赤外線調査とは、特殊なカメラで撮影した画像を分析し、外壁の安全性を確認する方法です。
しかし「赤外線調査は本当に信頼できるのか」と不安になる人もいるのではないでしょうか。
本記事では、外壁の赤外線調査の基礎知識・メリット・デメリットを解説します。
外壁調査が必要な背景や費用の目安もあわせてご覧ください。
目次
外壁の定期的な調査は法的に義務化されている
2008年の建築基準法改正により、新築・修繕から10年経過した特定建築物を対象に定期報告制度が強化され、外壁調査が義務化されました。
特定建築物は病院や学校、ホテル、百貨店、マンションのような多数の人々が利用する建物のことです。
外壁調査は、以下のように定期的に実施されることが求められています。
- 目視及び部分打診調査:1〜3年ごとに実施
- 全面打診調査:10年ごとに実施
外壁調査の目的は、外壁に蓄積されたダメージの確認・修繕による落壁事故の防止です。
建物の利用人数が増えるほど、落壁が発生した場合のリスクが高くなるため、定期的な調査が欠かせません。
建築基準法第12条では、定期的な外壁調査とともに、調査後に特定行政庁への報告も義務づけられています。
外壁調査や定期報告を怠った場合、建築基準法第101条に基づき、所有者には100万円以下の罰金が科される可能性があります。
外壁の劣化や剥落によって事故が発生した場合、民法第717条により賠償責任が生じることも。
万が一事故が発生した場合には、社会的責任が問われることになります。
建物の安全性を確保するためにも、外壁の定期調査と報告書の提出を忘れないように注意しましょう。
【基礎】外壁の赤外線調査とは?
ビルやマンションの安全管理において、外壁の劣化をいかに早期に発見するかは重要な課題です。
非接触かつ非破壊で実施できる赤外線調査が注目を集めています。
しかし、赤外線はなぜ外壁調査に活用できるのでしょうか。
赤外線調査の仕組みや特徴、検出可能な劣化症状について解説します。
1.赤外線調査とは
赤外線調査では、サーモカメラを使用して、建物から放射される赤外線エネルギーの測定・分析を行う方法です。
建物の外壁は日射を受けて温まりますが、健全な部分と剥離した部分では表面温度に差が生じます。
温度が均一であれば正常な状態と判断でき、逆に温度にムラがあれば異常があると温度差を利用して異常を見分ける仕組みです。
サーモカメラで撮影した画像を解析し、外壁の状態を評価します。
画像は、紫・紺・青・緑・黄色・赤・白で色分けされているため、壁面の細かな状態も分析可能です。
なお、色は紫に近い色であれば低温を、白に近いほど高温を示します。
赤外線調査は、目視や打診調査では見逃しがちな内部の劣化や欠陥を早期に発見することが可能です。
しかし、赤外線調査の精度は気象条件や周囲の環境によって熱が集中すると、調査結果が左右されます。
画像を的確に分析するための専門的かつ熟練した知識・技術が必要です。
2.打診調査との違い
外壁の打診調査と赤外線調査を比較してみましょう。
外壁の打診調査とは、専用のハンマーで外壁を叩き、音の違いから外壁材の浮きや剥離を検出する方法です。
目視による確認も行われ、細かなひび割れなども確認できます。
打診調査は、調査箇所の環境や天候に左右されにくく高精度な検査結果に期待できます。
しかし、足場や高所作業車を使用するため時間やコストがかかり、高所だと調査ができない場合も。
一方で赤外線調査は足場を必要とせず、外から非接触で広範囲の撮影ができるため、短期間かつ低コストで調査が可能です。
ただし、赤外線調査は天候や外壁材の種類に影響されるため、補完的に打診調査を併用する場合もあります。
建物の特性に合わせた調査手法の選定と組み合わせが重要です。
なお、外壁の打診調査は「外壁打診調査とは?調査対象や方法を詳しく解説」で詳しく解説しています。
3.特定可能な外壁の劣化症状
赤外線調査によって検知可能な劣化症状は以下のとおりです。
- クラック(ひび割れ):外壁に見られる亀裂で、構造的な問題や水分の浸入を示す。クラックは外壁の表面だけでなく、内部の構造にも影響を与える可能性がある
- 浮き(膨れ):外壁の仕上げ材が下地から剥がれ、膨らんでいる状態。建物に水分が浸入しているサインで、放置するとさらなる劣化を引き起こす可能性がある
- 剥がれ:塗装や外壁材が剥がれ落ちる現象で、特に湿気や温度変化の影響を受けやすい。剥がれが進行すると内部の構造材が露出し、腐食や劣化が進む恐れがある
