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外壁打診調査とは?調査対象や方法を詳しく解説

外壁打診調査とは?調査対象や方法を詳しく解説

外壁打診調査とは、歩行者の安全を守るために定められた外壁の定期調査のことで、調査報告を怠ると100万円以下の罰金が課されることもあります。

しかし、外壁打診調査は全ての建築物が対象となっているわけではありません

本記事では、外壁打診調査の対象となる建築物の条件や、外壁打診調査の方法について詳しく解説します。

外壁打診調査とは、建築基準法で定められた外壁の定期調査

日本では、建築物からの落下物等による事故を防ぐため、定期的な建築物の調査が建築基準法で定められています。

2008年には『国土交通省告示第282号』が告示され、外壁はテストハンマーによる打診や目視等で劣化状況を確認するよう定められました。

この調査を『外壁打診調査』といい、報告を怠った場合、建築基準法第101条に基づき100万円以下の罰金が課されることもある制度です。

しかし、外壁打診調査とは全ての建築物が対象ではなく、外壁打診調査が必要な建築物にはいくつか条件があります。

次章では外壁打診調査が必要な建築物かどうかを確認する方法を解説しますので、所有する建築物が条件に当てはまっているかどうか、確認してみてください。

外壁打診調査の対象か確認する方法

外壁打診調査は全ての建築物の義務ではありません。

対象となるのは、

  1. 定期報告対象建築物
  2. 外壁打診調査対象

の双方に当てはまっている建築物のみです。

条件について詳しく解説しますので、所有する建築物が当てはまっているかどうかこちらでしっかり確認してみてください。

①定期報告対象建築物に当てはまっているか確認する

外壁打診調査の対象かどうかを確認するには、所有する建築物が定期報告の対象になっているかを確認する必要があります。

定期報告対象建築物は、建築基準法県建築基準法施工細則によって定められているため、各都道府県によって微妙に異なります。

一般住宅は対象規模に当てはまらないケースが多いですが、以下のような建築物は定期報告対象となっている場合が多いため、該当するかどうかを確認してみましょう。

  • 劇場・映画館・演芸場
  • 観覧場・公会堂・集会場
  • 病院・診療所(患者の収容施設があるもの)
  • 児童福祉施設等
  • ホテル・旅館
  • 下宿・共同住宅・寄宿舎
  • 学校・体育館
  • 博物館・美術館・図書館・ボーリング場・スキー場・スケート場・水泳場・スポーツの練習場
  • 百貨店・マーケット・展示場・キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・バー・ダンスホール・遊技場・衆浴場・待合・料理店・飲食店・物品販売業店舗

各都道府県庁のホームページで定期報告の対象規模が公開されているので、所有する建築物が当てはまっているか確認してみましょう。

②外壁打診調査対象に当てはまっているか確認する

定期報告の対象となっていた場合は、外壁打診調査を今すぐする必要があるかどうかを確認しましょう。

外壁打診調査の対象となるのは、以下2つの条件の双方に当てはまる建築物です。

  1. 竣工や外壁改修から10年以上経過している
  2. 過去3年以内に打診調査を実施していない

上記2つに当てはまっていなくても、手の届く範囲での打診調査や、双眼鏡等を使った目視調査で異常が見つかった場合は、打診調査する必要があります。

建築基準法により「歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な調査」が求められているためです。

ただし、3年以内に外壁改修等が行われることが確実である場合や、歩行者の安全を守るための策を別途講じている場合は、打診調査の対象とはなりません

詳しくは、国土交通省の告示第282号に掲載されておりますので、そちらもご覧になってみてください。

外壁打診調査の方法

外壁調査は、おもに以下6つの方法があります。

  1. 仮説足場
  2. 高所作業車
  3. ゴンドラ
  4. ブランコ
  5. ロープアクセス
  6. 赤外線サーモグラフィ

これらはそれぞれメリットとデメリットが異なるので、対象建築物に合った方法を選ぶことが大切です。

簡単な比較表を用意したので、各方法の検討にお役立てください。

メリット デメリット
仮設足場
  • 安全性が高い
  • 大規模な建物の調査が可能
  • 足場設置と解体に時間がかかる
  • 足場組立費用がかかる
高所作業車
  • 足場がいらない
  • 屋根や屋上がない建物も調査できる
  • 狭い場所には車両自体が入れない
  • 許可証などの申請が必要
  • 人員が必要なのでコストが高い
ゴンドラ
  • 足場がいらない
  • ゴンドラ内に足場があるので比較的安全
  • 専用機材のコストが高い
  • 大規模な建物の調査には向かない
ブランコ
  • 足場がいらない
  • 狭い場所でも作業が行える
  • 安全規格が明確ではない
  • 大規模な建物の調査には向かない
ロープアクセス
  • 足場がいらない
  • 狭い場所でも作業が行える
  • 特殊技術で安全性も高い
  • コストが安い
  • 大規模な建物の調査には向かない
赤外線サーモグラフィ
  • 目視では分かりづらい劣化を、地上からでも確認できる
  • 打診調査は別途行う必要がある

