ロープアクセスで外壁や屋根塗装は可能?基礎・手順・費用などを解説

ロープアクセスで外壁や屋根塗装は可能?基礎・手順・費用などを解説

ロープアクセスは、外壁の塗装・点検・補修など、様々な目的に活用できため注目を集めています。

ロープアクセスが対応できるのは、ビル・橋梁・ダムなどと幅広い一方で、歴史が浅いことで認知度が低い一面も。

本記事では、ロープアクセスの基礎知識とともに、塗装の手順や費用の相場を解説します。

ロープアクセスとは?

ロープアクセスとは、メインロープとバックアップロープの2本を用いて、技術者の体を保持しながら作業を行う無足場工法です。

2016年には、労働安全衛生規則 第9章でロープアクセスに関する項目が追加されており、国が認めた工法となりました。

本章では、ロープアクセスの安全性・柔軟性がなぜ高いのかを、基礎知識として解説します。

1.安全性が高いロープアクセス

ロープアクセスは、使用するロープやカラビナ(おもに登山に使用される固定具)などの強度が高く、足場がなくても体を支えるのに十分な性能があるため安全です。

実際に、ロープアクセス技術の安全運用・無事故を目的として設立された「IRATA」の統計によると、2019年に世界で発生したロープアクセスの死亡事故は1件のみ。

死亡事故の原因はヒューマンエラーだったことから、使用するロープやカラビナの性能の高さがわかります。

日本ではヒューマンエラーを防止するために、特別教室の実施をはじめとした対策を実施しているため、ロープアクセスは安全性の高い工法と言えるでしょう。

2.ロープアクセスで足場費用を削減

ロープアクセスは、足場の設置が不要のため、外壁塗装の大幅なコストカットが可能です。

足場を設置しての外壁塗装は、足場設置・塗装・足場撤去と、大きく分けて3つの工程が必要。

ロープアクセスで外壁塗装をする場合は、塗装の工程のみで済むため、足場設置費用に加えて人件費を抑えやすいのは明白です。

ロープアクセスは、建築物の利用者に影響が少ないのもポイントです。

足場によって景観を損ねたり、建築物の周囲で動線が制限されたり、といった心配はいりません。

3.特殊条件下でロープアクセスが柔軟性を発揮

ロープアクセスは、足場の設置が困難な建築物にも柔軟に対応できます。

たとえば、隣接する建物との距離が近い・複雑な形状をしている・河川にかかった橋梁などです。

ロープアクセスは、細かな高さ調整が可能な点もメリット。

足場の上での作業は、作業可能な範囲が作業者の身長に依存する場合がありますが、ロープアクセスはロープの長さ調整でカバーできます。

つまり、ロープアクセスは高さを無段階に調整できるぶん、より柔軟な対応が可能ということです。

ロープアクセスは、様々な環境下で無理なくムラのない塗装を実現します。

ロープアクセスの外壁・屋根を塗装する3つの手順

ロープアクセスで外壁や屋根を塗装する場合は、塗料飛散対策を施した上で塗装作業を実施します。

本章では、各工程の詳細を解説します。

なお、厳密には本章で解説する手順のほかに、現地調査・見積もり・報告書作成などが加わります。

手順1.塗料飛散防止のメッシュシートを設置

外壁や屋根を塗装する際は、建物の周囲に塗料を飛散させないための対策が必須です。

「足場なしではメッシュシートを張るのは困難なのでは?」と感じるかもしれませんが、屋上に単管パイプを仮設することで、メッシュシートを固定できます。

メッシュシートの固定する方法は様々ですが、代表的なのが「シート朝顔」という固定金具を使う方法です。

シート朝顔は、単管パイプに設置できるシート固定用の金具。

すき間のないように設置できるため、塗料やハケなどの落下・飛散から歩行者を保護できます。

建物周囲の安全を確保したのち、次の工程に移ります。

手順2.ロープアクセスで外壁の下地処理

外壁の下地処理は、外壁の細かなクラック(亀裂)をはじめとした傷を補修する工程です。

使用される補修材は、外壁や屋根の部材に合わせて、モルタル・シーリング・エポキシ樹脂などを使用します。

外壁の突出した部分の下側も丁寧に点検し、補修作業をすすめます。

手順3.外壁・屋根をロープアクセスで塗装

外壁や屋根を塗装する工程は、下塗り・中塗り・上塗りの3つに分かれます。

下塗りは外壁材と塗料の接着力を高めるのが目的であり、中塗り・上塗りは塗膜を厚くして下地を守り、塗装の寿命を延ばすのが目的です。

使用する塗料によっては2回の塗装で完了するケースもありますが、外壁塗装は3回が基本と覚えておきましょう。

なお、下地の状態によっては4回塗装する場合もあります。

見積もりを確認した際に、塗装の回数が3回でない場合は、業者に理由を確認しておくと安心です。

ロープアクセスの外壁・屋根塗装は2,500円/㎡が目安

ロープアクセスで外壁塗装を実施する際の料金の目安は、以下の通りです。

  • 外壁塗装:2,500/㎡
  • 屋根塗装:2,500/㎡
  • 配管塗装:2,500/㎡
