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常用発電機とは?非常用発電機との違いや導入のメリットを解説

常用発電機とは?非常用発電機との違いや導入のメリットを解説

燃料費の高騰にともなう電気のコスト高の影響を受け、常用発電機への注目が集まっています。

しかし、常用発電機は非常用発電機として使用できないのでしょうか?

また、常用発電機と非常用発電機の違いはなんなのでしょうか?

本記事では、常用発電機と非常用発電機の違いをはじめとした基礎知識を解説します。

常用発電機のメリット・選び方・注意点も、あわせてご覧ください。

常用発電機とは?

常用発電機は、自家発電設備のひとつであり、工場や電源がない地域での作業に日常的に使用されます。

常用発電機は、用途に応じて発電専用・コージェネレーション用・常用防災兼用の3種類に分類され、幅広い分野で活用されています。

本章では、常用発電機の基礎知識を解説します。

1.非常用発電機との違いは運転時間と点検頻度

常用発電機と非常用発電機の運転時間・点検頻度を比較してみましょう。

  • 常用発電機:長時間運転を想定。点検頻度は年に4~12回。
  • 非常用発電機:短時間運転を想定。1時間以上の運転は長時間対応型を選ぶ必要がある。点検頻度は年に1回。

非常用発電機「非常用発電機は消防法に基づく点検が必要!関係法令や必要な届出を解説」で解説しているように、消防法および建築基準法によって定期的な点検が義務化されています。

対して、常用発電機は建築基準法によって6ヶ月から1年の間隔で、特定行政庁が定める時期に報告することが義務(参照:日本内燃力発電設備協会 内発協ニュース10月号 通巻第199号)です。

常用発電機は、使用頻度の高さや稼働時間が多いため、非常用発電機よりも短期間での点検を要します。

2.常用発電機はコージェネレーションに活用可能

常用発電機の主要な目的としては、工場や商業施設などのピークカットによる節電です。

しかし、近年では発電機の排熱を給湯や冷暖房に利用するコージェネレーションを目的とするケースも増加しています。

発電機が排出する熱を有効活用することで、エネルギー効率を向上させるのです。

設備の内容によるものの、コージェネレーションにより、総合的なエネルギー効率の7~8割向上を実現。

常用発電機の排熱を有効活用することで、サステナブルな取り組みへの可能性が見出されました。

3.常用発電機の耐用年数は15年

経済産業省の「租税特別措置等に係る制作の事前評価書」によると、コージェネレーションの法定耐用年数は15年とされています。

コージェネレーションは、常用発電機の導入が前提となっているため、常用発電機の耐用年数も15年と考えて良いでしょう。

なお、常用発電機やコージェネレーションは、法定耐用年数まで使い続けるために定期的なメンテナンスが必要です。

常用発電機やコージェネレーションに組み込まれている部品の中には、法定耐用年数を待たずに、メーカーの耐用年数を守って交換する場合がある点にも要注意。

常用発電機・コージェネレーションを導入する際は、部品ごとの耐用年数やメンテナンスの間隔などをチェックしておきましょう。

4.必要な届出は非常用発電機とほぼ同様

常用発電機や非常用発電機の設置に際して、必要な届出はおもに以下の2つです。

  • 経済産業局申請手続き:公害防止に関する工事計画書の届出
  • 消防署申請手続き:電気設備設置(変更)届出・仕様書(説明書)・少量危険物貯蔵取扱届出

常用・非常を問わず、必要な届出は基本的に同じです。

ただし、常用発電機の場合は国土交通省が定める騒音基準値(98dB)をクリアする必要があります。

非常用発電機は騒音基準値のクリアは不必要なものの、自治体によっては騒音源と定めている場合も。

騒音については、98dBを目安として、発電機の設置前に各自治体に確認しておくと安心です。

常用発電機を導入する3つのメリットとは?

常用発電機は、決して安い買い物ではありません。

しかし、常用発電機には投資をするだけの価値があります。

本章では、常用発電機を導入する3つのメリットを解説します。

メリット1.ピークカットで光熱費削減

常用発電機は、消費電力の多い時間帯のピークカットに有効です。

近年では、太陽光発電をはじめとした再エネと蓄電池を組み合わせる手法も一般的になりつつあるのも事実。

しかし、再エネは天候に左右されやすく、出力が不安定になりがちなのがネックです。

実際に、関西電力では出力が不安定な点を課題として、公式サイトの「再生エネルギーの課題」で言及しています。

その点、常用発電機は安定した電力を獲得できるため、ピークカットに有効です。

メリット2.非常時の電力源に活用

常用発電機の中には、非常用発電機としての機能を兼ねているタイプの製品も販売されています。

常用発電機を非常用発電機と兼ねる場合のメリットは、いざという場面で動作不良を引き起こすリスクが低減すること。

たとえば、総務省消防局は「東日本大震災における自家発電設備のメンテナンス不良による不始動・停止台数」で、非常用発電機のうち約5%が不始動・停止したことを発表しました。

