しか利用できず、電力会社の選択肢がありませんでした。
しかし、2000年3月から「電力の小売自由化」が始まりました。

小売自由化により、特別高圧を契約している大規模工場やビル、デパートなどの施設は電力会社を自由に選べるようになりました。

さらに、東京電力や関西電力などの旧一般電気事業者だけでなく、電力会社以外の業界に新規参入した「新電力」と呼ばれる電力会社からも電気を購入するという選択肢が増えました。

小売自由化で自社に最適な契約や料金プランの見直しができ、さらに新電力の参入により価格競争が起これば、コスト削減のメリットも期待できます。

特別高圧の小売自由化の後に、2004年4月・2005年4月に高圧契約の中小規模工場や施設、ビルへと小売自由化を拡大していきました。

そして、2016年4月1日からは低圧契約の一般家庭や事務所でも電力会社を自由に選べるようになりました。

各家庭でもライフスタイルに合わせた契約や料金プランを選べ、電気料金の節約が実現可能です。

電力供給の仕組み

電力会社の選択肢の広がりについて解説しましたが、特別高圧と高圧、低圧契約ではいくつかの違いがあります。

まずは、特別高圧、高圧、低圧それぞれの電力供給の仕組みについてご紹介します。

引用:電気事業連合会

最初に、発電所で発電された電力が送電所に送り出されます。

送電された時点では数十万Vに上る電圧も、工場や施設のような特別高圧施設へ供給する一次変電所や中間変電所では、数万〜15万4,000Vまで減圧されます。

変電によって徐々に電圧を下げられて、中小規模の施設や工場、一般家庭の需要家に届けられます。

受変電設備の役割とは?

特別高圧を受電するためには、専用の送電線を直接変電所から敷地内の工場や施設に取り込むための特高受変電設備を設置しなければなりません。

受変電設備とは、発電所から変電所を通して送電される高圧の電気を受け入れて、各需要家が使用できる電圧に変換するための設備一式を指します。

受変電設備はいわば、敷地内にある小規模の変電所のようです。

受変電設備の役割は、電圧を下げるだけではありません。
予期せぬ漏水や落雷などの配電にトラブルが起きた際に、接続された負荷設備を保護し波及事故を防ぐ役割も担っています。

受変電設備における波及事故について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
キュービクルの波及事故とは?原因や事例、予防方法などを解説

特高受変電設備の構成とは?

特高受変電設備の構成は以下の通りです。

  • 特高変圧器
  • 高圧盤
  • ガス絶縁開閉装置(GIS)
  • 固体絶縁スイッチギヤ(SIS)
  • 真空遮断器(VCB)
  • 避雷器(LA)
  • 地開閉器(ES)
  • 断路器(LS)

これらの機器はキュービクル内に設置されます。

受変電設備の構成についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
高圧受電設備とは?機器構造や点検する必要性をわかりやすく解説

契約電力の決め方

毎月の基本料金に影響する契約電力も、特別高圧と高圧、低圧では異なります。

最初に、低圧電力の契約電力は以下2種類から選ぶことができます。

  • 負荷設備契約:使用する空調や機械などの電気設備の総容量の合計をもとに契約電力を算定
  • 主開閉器契約:主開閉器(メインブレーカー)の容量(定格電流値)をもとに契約電力を算定

次に、高圧電力(小口)では最大値電力をもとにした「実量制」によって決定します。

最後に、特別高圧では「協議制」となっています。

協議制とは、工場や施設である需要家と電力会社の協議によって契約電力が決まる方法です。
ただ協議制においても、契約電力を決める主な要因が最大値電力であることに変わりありません。

