非常用発電機の処分費用は?具体的な方法やコストダウンのポイントも

自然災害の備えとして有効な非常用発電機。

しかし、破損や故障などが原因で、処分が必要になる場合もあるでしょう。

本記事では、非常用発電機の処分にかかる費用の目安を解説します。

処分するときの具体的な方法やコストダウンの方法も、あわせてご覧ください。

非常用発電機の処分費用の目安

非常用発電機の処分費用は、容量や設置環境など、様々な要因によって異なります。

そのため、本章で解説する処分費用は、あくまで目安として参考にしてください。

1.処分費用は10~50kvaクラスで10~30万円

10~50kvaクラスの非常用発電機を処分する場合は、マニフェスト発行を除いて10~30万円が目安です。

マニフェストとは、産業廃棄物が適正に処理されたかを管理するための伝票のこと。

非常用発電機をはじめとした、事業活動に伴って生じる産業廃棄物を処理するには、マニフェスト発行が必須です。

マニフェスト発行にかかる料金は、年間の登録件数に応じて異なり「公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター」のページからシミュレーションできます。

マニフェスト作成料金は、産業廃棄物の処理依頼先からも確認できるため、あわせて確認しておくと良いでしょう。

2.非常用発電機の処分費用内訳

非常用発電機の処分費用の内訳は以下の通りです。

  • 非常用発電機を基礎からはがす作業
  • 各種ケーブルと非常用発電機を切り離す作業
  • 燃料・冷却水など、処理が困難な廃棄物の除去作業
  • 取り外した非常用発電機の運搬作業

非常用発電機を処分する際は、使用されているコンデンサやトランスなどにPCBが含まれていないかを確認することも大切です。

PCBは、危険性の高い化学物質であり、処分には特定の手順や届け出が必要。

詳細は「キュービクルのPCB対処法とは?含有確認・処分手順・疑問点も解説」に掲載していますが、PCBが含まれる部品がある場合は、撤去にかかるコスト・期間が長くなる可能性がある点に注意しましょう。