- 漏水:外壁からの水の浸入は建物の構造に深刻なダメージを与える可能性がある。漏水は特にクラックや浮きがある箇所から発生しやすい
- エフロレッセンス(白華):外壁の表面に白い粉状の物質が現れる現象。水分が外壁を通過する際にミネラルが析出することによって起こる
- 変退色:外壁の色が変わることは、塗膜の劣化や紫外線による影響を示すことがある
- 腐食・腐朽:木材や金属の外壁材が腐食が進行すると、建物の構造的な強度が低下する
赤外線調査は、見た目では判断できない建物内部の異常まで調査可能です。
赤外線調査と従来の外壁調査方法との違い
赤外線調査は近年注目を集めている非接触かつ非破壊型の調査手法ですが、従来の外壁調査は、打診調査やゴンドラ調査などが主流でした。
赤外線調査と従来型の調査手法の違いを確認しましょう。
ゴンドラ調査 |
打診調査(足場使用) |
赤外線調査 |
|
調査方法 | ゴンドラに乗って打診または目視 | 足場を組んで全面を打診調査 | サーモカメラで温度分布を可視化 |
精度 | 高精度(近接調査) | 非常に高い(全面打診) | 高いが、状況により補助調査が必要 |
コスト | 中~高コスト | 高コスト(足場費用が高い) | 低~中(足場不要、調査機器のみ) |
工期 | 中程度(設置+作業日数) | 長い(足場組立・撤去含む) | 短い(1日〜数日) |
安全性 | 中(高所作業を伴う) | 低(作業員の高所作業が多い) | 高(地上・遠隔操作で対応可能) |
住民への影響 | あり(騒音・揺れ・日照妨げなど) | 大(足場による圧迫感・騒音など) | 少(非接触のため心理的・物理的負担が小) |
適した建物 | 中〜高層のビル・タワーマンション | 中低層の建物、細部が重要な物件 | 高層、複雑な形状、足場設置が困難な建物 |
赤外線調査は、足場が組めない建物や営業中のテナントや居住者への影響を抑えたい建物に適しています。
ただし、気温差がない日や強風・雨天時は精度が下がる場合もあるため、状況に応じて打診調査との併用がおすすめです。
外壁の赤外線調査の流れ
外壁の赤外線調査の基本的な流れは以下のとおりです。
①ヒアリング・見積もり
調査対象の建物に対して現地調査を行い、外壁の状態を確認した後に調査方法や範囲に応じて、見積もりを作成します。
見積もりでは以下の内容が記載されているか確認してみてください。
- 撮影は各面何回行うか
- 必要に応じて打診調査などを併用するか
- ドローンや高所作業車を活用するか
不明点があれば遠慮せず質問し、他社との比較検討にも活用しましょう。
②事前調査
調査当日に天候や風の強さ、周辺環境を確認し、赤外線調査が問題なく実施できるかどうかを判断します。
③赤外線調査の実施
サーモカメラを使用して、外壁表面の温度分布を撮影します。
温度差が出やすいため、撮影は朝方または午後の陽射しが強い時間に実施することが一般的です。
④赤外線画像の解析
撮影した画像を解析し、温度差から浮きや水分の浸入など劣化症状を見つけます。
⑤調査結果の報告書作成・提出
業者は調査結果をまとめた報告書を作成し、建物の所有者や管理者に提出します。
赤外線調査の結果、異常が見つかった箇所については打診調査などの詳細調査や補修工事へ進む場合があります。
外壁の赤外線調査費用は150~350円/㎡が目安
赤外線調査の費用目安は、500平方メートル以上の場合で150~350円ほどです。
単価に差が生じる原因は、おもに以下の3つ。
- 調査する外壁の面積
- 建築物の構造
- 検査箇所の遮蔽物の有無
平らな外壁で、調査面積が広い上に遮蔽物がなければ単価は安くなります。
凹凸がある、遮蔽物がある、調査面積が狭いなどの場合は、単価が高くなる傾向です。
調査単価は外壁調査会社が使用する機材によって異なる場合もあるため、複数会社からの見積もりを比較することをおすすめします。
赤外線調査のメリット
打診調査と赤外線調査では、どちらが所有する建物に合っているのかで悩む人も多いでしょう。
赤外線調査のメリットを知ることは、建物の状況やニーズに合っているかを判断するうえで役立ちます。
本章では、赤外線調査のメリットを解説します。
メリット1.足場が不要で低コスト
外壁調査で足場を組む場合、調査費用より足場費用の方が高くなる場合も少なくありません。