特高受変電設備のメンテナンスは専門業者に

特高受変電設備の定期的な点検は、安全に運用する上で非常に重要です。
ここからは、点検に関する概要や注意点をご紹介します。

特高受変電設備には定期的なメンテナンスが重要

特高受変電設備はいわば、施設の「心臓部」です。
その心臓部を安定かつ安全に運用するためには、設備の定期メンテナンスが非常に大切です。

受変電設備には、受変電設備点検という法定点検があります。

電気事業法の保安規程作成・届出・遵守義務(第42条)により、設置者には設備の保安管理を行うことを課しています。

そして、設置者が受変電設備の維持・運用を保安するために設定した保安規程に則って点検することを義務化しています。

例えば、定期的な特高受変電設備点検を怠っており、配電トラブルなどが起こったと想定します。

不運にも特高受変電設備が損壊した場合、敷地内が停電したら工場の生産ラインが停止したり、大型商業施設の営業続行が難しかったりと業務に支障が出るでしょう。

敷地内だけでなく、設備周辺の一般家庭や病院、学校などの停電を引き起こし、波及事故に発展する可能性もあります。

結果、企業に打撃を与えるほどの多大損害賠償を請求される場合もあるかもしれません。
特高受変電設備の定期メンテナンスは必ず実施しましょう。

自家用電気工作物の保安点検

自家用電気工作物とは、電気事業法第38条により「電気事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物」と定義されています。

つまり、特別高圧や高圧を受電する電気設備を指します。
一例は以下の通りです。

  • ビル、工場、病院、学校、建設現場等の電気設備
  • 電力会社等から600Vを超える電圧で受電して電気を使用する設備
  • 発電設備(小出力発電設備を除く)

受変電設備などの自家用電気工作物の設置者(所有者)は、公共の安全の確保と環境の保全を図るために、自己責任のもとで電気の保安を確保する義務が課せられています。

①電力会社等が事業用電気工作物(火力発電所等)を設置する場合は、一定の技術基準に適合するように設置しなければなりません。
引用:電気事業法第39条

②実態に即した保安対策を行う場合、電力会社等は保安規程を定めて、経済産業大臣に届出をしなければなりません。また、設置者と従業員はその保安規程を遵守しなければなりません。
引用:電気事業法第42条

③電力会社等が事業用電気工作物(火力発電所等)を設置する場合は、保安の監督を行う主任技術者を置かなければなりません。
また、選ばれた主任技術者には適切に業務を行ってもらうための誠実義務を課しています。
引用:電気事業法第43条

原則として設置者が受変電設備の維持・運用を保安するための保安規定を作成します。
そして、電気主任技術者を選任して保安業務を行うことになっています。

受電設備を管理するのに必要な資格

特別高圧は非常に高い電圧を、変電所から直接施設や工場に引き込んで使用するため、波及事故や災害防止、安全確保のために規制が厳しく定められています。

電気事業法第43条により、受変電設備を設置する場合は保安の監督を行う電気主任技術者を置かなければならないと義務付けられています。

電気主任技術者とは、自家用電気工作物である電気設備の点検や保安・管理ができる有資格者を指します。

電気主任技術者の資格には、以下の3種類あります。

  • 第一種 全ての電圧
  • 第二種 170kV未満の電圧
  • 第三種 50kV未満の電圧

中小規模の施設や学校、病院などは6.6kVなので「第三種電気主任技術者」で大丈夫です。
大規模な工場などでは高圧の電圧66kVのため、「第二種電気主任技術者」が必要になります。

原子力発電所など大量の電力が消費される施設では、「第一種電気主任技術者」が必要です。

特別高圧の受変電設備には、電気主任技術者の有資格者のみが近づくことができます。
専門知識のない人が、設備に近づいて想定外の事故に巻き込まれることを防ぐためです。

電気主任技術者の有資格者を選任するのが困難な場合、外部に委託することも可能です。

「電気事業法施行規則」にある一定の要件を満たす場合に限って、保安協会などの外部機関に電気主任技術者の業務を委託する「外部委託承認制度」が設けられています。

まとめ

特別高圧を受電をするには、電圧を施設内で変換するための特高受変電設備の設置が必要です。
受変電設備は電気主任技術者による定期メンテナンスが課せられています。

定期メンテナンスは、工場やビルなどの電気工作物の安全を確保するうえで非常に大事です。

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