それぞれの方法について、詳しく解説していきます。

①仮設足場

仮設足場による外壁打診調査は、外壁周りに足場を組む方法です。

全面的に足場がある分安全性が高く、広い範囲での打診調査が可能となります。

一方で、仮設足場は足場の組み立てや撤去作業だけで数日かかる上、調査費用のほかに足場費用も必要な点がネック。

建築物の規模が大きい場合は効率よく作業を進められますが、規模が小さい場合は規模に対してコストパフォーマンスが悪くなる傾向があります。

足場に必要なコストを詳しく知りたい場合は「外壁塗装や屋根の工事に必要な足場の値段は?相場や計算方法も解説」をご覧ください。

②高所作業車

高所作業車による外壁打診調査は、車両に搭載されたリフトに作業員が乗り込み、高所の調査を行います。

足場が不要な規模の建築物の外壁打診調査や、屋根や屋上に設備がない時に便利な方法です。

高所作業車による調査のデメリットは、リフトが届く範囲内でしか対応できず、規模が大きい調査にはあまり向いていないこと。

場所によっては道路駐車許可を取る必要もあるほか、狭い場所では高所作業車が入れないこともあります。

なお、高所作業車で作業をしている間は警備員やオペレーターなどの人員も必要です。

そのため、高所作業車を使用する場合は、外壁打診調査以外に必要な経費を含めて試算するといいでしょう。

③ゴンドラ

ゴンドラによる外壁打診調査は、屋上や屋根から専用の架台を設置し、ゲージに作業員が乗り込んで調査する方法です。

足場を組み立てなくても作業員はゲージ内に足場を確保することができ、安全かつ低コストで作業が可能です。

小規模~中規模であれば複数のゴンドラで打診調査でき、仮設足場に比べて作業時間が短くて済みます。

ただし、ゴンドラによる外壁打診調査には、専用機材が必要となる点に注意。

足場にコストがかからない分と、専用機材に必要なコストを計算しつつ、コストパフォーマンスに留意した選択が必要です。

④ブランコ

ブランコによる外壁打診調査は、屋上や屋根から吊り下げたブランコに作業員が座り、上から調査をしていく方法です。

足場を組む必要がないので、時間も費用も抑えることができます

ただし、ブランコは安全規格が明確ではありません。

そのため安全性を考慮して、ブランコによる施工を禁止している現場も多いのが現状。

ブランコ工法を選ぶ場合は、業者に対して安全対策を確認してから依頼すべきでしょう。

⑤ロープアクセス

ロープアクセスとは、特殊な技術で屋根や屋上から作業員がロープでつり下がった状態で外壁打診調査を行う方法です。

元々はヨーロッパ発祥の技術で、2016年から日本でも労働安全衛生規則」が制定されたことでロープアクセスが普及してきました。

ロープアクセスは足場が不要で低コストなのはもちろん、レスキュー隊が用いる特殊技術を用いているので安全性も高いというのが特徴です。

大規模な外壁打診調査には向きませんが、中小規模の打診調査であればコスパの良さと安全性を両立させた方法です。

⑥赤外線サーモグラフィ

赤外線サーモグラフィは、外壁の温度差によってダメージの有無を調査する方法です。

外壁に異常がなければ全ての面がほぼ同じ温度で表示されますが、亀裂が入っていたり、雨漏れしていたりすると、一部だけ温度が低く映ります

目視だけでは分からない劣化を見つけることができるので、打診調査前に赤外線サーモグラフィで劣化箇所に目途をつけ、特定箇所だけ調査を行うと効率的に作業できるケースもあります。

ただし、赤外線サーモグラフィは気候によって調査結果の信頼性が低下する場合がある点に要注意。

建築物への日照時間や風の吹き方によっては、外壁の温度が部分的に上昇・下降する場合があるためです。

詳しくは「赤外線調査で外壁は安全を保てる?必要な理由と費用のめやすを解説」に掲載しておりますので、あわせて参考にしてみてください。

外壁打診調査の流れ

外壁打診調査は、『一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者』に調査を行ってもらい、その結果を役所に提出する必要があります。