足場には、材料費のほかに足場の設置・撤去に人件費がかかるためです。
しかし、赤外線調査は足場を組む必要がありません。
足場の材料費と人件費を削減でき、低コストで外壁調査が実現します。
サーモカメラで目に見えない劣化や水分の滞留を早期に発見でき、長期的な修繕コストの削減にもつながります。
メリット2.工期が短い
赤外線調査は、足場の設置や打診による物理的接触を必要としない非接触型の調査手法であるため、従来の打診調査などに比べて工期を短縮できます。
また、サーモカメラを使った調査では、1日あたり数千㎡単位の撮影が可能です。
建物の規模に関係なく効率的に作業を進められるため、修繕対応の前倒しにもつながります。
メリット3.高所でも安全性が高い
最近は、サーモカメラを搭載したドローンで撮影するケースも一般的になりつつあります。
高所作業にゴンドラやブランコなどを使用した場合、作業員が建物に接近する必要があり、転落リスクがあるうえに高コストが課題でした。
赤外線調査にドローンを活用すれば、作業員が危険な高所で作業する必要がなくなり、安全性が向上します。
メリット4. 住居者への負担が少ない
赤外線調査は外部からサーモカメラで撮影するだけなので、室内への立ち入りや大規模な足場設置が不要です。
マンションやオフィスビル、商業施設など居住者やテナントが活動する中でも、業務を止めずに調査を実施できます。
足場を組む場合に発生する騒音や日照・通風の遮断、防犯リスクなどを回避できるため、入居者満足度や退去リスク低減にも効果的です。
共用部やバルコニーなどに作業員が立ち入る必要もないため、プライバシーの観点からも住民のクレーム対策にも役立ちます。
メリット5. データ保存ができる
赤外線調査では、撮影した赤外線画像データや解析結果をデジタル形式で保存できます。
劣化の進行速度や補修後の状態の推移などが客観的かつ定量的に把握でき、修繕や予算計画の根拠資料として活用できます。
クラウド保存や報告書と連携したデータ管理も可能な業者が増えており、不動産管理会社や管理組合の業務効率化にもつながる点も特徴です。
赤外線調査のデメリット
赤外線調査には、もちろんデメリットも存在します。
場合によっては、デメリットが致命打となり、赤外線調査を断念せざるを得ない場合も。
調査箇所の環境や状態がデメリットに該当しないかを確認しましょう。
デメリット1.赤外線調査の結果は天候に左右されやすい
赤外線調査は、外壁の細かな浮きや割れを判別できない場合があります。
なぜなら、使用するサーモカメラの精度次第で、わずかな温度変化を捉えきれない可能性があるためです。
また、赤外線調査は検査箇所に直射日光や水濡れなどがあった場合に、分析の精度が低くなる点も注意しましょう。
検査箇所に直射日光が当たっている部分とそうでない部分があった場合では、境目の分析は困難です。
直射日光による温度変化なのかが判断できないため、劣化や損傷があったとしても分析結果に反映されません。
赤外線調査に最適な気象条件は以下を参考にしてください。
- 温度差:外部と内部の温度差が10度以上が理想
- 天候:晴天が最も望ましい。直射日光が強すぎると外壁の温度が不均一になり、正確なデータが取得できないことも。曇りや雨の日で外壁が濡れていると赤外線の測定が困難
- 時間帯:調査は日没後や早朝が一般的
- 風速:風が強い日は壁の放射熱に影響を与えるため、調査には不向き
天候の変化が激しい、日光の当たり具合に差があるなどの場合は、赤外線調査は不向きと判断しましょう。
デメリット2.建築物によっては赤外線調査が実施できない
すべての建物に赤外線調査が適用できるわけではありません。
赤外線調査は、建物から離れて撮影する必要があるため、隣接する建物との距離が近い場合は撮影が困難です。
金属製の外壁や鏡面仕上げの外壁では、赤外線が反射してしまい、正確な温度測定ができない場合もあります。
外壁の形状が複雑な場合や他の建物に隠れている部分がある場合も、調査が困難です。
また、外壁が鏡面仕上げの場合は外壁に映りこんだ建物や電柱、反射熱がカメラに映るためサーモカメラでの撮影枚数が増加します。
赤外線調査の低コストというメリットを損ねる原因になりかねません。
赤外線調査は、検査対象となった建築物が上記に該当しないかを確認したうえで依頼しましょう。
低コストかつ確実な外壁調査、ロープアクセス工法とは?
