外壁タイルは、定期的な調査が必須です。
タイルが浮いている事態を把握せず、放置すると剥落による事故を招きかねません。
本記事では、タイル浮きの調査方法についての基礎知識を解説します。
外壁調査業者を選ぶポイントについても、あわせて参考になさってください。
目次
タイルの浮き調査は建築基準法で義務付けられている
外壁タイルの浮き調査は、建築基準法第12条で定期的な調査と報告が義務づけられています。
外壁のタイルは経年劣化をはじめとした要因により、剥がれ落ちてしまう可能性が想定でき、同時に歩行者や他の建物に対する被害を与えるリスクがあるためです。
定期的な調査・報告を怠った場合には罰則もあり、タイルを使用した外壁の調査をはじめとした外壁調査の必要性が高まりを見せています。
外壁タイルの浮き調査、2つの方法とは?
外壁タイルの浮きを調査する方法は以下の2つです。
それぞれの特徴を見ながら、外壁調査の方法を選ぶときの参考になさってください。
方法1.タイルの浮きを叩いて調査する「打診調査」
打診調査とは、打診棒・専用のパールハンマーなどで、タイルを1枚1枚叩いて調査する方法です。
タイルを叩いたときの音や感触の違いをもとに、タイルに浮きや不具合がないかを判断します。
打診調査は、作業員の経験に左右されるものの、赤外線調査に比べて信頼性の高さが特徴。
足場や高所作業車を使用するのが一般的ですが、コストが高くなりがちというデメリットも抱えています。
そこで近年では、建物の屋上からロープを吊るして作業する「ロープアクセス工法」に注目が集ま手います。
ロープアクセス工法は、足場や高所作業車が不要なため、従来工法の長期間・高コストのデメリットがなくなるのがメリットです。
なお、外壁の打診調査について詳しく知りたい方は「外壁打診調査とは?調査対象や方法を詳しく解説 」をご覧ください。
方法2.熱エネルギーを利用したタイルの浮き調査「赤外線調査」
赤外線調査とは、特殊カメラで建物が発する熱を撮影し、熱分布画像からタイルの浮きや不具合を調査する方法です。
建物を撮影後は、自社に持ち帰り分析するため、打診調査に比べて短期間・低コストで実施できるのが特徴。
ただし、天候をはじめとしたビル周囲の環境によっては精度が落ちるケースも多く、信頼性においては打診調査のほうが高いのが現状です。
打診調査と赤外線調査を併用するケースもある
外壁調査業者によっては、打診調査と赤外線調査を併用するケースもあります。
はじめに赤外線調査を行い、タイルの浮きや不具合があると思われる箇所を特定。
信頼性が高い打診調査によって、精度の高い調査結果を導き出せます。
2つの調査方法を併用することで、調査の低コスト化・期間短縮が可能なわけです。
外壁のタイルが浮く、6つの原因とは?
外壁のタイルが浮く原因を押さえておけば、早めの対策が可能です。
よって修繕費用の低コスト化も可能でしょう。
それでは、外壁のタイルが浮く6つの原因について見てみましょう。
外壁タイルが浮く原因一覧
原因1.タイルの経年劣化
タイルは劣化の進行に伴い、付着力が低下します。
そのため、タイルを長期間放置すると、劣化に耐え切れずに浮いてしまう原因になりかねません。
タイルの付着力は目で見えないうえに、紫外線をはじめとしたダメージを受けやすいため注意が必要です。
原因2.タイルの施工不良
外壁にタイルを張る際は、タイルの下地となるコンクリートは、コンパネを使用した型枠で形成されます。
その際は、コンクリートとコンパネの間に剥離剤を塗り、コンクリートが固まってコンパネを剥がした後に洗い流すのが一般的です。
しかし何等かの理由により、剥離剤を洗い流さない・洗い流したものの残っている、といったケースが想定されます。
剥離剤が原因のタイル浮きは、新築時から時間が経過しなければ発生しないため、日常的な点検が必要です。
原因3.タイル・コンクリート・シーリングの温度・湿度差
タイルとコンクリートは、温度差による膨張と収縮を繰り返す特徴を持ちます。
タイルとコンクリートでは、膨張率と収縮率に差があるため、繰り返すうちに剥離してしまうというメカニズムです。
同時に、タイルとシーリング材は湿度変化の繰り返しによって剥離を招きます。
シーリング材は湿度が高ければ膨張し、低ければ収縮するためです。
窓の四隅や、朝と夕方で日当たりの差が大きい東側・西側など、温度・湿度差が発生しやすいポイントに気を付けましょう。
原因4.地震による建物の変形
地震や浸水など、自然災害は建物の変形を生み出すリスクがあります。
建物は水平を基準に建築され、タイルもそうした建物に合わせて貼られるため、建物が変形するとタイルが浮いてしまう原因になり得ます。
建物の変形が疑われるときは、ボールを床に置いてみましょう。
力を加えずにボールが転がれば、建物が変形している可能性が高いことがわかります。
原因5.タイルひび割れの凍結・融解
タイルにひび割れがある場合、入り込んだ水分の凍結と融解によって浮きを引き起こす可能性があります。
水分は凍結・融解にともなって体積が変化し、タイルの浮きを促進してしまうためです。
原因6.鉄筋のサビ
何等かの原因によって、鉄筋にサビが生じた場合、タイル浮きの原因になるケースがあります。
サビの膨張によってコンクリート躯体と仕上げ層が押し上がり、建物の変形に似た状態を作り出すリスクがあるためです。
浮いたタイルを修繕できる2つの工法とは?