一般の方が自分で調査できないものの、有資格者を代理とした調査は可能ですので、専門業者に依頼して調査してもらいましょう。

外壁打診調査の流れについて、詳しく解説します。

1. 打診調査業者に問い合わせる

まずは、お近くにある外壁打診調査業者を探してみましょう。

最近では自社のホームページを持っている会社も増えているため、検索エンジンを活用するときは『○○(地名) 外壁打診調査』で検索するといいでしょう。

もし検索しても良い業者が見つけられない場合は、地域の担当課に直接問い合わせるという方法もあります。

各都道府県には建築指導局などが設置されていますので、建築物がある地域に問い合わせて、おすすめの業者を聞いてみるのも良いでしょう。

2. 見積もりをしてもらう

外壁打診調査を依頼する業者の候補を絞ったら、問い合わせをして調査料金の見積もりをしてもらいましょう。

調査料金は、調査の方法や建物の規模などによって変動します。

業者によって料金が異なるので、可能であれば複数の業者に見積もりを取ってもらうのがおすすめです。

業者の中でも、極端に低い価格で調査が可能な場合は要注意です。

相場から大きく外れる価格の調査は、安全性を確保していない・詐欺などのリスクがあるためです。

料金だけではなく、安全面や業者の信頼性も考慮して、安心して仕事を依頼できる業者を選びましょう。

なお、外壁調査の費用相場は「外壁調査の費用相場とは?おこなう理由や方法、業者選びのポイントを解説」に掲載しておりますので参考にしてみてください。

3. 契約後、打診調査を行う

外壁打診調査の依頼先が決まれば、契約後に外壁打診調査を実施します。

足場を必要とする場合は、足場の設置・調査日・足場の解体それぞれの日程が必要です。

足場がいらない無足場工法の場合は1日だけで完了することもあります。

建築物の営業時間や利用者がいない時間帯などのほか、足場に関わる時間を考慮して、具体的なスケジュールを決めていきましょう。

4. 業者に報告書を作成してもらう

外壁打診調査が終わったら、診断結果を報告書にまとめて地域の担当課へ提出し、完了となります。

報告書の作成も業者が行ってくれますが、最後の確認の際に自分の認識と差異がないか必ず確認するようにしましょう。

後々のトラブルを避けるためにも、打診調査当日は必ず調査の様子を確認し、その場で診断結果を共有することが大切です。

ロープアクセス工法を使用、ギアミクスの外壁打診調査の特徴とは?

当メディアを運営する株式会社ギアミクスでは、ロープアクセス工法を用いた外壁打診調査を実施しております。

しかし、ロープアクセス工法は本当に安全なのかについて不安に感じる方もいるでしょう。

本章では、ロープアクセス工法の特徴や安全性について解説します。

特徴1.機動性と安全性を兼ね備えた外壁打診調査

ロープアクセス工法は、自衛隊が使用している方法を用いた手法であり、平成25年にはロープアクセス工法の安全性が実証されています。

ロープアクセス工法の安全性については「労働安全衛生規則第9章(墜落、飛来崩壊等による危険防止)」に掲載されておりますので、あわせて参考になさってください。

ロープアクセス工法は、上記の安全性加えて、機動性が圧倒的に高いのが大きな魅力です。

ゴンドラや足場の位置に動きを制限されないため、建築物の形状に合わせて柔軟に対応することも可能。

複雑な形状をした建築物で、足場の設置が困難な場合でも、ロープアクセス工法は自在に外壁打診調査が可能です。

特徴2.外壁打診調査を低コスト・短期間で実施可能

ロープアクセス工法は、足場の設置が不要なため、低コストで外壁打診調査を実施可能です。

たとえば足場の設置・撤去に3日間必要なケースを想定してみましょう。

外壁打診調査に2日間かかったとした場合、足場の設置と撤去を含めると1週間以上が必要な計算です。

一方で、ロープアクセス工法は足場が不要で機動性が高いため、最短1日で外壁打診調査が終了。

ロープアクセス工法は低コストで短期間で実施でき、建築物の利用者への影響を最低限に抑えることも可能です。

特徴3.外壁打診調査の報告書はカスタマイズ可能

株式会社ギアミクスでは、ご要望に合わせた報告書のカスタマイズが可能です。

これにより、より見やすくわかりやすい報告書の作成が可能に。

外壁打診調査がいかに的確だったとしても、報告書がわかりにくければ、所有する建築物の安全性がどうなのかについて把握するのは困難です。

当社は、わかりやすさを念頭に置いた報告書の作成により、外壁打診調査の依頼をいただいた方に寄り添った対応を心がけております。

外壁打診調査に関するお問合せはこちら

調査対象の建築物は必ず外壁打診調査をしよう

外壁打診調査は、建築基準法で定められている外壁の定期調査のことです。

条件に当てはまる建築物は必ず調査報告をしなければならず、報告を怠れば100万円以下の罰金が課されることもあります。

本記事で解説した調査対象の条件や、調査方法を参考に、適切に外壁打診調査を行っていきましょう。