赤外線調査はさまざまなメリットがありますが、カメラの精度や天候、建物の状態によっては細かな劣化を見落としてしまう可能性があります。
建物の異変を見逃してしまうと、後々の大規模な修繕につながり、かえって費用がかかってしまうかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、ロープアクセス工法と打診調査を組み合わせた方法です。
本章では、なぜロープアクセス工法がおすすめなのか、具体的な調査方法やメリットを解説します。
1.ロープアクセス工法は足場不要で外壁調査
ロープアクセス工法とは、作業員が2本のロープで身体を支えながら調査する外壁調査です。
打診調査の一種ですが、従来の打診調査と大きく異なり、足場の設置が必要ありません。
足場は設置・撤去が必要になり、コストが高くなります。
ロープアクセス工法は足場を必要としないため、低コストな外壁調査が可能です。
足場の設置にはどれくらいの費用が必要かは、「外壁塗装や屋根の工事に必要な足場の値段は?相場や計算方法も解説」をご覧ください。
2.短期間工事にはロープアクセス工法
ロープアクセス工法が工期の短縮を実現できる理由は、以下の2つです。
- 足場の設置・撤去が必要ない
- 起動性に優れる
従来の足場工法では、足場の設置・撤去に3日間、打診調査に3日間必要でした。
しかし、ロープアクセス工法に必要なのは、調査に必要な2日間のみです。
足場工法では、足場から手が届きにくく、十分な打診調査ができない箇所が存在することも。
ロープアクセス工法は機動性に優れ、壁面を自在に動き回れます。
結果的に調査が効率的に行われるため、足場の設置・撤去期間だけでなく、調査期間の短縮が可能です。
3.ロープアクセス工法は安全性も高い
ロープアクセス工法は、習得に専門的な訓練を要しますが、高い安全性が国際的に認められています。
橋梁点検をはじめとするインフラ設備の重要な調査においても、安全性と機動性に優れた調査方法として広く採用されています。
その理由の一つは、ロープアクセス工法がレスキュー隊も用いる高度なロープ技術を基盤としているためです。
作業員の安全が極めて高いレベルで確保され、複雑な形状の建物や狭い隙間のような場所でも安心して調査を行えます。
近年、ロープアクセス工法が注目される理由の一つに、道路使用許可が不要な点が挙げられます。
足場工法では、公道に足場を組む際に許可が必須であり、取得に時間や手間がかかることが少なくありませんでした。
しかし、外壁調査が必要な建築物の周囲に交通量が多い道路があっても、ロープアクセス工法には影響しません。
ロープアクセス工法は、低コストかつ安全性、機動性に優れ、周囲の道路環境に左右されない外壁調査方法です。
なお、ロープアクセス工法は「ロープアクセス工法とは?基礎・メリット・デメリットを解説」でも解説しています。
赤外線調査によくあるQ&A
外壁の赤外線調査に多い、以下5つの疑問に答えます。
- 赤外線調査で雨漏りは調べられる?
- 赤外線調査でタイルのダメージがわかるのはなぜ?
- ドローンを使用した赤外線調査とは?
- 赤外線調査に向く・向かない建築材料とは?
- 赤外線調査以外で低コストに外壁調査する方法は?
外壁の赤外線調査を依頼する前の不安解消にお役立てください。
1.赤外線調査で雨漏り箇所の特定はできる?
赤外線調査で雨漏り箇所の特定が可能です。
雨漏りがある場合、水滴が落下するような雨漏りでなくても、天井や壁に水分が染み込んでいます。
水分が染み込んでいる天井や壁は、ほかに比べて低温になるため判別できる仕組みです。
赤外線調査は、短期間で天井や壁を壊さずに雨漏りの有無を調べられる点がメリット。
一方で、雨天時は使用不可・調査できない建築材料があるといったデメリットもあります。
赤外線調査を依頼する際は、必ず事前調査を受け、調査が可能かどうかを確認しましょう。
赤外線調査が可能な建築材料や不可能な建築材料は「赤外線調査に向き・不向きな建築材料とは?」で詳しく解説します。
2.赤外線調査でタイルのダメージがわかるのはなぜ?