  • 塗床:2,500/㎡

料金の目安は、ロープアクセス業者を比較するときの判断材料のひとつとして把握しておきましょう。

ロープアクセスは外壁調査の低コスト化も実現

外壁塗装は、建物の景観を保つために必要であるものの、落壁を防止するための外壁調査も大切です。

建築基準法では、定期報告対象建築物と外壁打診調査対象に該当する建物に対して、10年に1度の調査が義務化されています。

外壁打診調査とは、ハンマーを使って外壁を叩いたときの音の違いで、外壁のダメージを調査すること。

対象の建物は、定期的な外壁打診調査と報告書の提出を怠った場合は、最高100万円の罰金がかせられるため忘れずに実施してください。

ロープアクセスは外壁打診調査にも対応しているため、外壁塗装の際に一緒に依頼するのも良いでしょう。

なお、外壁打診調査の詳細は「外壁打診調査とは?調査対象や方法を詳しく解説」に掲載しています。

屋根・外壁塗装のロープアクセス業者を選ぶ3つのポイント

ロープアクセスでの屋根・外壁の塗装を依頼する場合は、悪徳業者に注意が必要です。

見積もりでは適正価格を提示していても、実際の請求金額が相場とかけ離れている場合もあります。

本章では、悪徳業者を見分けるためのポイントを中心に解説します。

ポイント1.信頼度の高いロープアクセス業者か確認

ロープアクセス業者の信頼度を推し量るポイントは、以下の3つです。

  • 問い合わせへの対応
  • ヒアリング
  • 見積書

まずは、メールや電話でロープアクセス業者に問い合わせて、対応が丁寧かどうかをチェックします。

メールの文面が乱れている・電話の接遇マナーが悪いなどの場合は、依頼を避けたほうが安心です。

続いて、現地確認をはじめとしたタイミングで実施されるヒアリングで、依頼する側の要望を丁寧に聞いてくれるかを確認します。

ヒアリングは、塗装する場所・範囲などのほか、塗装の色合いを決める大切な場です。

依頼される側としては、顧客のニーズに応じるために不可欠なため、適正な業者は丁寧に対応してくれます。

最後に、見積書を確認しましょう。

見積書には専門用語が記載されることもあり、隅々までチェックするのは手間に感じるかもしれません。

そのため、見積書をチェックするときは、作業内容が詳細に記載されているかをチェックしてください。

作業内容一式といったように記載されている場合は要注意。

作業内容は、どの工程でどの資材を使用して、それぞれにどれくらいの料金が発生するかを確認できるように記載されているべきです。

多くのロープアクセス業者は、見積もり無料としているため、問い合わせ・ヒアリング・見積もりまでは料金が発生しません。

上記のポイントは、悪徳業者を見分けるために、慎重にチェックしてください。

ポイント2.ロープアクセス業者の実績をチェック

ロープアクセス業者の実績は、ホームページやSNSで確認できます。

実績ページからは、作業を実施した建物の形状や作業内容を把握できるほか、作業員の実力を推し量れます。

実績が豊富なほど、作業員は現場の経験が多く、より正確な作業に期待できるためです。

ホームページを閲覧する際は、外壁塗装のほかに、どのようなサービスを提供しているかもチェックしておきましょう。

メンテナンスが必要な個所が外壁・屋根塗装以外にもある場合に、同時に依頼できれば業者管理が容易になるためです。

たとえばオフィスビルには、高圧電気を変圧するためのキュービクルが設置されています。

キュービクルは、安全を保持するために定期的な点検が義務付けられている設備。

外壁・屋根塗装やキュービクルの点検などは、依頼する業者を一本化することで管理業務が簡易化されて業務効率化につながるでしょう。

キュービクルの点検は「キュービクルは保安点検が義務!点検内容や法律、費用などを解説」をご覧ください。

ポイント3.対応地域に該当するロープアクセス業者を選ぶ

悪徳業者の見分けや実績をチェックする中で、抜けてしまいがちなのが対応地域の確認です。

極端な例ですが、鹿児島県にあるロープアクセス業者が、北海道の建物に対応するのは現実的ではありません。

業者の規模によっては、市内のみ・県北部のみといった場合もあるため、対応地域を確認しておきましょう。

ロープアクセスによる屋根・外壁の塗装を検討中の方へ

本記事では、ロープアクセスで建物の外壁・屋根を塗装する手順や基礎知識を解説しました。

特にお伝えしたいポイントは、下記の3つです。

  • ロープアクセスは低コストで外壁・屋根塗装を実施可能
  • ロープアクセスは工期の短縮を実現
  • ロープアクセス業者を選ぶときは対応・見積書・実績をチェック

当メディアを運営するギアミクス株式会社は、ロープアクセスを用いた外壁打診調査を中心に、外壁・屋根塗装やキュービクル点検などのビルメンテナンスサービスを提供しております。

丁寧な対応やヒアリングを実施して、お客様の様々な要望にこたえて参りますので、外壁・屋根の塗装でお悩みの際はぜひお声がけください。