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10分でわかる受電設備!基礎知識から法定点検までを徹底解説

10分でわかる受電設備!基礎知識から法定点検までを徹底解説

受電設備(受変電設備)の1種としてイメージしやすいのは、ビルの敷地内にある、金網に囲まれた立方体の設備です。

簡単には近付けないようになっており「あれは何なのだろう?」と不思議に感じた経験のある方も多いのではないでしょうか。

今回は受電設備の種類や特徴について解説します。

耐用年数や法定点検についても解説しますので、あわせてご参考ください。

受電設備は電気の効率的な利用のためにある

受電設備は水道の蛇口のような役割を担っています。

水道の蛇口がなければ、必要の有無に関わらず水が出続けます。

さらに、圧力の調整ができず、コップに水をそそぐのも難しいでしょう。

しかし、蛇口があれば水圧と水量を調整でき、水を効率よく利用できます。

受電設備は、電力会社から送られた電気の電圧を調整し、使用するビルや工場にあった電気を供給できる設備です。

受電設備の種類と特徴とは?

受電設備は下記の2種類があります。

受電設備の種類による違いを解説します。

受電設備ごとのメリットやデメリットについても参考になさってください。

受電設備の種類1.解放式

開放型は、基礎でフレームを作り、フレーム内に受電に必要な機器類を設置した受電設備です。

屋内に設置される場合が多く、主に大容量の電力が必要な工場で活躍します。

目視点検のしやすさや増設のしやすさがメリットです。

一方で、設置に必要な工期が長く、コストが高くなってしまうのがデメリット。

さらに、品質が工事担当者の腕に左右されたり、充電部が露出しており故障リスクが高かったりといった心配もあります。

受電設備の種類2.キュービクル式

キュービクル式は、金属製の箱内に受電用の機器類を設置した受電設備です。

主に中規模の電力消費が求められる建物で使用され、屋内外問わず設置できます。

キュービクル式は、工場で組み立てられるため品質が安定しやすく、工期が短いため低コストなのがメリット。

受電用の機器が金属製の箱内にあるため、感電リスクが低く、点検の際も安心です。

デメリットは交換に手間がかかる点です。

組み立ては工場で行われるため、交換・増設には事前準備を要します。

近年ではキュービクル式の受電設備が主流

解放式の受電設備は15年ほど前までは主流でしたが、保守点検時は充電箇所に触れて感電するリスクがありました。

さらに設置した環境に左右されがちな故障リスク、設置に必要なコストなど、解放式はキュービクル式と比較してデメリットが多く存在しています。

そのため、近年では低コストで故障リスクが低く、感電の心配が少ないキュービクル式が主流です。

しかし、キュービクル式の受電設備は全ての建物に合うというわけではありません。

解放式とキュービクル式、それぞれのメリットとデメリットを踏まえたうえで設置を検討しましょう。

受電設備の構成一覧

受電設備は以下の機器で構成されています。

  • 区分開閉器:電気を受け取っている側で事故が発生した際、電力会社に事故が波及するのを防ぐのが役割。電力供給側と受電側を開閉によって区分する装置。
  • 断路器:保守・点検の際に電源と回路を切り離すのが役割。電力回路に電気が流れていない状態でも回路の開閉が可能。
  • 遮断機:故障や事故によって、回路内に発生した過電流を遮断するのが役割。万が一のための保護装置。
  • 変圧器:電力会社から送られた電気の電圧を調整するのが役割。電力会社からは6,000V以上の電圧で送電されるため、変圧器を活用して適切な電圧に整える必要がある。
  • 保護継電器:電圧・電流が急激な変化を検知するのが役割。異常を検知すると、遮断機に遮断指示を出してくれる。
  • 制御装置:受電設備を監視するのが役割。同時に制御する役割も担っている。
  • 低圧配電設備:電圧を低くして、必要な回路に電気を配るのが役割。
  • 計測機器:電圧計・電流計・電力計などの計測器

一般家庭に送電されている電気は、電柱に設置された変圧器で100Vに変圧されています。

家電も100V向けに製造されたものを使用するのが一般的です。

しかし、ビルや工場では200V電圧が必要な場合があります。

そのため、一般家庭とは違い、独自に電気の変圧ができる受電設備が必要です。

受電設備の耐用年数はどれくらい?