すべての物体はその温度に応じた赤外線を放射し、温度が高いほど強い赤外線を、低いほど弱い赤外線を放出します。
赤外線調査では、目に見えない赤外線をサーモカメラで捉え、表面の温度分布を画像として可視化します。
例えば、タイルが正常な場合はタイル全体に熱が均等に分散されますが、割れや剥離がある場合は温度が周囲に分散されません。
サーモカメラはごくわずかな温度差を捉え、高温部は赤色、低温部は青色など色で表示します。
色の違いを見れば、目には見えないタイルの浮きや剥離などのダメージ箇所を特定可能です。
赤外線調査は、目視では確認できない外壁のダメージを調査し、落壁事故の予防や早期補修に役立てられています。
3.ドローンを使用した赤外線調査とは?
近年、ドローンに赤外線カメラを搭載して撮影する外壁調査が広がりつつあります。
ドローンは天候に左右されやすく、皇居のように飛ばすのが禁止されている区域はありますが、作業員の安全を確保しながら高精度の調査が可能です。
特に活躍するのは高所の撮影。
高所の撮影は、より精度の高い分析を行うために、高所作業車を使用するケースが多く見られました。
しかし高所作業車の使用は、作業員の落下リスクがあるうえに、設置・運用にかかるコストも高額になりがちです。
ドローンを活用すると、作業員は危険な高所で作業する必要がなく、落下のリスクから解放されます。
さらに、高所作業車にかかるコストも不要となるため、調査全体の費用削減にも貢献します。
今後、技術がさらに進歩すると、より精度の高いドローン調査が可能になるでしょう。
4.建材に赤外線調査の向き・不向きはある?
赤外線調査向きの建築物・建築材料は以下のとおりです。
- モルタル・ALC(軽量気泡コンクリート)の外壁
- 屋根材・壁材が建物に直貼りになっている建物
- 隣の建築物との距離が5m以上ある
- 全面が道路に面している
上記のような条件を満たしていれば、熱が集中している箇所が少ないため、より精度の高い赤外線調査ができます。
続いて、赤外線調査に不向きな建築物・建築材料を紹介します。
- 金属系の屋根・外壁
- 光沢のある屋根・外壁
- 屋根材・壁材と建物の間に空間がある建物
- 隣の建築物との距離が4m未満
金属系の建築材料は熱を吸収し、光沢があれば熱を反射してしまうため、精度の高い赤外線調査ができない可能性があります。
さらに、屋根材・壁材と建物の間に空間がある場合も要注意です。
屋根材・壁材と建物の間にある空間は、建築物内の気温や湿度の調整がしやすい反面、赤外線調査に必要な熱量を得られないかもしれません。
隣との距離が近い建物は、隣の建物が放射する熱の影響を受けやすいため、赤外線調査の精度が落ちます。
調査する建築物に、どんな材料が使用されているか・どんな環境かを確認するようにしましょう。
5.赤外線調査以外で低コストに外壁調査する方法は?
赤外線調査以外で、低コストな外壁調査は、ロープアクセス工法と打診調査を併用する方法があります。
ロープアクセス工法は機動性・柔軟性の高さと、足場不要の低コストな点が特徴です。
打診調査は、高精度な検査結果に期待できる方法です。
ロープアクセス工法と打診調査を併用すると、低コストかつ短期間で高精度な外壁調査が実現します。
赤外線調査が難しい、高精度な外壁調査を希望する場合は、ロープアクセス工法と打診調査の併用を検討すると良いでしょう。
外壁の赤外線調査をご検討中の方へ
今回お伝えしたポイントは以下の3つです。
- 赤外線調査は効率的な外壁調査方法
- 赤外線調査には向き・不向きがある
- ロープアクセス工法による打診調査は低コストかつ確実に外壁調査可能
赤外線調査には多くのメリットがある一方で、気象条件や建物の状態によっては期待した結果が得られない場合も。
株式会社ギアミクスでは、熟練の職人によるロープアクセス工法を用いることで、低コストでありながら確実な外壁調査を実現しています。
建物の隅々まで直接打診することで、赤外線調査では見落とされがちなわずかな劣化や損傷を正確に把握することが可能です。
短期間かつ低コストで確実な外壁調査を行いたいとご検討なら、ぜひ一度、株式会社ギアミクスにご相談ください。
お客様の建物の状況に合わせた最適な調査方法をご提案し、安心・安全な建物維持をサポートいたします。