浮いたタイルを修繕する工法は、おもに下記の2つです。
それぞれの特徴を解説しますので、修繕方法選びで悩んだ際にご活用ください。
工法1.職人がタイルを貼り付ける「湿式工法」
湿式工法とは、モルタルでタイルを張り付ける方法です。
職人が1枚ずつ手作業で張り付けるため、仕上がりが職人の腕によって左右されるのが特徴です。
熟練の職人が手掛ければ、高い耐久性と美しい仕上がりに期待できる反面、天候によって作業に遅れが生じるのがデメリット。
一方で、マンションやビルなどの大規模建築物では「タイル先付け工法」を用います。
タイル先付け工法とは、コンクリートの下地を作るのと同時に外壁タイルも施工する方法です。
タイルを張り付けたコンクリート下地は工場で生産される場合もあり、天候に左右されにくく、品質も安定しやすいのがメリットです。
工法2.一定品質で仕上がる「乾式工法」
乾式工法とは、ベースとなるサイディングにタイルを接着剤で張り付ける方法です。
接着剤の質の悪さが問題視されたことがあったものの、近年では耐震性にもすぐれた接着剤が使用されるため安心です。
乾式工法はモルタルを使用しないため、職人の腕に関わらず、一定品質に期待できるのがメリット。
なお、下地に使用されるサイディングは経年劣化の心配がほとんどありません。
サイディングの上にタイルが貼られ、紫外線や風雨が直接当たらないためです。
タイル浮きの調査方法選びに役立つ3つのポイント
タイル浮きの調査を依頼する業者選びで失敗しないためには、以下3つのポイントが大切です。
さっそく詳しく見てみましょう。
なお、外壁調査の費用について詳しく知りたい場合は「外壁調査の費用相場とは?おこなう理由や方法、業者選びのポイントを解説 」をご覧ください。
ポイント1.タイル浮きにかかる調査費用
打診調査は足場や高所作業車が必要な分、赤外線調査よりも費用が高くなります。
赤外線調査はドローンでの撮影技術も進化しており、高層ビルでもタイル浮きの調査が可能。
さらに低コストで済むため、調査費用を抑えたい場合は赤外線調査がいいでしょう。
しかし、近年では足場や高所作業車を使わないロープアクセス工法が広がりつつあります。
ロープアクセス工法は従来の打診調査と比較して、大幅なコストダウンに成功しています。
コストに重点をおいて検討する際は、ロープアクセス工法についてもチェックしておきましょう。
ポイント2.タイル浮き調査の正確性
タイル浮き調査の正確性という観点では、打診調査が最も信頼できます。
なぜなら、外壁の熱エネルギーを頼りに調査する赤外線調査はタイル浮きのほか、雨漏りをはじめとした要因によっても左右されやすいためです。
なお、打診調査を業者に依頼する際は、作業員の熟練度を確認しておきましょう。
作業員の熟練度は、業者サイトの実績ページのほか、SNSなどからもチェック可能です。
熟練度の高い作業員が多いほど、より正確性が高い調査に期待できます。
ポイント3.タイル浮き調査に必要な期間の長さ
打診調査は足場の設置期間も考慮してスケジューリングするのに対し、赤外線調査は早ければ1日で調査が終了します。
したがって、短期間での調査を希望する場合は赤外線調査を選ぶのがいいでしょう。
ただし、打診調査の中でもロープアクセス工法であれば、赤外線調査と同じように短期間での調査が可能です。
ロープアクセス工法によるタイル浮き調査に対応する業者の中には、最短即日という短期間を実現する業者もあります。
外壁タイルの浮きの調査を検討している方へ
外壁タイルの浮き調査は、建物を安全に運営するうえで非常に大切です。
そして、正確性の高さと低コストを両立できるのがロープアクセス工法による打診調査です。
株式会社ギアミクスでは、ロープアクセス工法を用いた外壁調査を実施しております。
さらに、タイルの浮き・不具合の修繕にも対応しており、点検から修繕までワンストップで利用可能。
外壁タイルの浮き調査でお悩みの際は、気軽にご相談ください。