もう迷わない!高圧受電と低圧受電の違いについて徹底解説

もう迷わない!高圧受電と低圧受電の違いについて徹底解説

私たちは毎日当たり前のように電気を利用していますが、電力会社から供給される電圧の違いについて知っていますか。

電気の使用量が多い工場や商業施設では「高圧受電」を、一般家庭などでは「低圧受電」を利用しています。

この記事では、高圧受電と低圧受電の料金の仕組みや設備、受電方式の違いについて詳しく解説していきます。

2016年に電力の小売全面自由化がスタートしました。
電圧が違うだけで、電気代の削減ができます。

電力会社を選ぶポイントついてもまとめてありますので、ぜひ最後までご一読ください。

高圧受電と低圧受電の仕組み

それでは、高圧受電と低圧受電の仕組みについてご紹介します。

高圧受電とは

高圧とは、契約電力が50〜2,000kWの電気の使用量が多い商業施設や病院、小学校・幼稚園などの学校、工場などで使用されています。

高圧受電するためには、敷地内にキュービクル式高圧受電設備(キュービクル)の設置が必要です。

キュービクルを経由して、発電所から送られてくる6,600Vの電気を100Vや200Vに変圧し、施設や建物に供給されます。

低圧受電とは

低圧とは、契約電力が50kW未満(目安)の家庭や小規模の商店・飲食店、事務所などで使用されています。

低圧電力は、電力会社が管理しているトランスと呼ばれる変圧設備を経由して送られてきます。

トランスにより、6,600Vで送られてくる高圧な電気を100Vや200Vに変圧して、各家庭などに供給されます。

高圧受電と低圧受電の違いをすぐに見分る方法

高圧受電か低圧受電のどちらの契約かわからない場合は、キュービクルが設置されているかどうかで判断しましょう。

キュービクルが設置されていれば、高圧受電の契約がされています。

高圧受電と低圧受電の違いとは?

次に、高圧受電と低圧受電の違いについてご紹介します。

契約電力が違う

契約電力とは、毎月使用できる最大値の電力を指します。

契約電力が50kW未満であれば低圧電力、50~2,000kW未満が高圧電力、2,000kW以上が特別高圧電力です。
受電する契約電力が上がると、毎月の基本料金も高くなります。

電気量料金の単価が違う

高圧受電と低圧受電では電気量料金の単価、単価算定の契約方法が違います。

高圧受電の場合、電力会社のトランスを通さずに敷地内に設置したキュービクルで電力を一括管理します。

低圧受電の場合、実際に使用した電力量に応じて電気量料金が算定されます。
電気量料金の契約方法は下記の2通りあります。

  • 従量電灯 使用する電力量が増えれば増えるほど、電気量単価が上がる
  • 動力プラン(低圧電力)季節に応じて電気量単価が設定され、クーラーなどの大型家電の使用頻度が高い夏季の単価が高い

電気量料金単価は、低圧受電の方が高く設定されており、一般的に1kWごとに18〜30円前後です。
一方で高圧受電は、1kWごとに13〜20円前後と割安に利用できます。

固定費が違う

高圧受電の場合は、電気使用料の他にキュービクルの維持費が発生します。

安全に受電するためにも、キュービクルなどの「自家用電気工作物」には保安点検は必須です。
毎月もしくは隔月1回の月次点検、毎年もしくは3年に1回の年次点検が必要で、外部委託した場合は費用がかかります。

一方で低圧受電の場合は、特に設備に関する固定費は発生しません。

基本料金

電気量料金の単価

高圧受電

高い

割安

低圧受電

安い

割高

そもそも、毎月の基本料金に影響を与える契約電力の値は、同時に使用できる電力の上限を意味する契約容量(kVA)をもとに算定します。

高圧受電の契約は、デマンド契約と呼ばれる電力契約方式を採用しています。
デマンドとは電力会社が管理する30分ごとの使用電力を指しています。

デマンド契約は直近1年間での最大需要電力をもとに契約電力が決定し、「基本料金単価×契約電力」が基本料金となります。

低圧受電の契約電力は、以下の2種類から選ぶことができます。

  • 負荷設備契約 使用する空調や機械などの電気設備の総容量の合計をもとに契約電力を算定
  • 主開閉器契約 主開閉器(メインブレーカー)の容量(定格電流値)をもとに契約電力を算定

どちらの契約のコストパフォーマンスが高いかは、各家庭や施設の電気使用状況などによって違うので、電力会社に確認することをおすすめします。

キュービクルのメンテナンスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
キュービクルは保安点検が義務!点検内容や法律、費用などを解説