3.小型の非常用発電機は自分で処分できる場合も

小型のガスタービン式非常用発電機は、比較的安価に入手でき、持ち運べる手軽さが人気です。

中小企業でも導入しやすく、BCP対策として購入するケースも少なからず見受けられる一方で、下記のような課題もあります。

  • 事業所の統一化によって、余分な非常用発電機が生じた
  • 大型の非常用発電機を導入し、小型の非常用発電機が余っている

上記のような場合は、管理する手間やコストが増大するリスクが想定できます。

しかし、小型の非常用発電機であれば、状態に応じて自力で処分が可能です。

次章からは、非常用発電機の具体的な処分方法を解説します。

非常用発電機を処分可能な5つの方法

非常用発電機を処分するのに適した方法は、本体の状態や割ける労力などによって異なります。

本章では、非常用発電機を処分する方法を5つ解説します。

現状に合った処分方法を検討してみましょう。

方法1.コスパにすぐれる「粗大ごみ」

各自治体に設置されたごみ処分場へと自力で運んで処分する方法です。

自治体によって処分費用が異なるものの、数千円ほどで処分できます。

粗大ごみとして処分する際の注意点は、回収までに時間がかかる点と、運搬に労力を要する点です。

ときには、回収場所が遠い場合もあるため、事前に十分なリサーチを実施することが重要でしょう。

方法2.状態のいい非常用発電機向き「専門中古業者」

年式が古い非常用発電機であっても、動作に問題がない場合は専門業者への売却が可能です。

非常用発電機の動作を確認した上で、専門業者に買い取ってもらえる状態と判断できれば、処分費用はかかりません。

専門の中古業者に買い取ってもらう場合は、回収場所へと運び込む手間がかかる心配が少ないのもメリットです。

見積もりから買い取りまで、専門業者が現地で実施するケースが多いため、最小の労力で処分できます。

方法3.時間に余裕がある場合は「ネットオークション・フリマアプリ」

ネットオークションやフリマアプリを活用すると、中古の非常用発電機をより高値で売却できる可能性があります。

売却の際に専門業者を必要としないぶん、仲介手数料を最小限にできるためです。

しかし、ネットオークションやフリマアプリを活用する際は、ある程度の知識が必要なことを覚えておきましょう。

買い手との信頼関係を構築するために、非常用発電機の詳細な状態を把握する必要があり、いかに適正な価格であるかを伝えなければなりません。

上記を踏まえて、ネットオークションやフリマアプリの活用を検討する際は、時間と労力に余裕を持たせておくと確実です。

方法4.資源を活用する「スクラップ業者」

破損・故障などによって動作が困難・不安定な非常用発電機は、スクラップ業者を検討するのも有効です。

非常用発電機をスクラップ業者に持ち込んだ場合は「鉄くず」として取り扱われて、一定の金額で買い取ってもらえます。

スクラップ業者を活用するときは、鉄くずの買取相場チェックを忘れてはいけません。

鉄くずの買取相場は流動的であり、場合によっては持ち込みコストのほうが高くつく可能性があるためです。

鉄くずの買取価格は、一般社団法人 日本鉄リサイクル工業会「価格推移表」に掲載されているため、処分方法を検討する際に参考にしましょう。

方法5.迅速かつ手軽な「不用品回収業者」

非常用発電機の処分に不用品回収業者を活用する方法は、運搬にかかる労力とコストのみを考慮するのみの手軽さが魅力です。

不用品回収業者は、一般的に買取は実施していないものの、不用品のほとんどを無料で回収してくれます。

ただし、業者によっては非常用発電機が回収対象とならない場合がある点に要注意。

不用品回収業者のチラシを確認したり、電話やメールで問い合わせをしたりと、非常用発電機が回収対象になっているかを確認の上で利用してください。

なお、不用品回収業者の中には、運搬車を準備して取りに来てくれる場合もあります。

運搬車で自社まで来てくれる場合は、最小限のコストと労力で非常用発電機を処分できるでしょう。

非常用発電機を処分するときの5つのポイント

非常用発電機を処分する際に、思わぬトラブルに巻き込まれる場合があります。

たとえば、売却後のトラブルや想定外の処分費用発生などです。

本章では、非常用発電機を安心して処分するための5つのポイントを解説します。

ポイント1.個人への売却はトラブルに注意

ネットオークションやフリマアプリを介した非常用発電機の処分は、売却後のトラブルに要注意です。

買い手側が使い方を理解していない・使用燃料を間違えていた、といったことに起因したトラブルが想定できます。

非常用発電機の売却後のトラブルを防止するには、以下3つのポイントに注意してください。

  • 売却時に説明書を同封する
  • 非常用発電機の燃料・形式などの詳細を書面で伝える
  • 売却後のトラブルには責任を負いかねない点を伝える

ネットオークションやフリマアプリで非常用発電機を売却した後に、問い合わせ窓口を準備するのも有効です。

専用の窓口を設置することで、主幹業務への影響を最小限にしながら、買い手へも対応できます。

ポイント2.燃料の処分方法を検討

非常用発電機を処分する際は、事前に燃料を抜いておかなければなりません。

非常用発電機に燃料が残っていては、解体や運搬の際に火災や爆発の可能性が生じるためです。

非常用発電機を安全に処分するためにも、処分する前に燃料を確実に処理しておきましょう。

なお、非常用発電機の構造や燃料の抜き取り方法はメーカーや形式によって異なります。

専門業者に相談する・メーカーに問い合わせるなど、燃料の抜き取り方法を確認しておきましょう。

ポイント3.買取費用が処分費用を上回るのはまれ

非常用発電機を売買できた場合でも、必要な労力を考慮すると、買取価格よりも処分費用が高値になる傾向があります。

特に大型の非常用発電機を設置しており、基礎を設置している場合は買取価格を処分費用が上回りやすいでしょう。

そして、非常用発電機の処分に関して問題になっているのが不法投棄です。

環境省は「廃棄物処理法の改正について」で、不法投棄をした場合に最大懲役5年・1,000万円以下の罰金を課すことを掲載しています。

非常用発電機は適切に処理できればリサイクルでき、環境問題の解決につながります。

非常用発電機の処分には一定以上のコストがかかるものの、適切に処分すべきモノであることを忘れてはいけません。

ポイント4.処分時は悪徳業者に注意

悪徳業者を見分けるポイントは見積書の内容です。

対応の良し悪し・スピーディさなどの要因もあるものの、適正な価格を確かめるには見積書を確認するしかありません。

そのため、非常用発電機の処分にどのような工事を要し、どれくらいの金額をかける予定なのかを見積書を通して確認してください。

処分費用の目安は非常用発電機の種類や規模によって異なるため、複数業者の見積もりを比較するのが確実です。

その上で、見積書に詳細が記載されているか・適正な価格であるかを確認しましょう。

ポイント5.非常用発電機はメンテナンスで使い続けるのがベスト

非常用発電機には寿命がある一方で、定期的なメンテナンスを実施することで長期間の利用が可能です。

メンテナンスを定期的に実施するのにもコストがかかりますが、買い替え・再設置の手間やコストと比較すると安く済みます。

安易に非常用発電機の買い替えを検討する前に、定期的なメンテナンスの必要性を検討し、より長く使い続けるために工夫してみましょう。

なお、非常用発電機の点検は「非常用発電機は消防法に基づく点検が必要!関係法令や必要な届出を解説」で解説しています。

非常用発電機の取り換え・メンテナンスでお悩みの方へ

本記事では、非常用発電機の処分費用や処分する方法などを解説しました。

災害が多発する中で、非常用発電機の必要性は高まっています。

当メディアを運営する株式会社ギアミクスでは、非常用発電機の撤去やメンテナンスを実施しております。

詳しくは当社ホームページの「お問い合わせ」よりご確認ください。