しかし、日常的に動作させる常用発電機の場合は、メンテナンス不良の早期発見が可能です。

メンテナンス不良が早期に発見されれば、非常時に動かないと言うリスクが回避できます。

メリット3.BCP対策に有効

日本は地震大国として知られているほか、近年では自然災害による被害が拡大しています。

実際に、国土交通省が発表した「国土交通白書2020」では、自然災害の頻発・激甚化を課題視。

同時に、非常時に事業を継続させる計画であるBCPを策定する重要性が高まっています。

そのため、新たに発電機を設置する場合は、常用・非常用を兼ねた製品を選ぶ企業が増加する傾向にあります。

常用発電機を選ぶときの3つのポイント

常用発電機の導入決定後に、どのような製品を選ぶべきかを悩む声が多く聞かれます。

本章では、常用発電機選びの3つのポイントを解説します。

ポイント1.常用・防災兼用の常用発電機か

BCP対策としての観点も含めて発電機を設置する場合は、常用・防災兼用の発電機を選びましょう。

常用発電機としての性能も追求する場合は、定置式LPガス発電機がおすすめ。

定置式LPガス発電機は、連続運転時間が長く、災害時にも燃料供給が途絶えにくいのが特徴です。

定置式LPガス発電機は「石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金」にも該当しているため、導入する際は活用を検討するとイニシャルコストダウンにつながります。

なお、非常用発電機の種類は「BCPに発電機が必須な理由とは?基礎知識と非常用電源の種類を解説」をご覧ください。

ポイント2.常用発電機の容量は適正か

常用発電機の適正な容量は、どのタイミングで稼働させるかによって異なります。

仮に、工場内の機械の動作が安定した後に稼働させた場合は、必要電力量は一定です。

しかし、機械の動作電力もカバーするとなった場合は、初動時の電力も含めた計算が必要です。

非常用発電機と兼用するときは、上記の電力量計算に加えて、非常時に稼働する機器の電力量も計算しなければなりません。

ポイント3.定置式か移動式か

定置式発電機か移動式発電機かを選ぶ際は、使用場所をもとに検討します。

製造工場であれば発電機を動かす必要がないため定置式が、林間での作業には移動式が適切でしょう。

定置式と移動式のどちらにするかによって、使い勝手のいい燃料が異なる点にも気を付けてください。

たとえば移動式の場合は、作業場所の近くで補給しやすいガソリンや軽油が便利です。

対して、定置式はコストパフォーマンスや安全性を優先してLPガスが適しています。

常用発電機は、使用するシーンに応じて多角的な視点での検討が必要です。

常用発電機を導入するときの2つの注意点

常用発電機にかけるコストに見合った結果を得るためには、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

本章では、常用発電機を導入するときの2つの注意点を解説します。

注意点1.目的を明確化

常用発電機は、なぜ・何のために導入するかを明確にする必要があります。

なぜなら、常用発電機選びやコストに気を取られて、目的に沿わない製品を導入するケースがあるためです。

ピークカット・主要電源など、常用発電機を導入する目的を明確にした上で、検討チームで共有するのが大切です。

特に、イニシャルコストに気を取られないようにしましょう。

イニシャルコストが高くても、長期的に計算すると十分なパフォーマンスを発揮できる場合もあります。

注意点2.ランニングコストを考慮

常用発電機は、可燃性の燃料を扱うことから、定期的なメンテナンス・点検が欠かせません。

そのため、導入を検討する際は、常用発電機ごとにランニングコストを比較すべきでしょう。

発電機の点検方法は、おもに下記の2種類です。

  • 実負荷試験:発電機に実際に使用する機器を接続して負荷をかける点検方法。施設内の停電や、負荷が安定しにくい上に、多くの人員を要するためコスト高。
  • 模擬負荷試験:発電機に専門の機器を接続して疑似的な負荷をかける点検方法。停電リスクがなく、負荷が安定して精度の高い結果が得られる。少人数で対応できて低コスト。

上記のように、点検方法によっては不要なコストが発生することもあります。

点検は、低コストで精度の高い模擬負荷試験を実施している業者に依頼すると、ランニングコストを抑えられます。

常用発電機・非常用発電機のメンテナンスでお悩みの方へ

本記事では、常用発電機と非常用発電機の違い・導入のメリット・選び方をお伝えしました。

電気代が高騰を続ける中で、光熱費の削減が必要な場合は、常用発電機の導入を検討してみましょう。

なお、当メディアを運営する株式会社ギアミクスでは、非常用発電機の模擬負荷試験を実施しています。

当社は、現地の状況に合わせた柔軟な提案力と豊富なノウハウで、コストと品質を両立させたサービスを提供致します。

常用発電機・非常用発電機のメンテナンスでお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。