受電方式が違う

高圧電力と低圧電力では受電方式が大きく違います。

高圧受電の場合、6,000V以上の高圧で受電します。

高圧電力は、発電所で作られた電気を超高圧変電所から一次変電所、二次変電所、中間変電所、配電用変電所と経由します。

そして、敷地内に設置されたキュービクルで受電し、キュービクル内で100Vと200Vまで変圧して供給されます。

低圧受電も発電所で作られた電気が超高圧変電所から一次変電所、二次変電所、中間変電所、配電用変電所を経由します。

低圧受電の場合はキュービクルではなく、電柱の上のトランスで100Vまたは200Vに変圧されて各家庭や小規模施設、飲食店に供給されます。

低圧受電は、すぐに利用できるように電気が加工されて届くため受電設備は必要ありません。

高圧受電の方がお得?コスト削減に向けた電力会社を選ぶ3つのポイント

電力の小売全面自由化により、自由に電力会社を選ぶことができるようになりました。
ここからは、電力会社を選ぶ3つのポイントと高圧受電へのに切り替えについてご紹介します。

電力の小売全面自由化は始まっている

2016年4月より、電力の小売全面自由化がスタートしました。

一般家庭や小規模店舗が、特別高圧、高圧、低圧のいずれの契約であっても、各地域の電力会社でなく自由に電力会社を選べるようになりました。

2000年3月に、特別高圧区分の大工場や鉄道会社などの電力自由化、2004年4月から高圧電気区分の中小規模の商業施設や工場などの電力自由化が段階的に進められていました。

そして、2016年4月に低圧区分の一般家庭や小規模店舗に至る電力の小売全面自由化が実現しました。

東京電力や関西電力など国が定める電力会社からしか電力を購入できなかったのが、電力の小売全面自由化により、各家庭や店舗に最適な電力会社や料金プランの選択ができるようになりました。

さらに、「新電力」と呼ばれる電気の小売事業への参入者が増え、市場競争が活性化されることが想定されます。

市場が活性化すれば、低価格プランやポイントサービス、電気と携帯電話などの組み合わせによるセット割引など消費者にとってお得な料金プランやサービスが期待できるでしょう。

特に中小規模の商業施設や工場が高圧受電する場合は、使用する電力量が多くなりがちです。
自社に最適な電力会社に変更することで、電気代を安く抑える事ができコスト削減が期待できます。

しかし、多数ある電力会社から1社を選ぶのは難しいとお悩みではないでしょうか。
ここからは、電力会社を選ぶ3つのポイントをご紹介します。

選ぶポイント①電力会社の実績を確認する

まずは、電力会社の実績に注目しましょう。
特に商業施設や工場などの場合、電力は運用の要となります。

安全かつ確実に受電するためにも、電力会社への信頼が必須です。
自社に適した信頼できる電力会社を選ぶためにも、実績の有無は確認しましょう。

選ぶポイント②料金・契約プランを比較する

現在、契約している料金・契約プランを見直すのも有効です。
基本料金は、電力会社や契約プランによって千差万別です。

高圧電力の基本料金は、「単価」「契約電力」「力率(供給された電力に対して、有効に使われた電力の割合)」よって決定します。

基本料金を安くしたいなら、上記の3つの項目のいずれかを改善する必要があるでしょう。

現状の電気使用量や必要最低限の電圧で良いかどうかをさまざまな会社の料金・契約プランと比較して見直してみてください。

選ぶポイント③新電力会社への切り替えも検討する

現在契約している電力会社の料金・契約プランを比較し、節約やコスト削減の実現が厳しい場合は新電力会社への切り替えを検討してみてください。

電力小売自由化により、さまざまな業界・業種の企業が電力業界に参入し始めました。

ライフスタイルに合わせた時間帯別料金や電力とガスのセット割引、ポイントサービス、家庭の省エネサービスメニューと新電力ならではの多種多様なサービスが提供されています。

高圧受電の方がお得!

電気の使用量が多い場合は、低圧受電よりも高圧受電の方が電気量料金の単価が安いため、費用対効果が期待できます。

しかし、低圧受電では分電盤の工事なので電力会社の依頼のみですが、高圧受電ではキュービクルを設置するので専門の業者に依頼する必要があります。

電気量料金の単価

キュービクル

高圧受電

割安

必要
低圧受電 割高

不必要

つまり、電気の使用量が多い小規模の施設や店舗は、キュービクル設置費用が発生しても毎月の電気代が安くなることも考えられます。

近年コスト削減のために、既存のマンションやビルにキュービクルを設置して低圧受電から高圧受電に切り替えるケースも見られるようになりました。

長期的に考えると、高圧受電の方がコスト削減につながる可能性は高いでしょう。

キュービクルの設置費用や費用対効果について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
キュービクルの値段はどのくらい?費用対効果や中古の相場も解説

まとめ 高圧受電と低圧受電の違いを押さえよう

高圧受電と低圧受電は利用できる電力だけでなく、電気量料金の単価や仕組みが大きく違います。
高圧受電の場合はキュービクルの設置が必須です。

キュービクルには設置費用が発生しますが、電気量料金が安くなるメリットがあります。
それぞれの特徴を理解した上で、自社やご家庭の最適な電力会社や契約プランを選びましょう。

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