受電設備は機器類の丁寧なメンテナンスをしていても、耐用年数があります。

なぜなら、技術の進歩と共に、より効率的に電気を使用できる機器類が新たに開発にともない、部品の製造が終了するためです。

冷蔵庫・洗濯機・湯沸かし器など、身近な家電で考えるとわかりやすいでしょう。

家電は一定の期間を過ぎると、部品の製造が終わってしまいます。

部品の製造が終われば、故障した際には買い替えが必要です。

受電設備も同様に、耐用年数を目安に交換を検討しなければなりません。

受電設備の耐用年数1.基本的には15年

受電設備の機器類の法定耐用年数は15年です。

受電設備は定期的なメンテナンスによって耐用年数よりも長く使うのは不可能ではありません。

しかし、近年ではトップランナー制度に適合した機器類の開発が進んでいます。

トップランナー制度とは、省エネ性に優れた製品の開発を促進する制度のこと。

15年が経過した時点で、メンテナンスを繰り返して使用を続けた場合と、新たな機器に交換した場合のランニングコストを天秤にかけながら検討しましょう。

トップランナー制度の詳細については後述する受電設備の耐用年数が超過したときは交換がおすすめで詳しくお伝えします。

受電設備の耐用年数2.計器用変圧器VTは25年

計器用変圧器VTとは、高電圧な電気を制御回路が使用しやすい電圧にするための機器です。

電圧計の計器を始めとした機器を動作させるために使用され、AC110Vに降圧できます。

計器用変圧器VTに限っては、他の受電設備と異なり、耐用年数は25年とされています。

変圧器といっても、冷却方式の違いによって様々な種類があり、耐用年数が異なるケースも。

受電設備の機器交換を一度に行った場合と、別々に行った場合ではコストにも差が生じます。

変圧器を設置する前に、専門業者と十分な検討を重ねるようにしましょう。

受電設備に必要な法定点検について

受電設備には法定点検が必要なのでしょうか。

答えは「電気事業法によって法定点検が義務付けられている」です。

受電設備に求められる法定点検について解説します。

法定点検は受電設備の安全な利用のため

受電設備は高圧な電気を扱う機械です。

そのため、事故や災害によるダメージを大きくしかねません。

さらに、受電設備のトラブルによる事故を未然に防ぐ必要もあります。

法定点検は、より安全に電気を活用するために行われます。

キュービクル式の受電設備による波及事故について、より詳細な内容を知りたい方は「キュービクルの波及事故とは?原因や事例、予防方法などを解説」をご覧ください。

受電設備の法定点検は基本的に毎年実施

受電設備には、月次点検と年次点検が求められます

受電設備の月次点検の主な内容は以下の通りです。

  • 外観目視点検
  • 漏えい電流測定
  • 受電盤・配電盤の電圧・負荷電流測定
  • 受電盤・配電盤のフレーカー温度測定

月次点検では毎月または隔月(3ヶ月)の点検となります。

続いて受電設備の年次点検についてです。

  • 絶縁抵抗測定
  • 接地抵抗測定
  • 保護継電器設備点検
  • 停電状態での電気設備点検

受電設備の年次点検は1年に1回。

点検ができるのは電気主任技術者ですが、外部委託承認制度を利用すると、外部の電気主任技術者への委託が可能です。

外部委託承認制度については「キュービクルは保安点検が義務!点検内容や法律、費用などを解説」をご参考ください。

受電設備の法定点検を怠った場合は罰則も

受電設備の法定点検を怠った場合は「電気保安法人」としての認可が取り消しとなります。

電気保安法人の認可取り消しは、企業としての信頼を損ねかねません。

法定点検は的確にスケジューリングして、確実に行うようにしましょう。

同時に注意すべきなのは、受電設備を設置する際は電気主任技術者の任命が必要な点です。

電気主任技術者を任命しない場合、最大300万円の罰金が課せられます。

前述した外部委託承認制度を活用しながら、受電設備の安全な利用に努めましょう。

受電設備の法定点検費用は容量によって異なる

受電設備の法定点検費用は、変圧器の容量によって異なります。

しかし、キュービクル式の受電設備を外部に委託した場合、点検1回あたり1~5万円程度が相場です。

修理や交換が必要な場合は数十万~数百万ほどが必要となる場合がありますが、利用した業者のサービスや保証によって無料になる場合も。

点検・交換・修理などの見積もりは無料で行う業者が多いため、必要時はうまく活用しましょう。

キュービクル式の受電設備については下記の記事で詳しく解説しています。

「キュービクルの値段はどのくらい?費用対効果や中古の相場も解説」

受電設備の耐用年数が超過したときは交換がおすすめ

受電設備に耐用年数があるのは、波及事故を引き起こさないためです。

仕事を頑張り、いかに大きな業績をあげたとしても、一度の波及事故で全てを失う可能性があります。

安心して業務に専念できるよう、耐用年数が超過した受電設備は交換しましょう。

受電設備の交換は、コストが必要ですが、交換後はランニングコストの低下が見込めます。

代表的な例がトップランナー制度に適合した機器です。

トップランナー制度に適合されるためには、政府が策定した省エネ基準をクリアしたうえで、同種機器の中でも上位の性能を持ちあわせる必要があります。

交換によるコストダウンを図れるトップランナー制度については「トップランナー制度とは?対象機器や制度適合のメリットも解説!」を参照なさってください。

受電設備の交換をご検討中の方へ

今回は以下の内容をお伝えしました。

  • 受電設備の種類と特徴
  • 受電設備の耐用年数
  • 受電設備の法定点検について

株式会社ギアミクスでは、トップランナー制度に適合したキュービクルへの交換を承っております。

電気代が高い・費用が心配・耐用年数が超過したなど、様々なお悩みに対応致します。

ぜひお気軽にギアミクスにご相談ください。