雨漏りの原因箇所を正確に突き止めるのは、難しい作業だと知っていますか。
雨漏り調査の方法には目視調査や散水調査などありますが、近年は赤外線サーモグラフィーによる調査が注目の的です。
本記事では、赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査方法やメリット・デメリット、調査に向き不向きの建物、費用相場などを紹介します。
赤外線サーモグラフィーによる調査は、建物や外壁を傷つけることなく、雨漏り箇所を特定できる精度の高い調査です。
雨漏りの原因を突き止めたい、雨漏りでお困りの方は、ぜひ最後までご一読ください。
目次
赤外線サーモグラフィー調査とは
赤外線サーモグラフィー調査とは、高感度赤外線カメラを使用して、雨漏りの原因を突き止める調査方法です。
赤外線カメラで建物や外壁、屋根など雨漏りの原因と疑われる箇所を撮影し、表面温度を測定します。
雨漏りした箇所は、雨水の影響で表面温度が下がっているのが特徴です。
赤外線カメラを使用すれば、1℃単位の目視では確認できない細かな温度差でも、はっきり色分けをして表示されます。
温度差を可視化することで、雨漏りの発生箇所がどこにあるのかを正確に突き止めることが可能です。
雨漏りの他に赤外線サーモグラフィー調査でわかること
赤外線サーモグラフィー調査では、雨漏りの原因箇所を断定する以外にもわかることがあります。
判断できる欠陥の一例は、以下の通りです。
- 結露
- 断熱材の欠損
- 壁内の筋交い
もちろん、すべての欠陥を発見することはできません。
しかし、赤外線サーモグラフィー調査により建物内外などで温度差が生じると、肉眼では確認できない細かな異変を把握できます。
赤外線サーモグラフィー以外の雨漏り調査
赤外線サーモグラフィー以外にも雨漏りを調査する方法を紹介します。
雨漏りの状況によって、調査方法を使い分けて調査の精度を高めましょう。
目視調査
目視調査は、専門業者が雨漏りと疑われる箇所を目で見て、雨漏り箇所を特定する方法です。
調査時間は30分〜半日で、屋根のひび割れや天井などを目視で調査します。
「無料調査」をセールスポイントとしている業者は、目視調査を実施しているのが多いです。
費用は抑えられますが、担当者の技術や経験により調査の精度が異なることは覚えておきましょう。
散水調査
散水調査は、ホースやバケツで実際の雨を再現して、雨水の浸入経路を断定する方法です。
水量や水をかける向き、強さ、時間帯など、さまざまな状況を想定して調査します。
調査に必要なのは水だけなので、調査費用が安く済むのが特徴です。
原因が特定できない場合は、何通りもの散水を試さなければならないので注意してください。
発光液調査
発光液調査とは、紫外線に当てると発光する液体を使用し、雨漏りの箇所を特定する方法です。
目視では確認しづらい屋根裏など暗い場所で発生した雨漏りでも、視覚的に調査できます。
発光液調査は、天候に左右されることなく調査が可能な点も特徴です。
さらに、異なる発光液を使用すれば、複数の場所で発生した雨漏りも調べられます。
発光液は無色透明で、紫外線ライトを当てた時のみに反応し、調査後も建物内に残る心配はないので安心してください。
けれども、特殊な検査液を使用するので、調査費用が高額になります。
ガス調査
ガス調査は、人体に無害なガスを雨漏り箇所から注入し、室外のガス検知器で感知する方法です。
マンションなどのRC(鉄筋コンクリート)構造に向いている調査といわれています。
ガスや空気を室内に入れるだけなので、肉眼では判断できない僅かな侵入口も見逃さず、雨漏りの発生箇所を特定できるのが特徴です。
また、ホースなどで雨漏りの状況を再現する必要がないため、短時間で済みます。
ただし、室内に入れるガスや空気を送り込むコンプレッサーなどの設備が必要なため、調査費用は安くはありません。
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査のメリット
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査の主なメリット4つを紹介します。
天井や壁が傷つかない
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査なら、調査時に建物の天井や壁を壊す必要がありません。
建物に負荷をかけることなく、調査できます。
原因の発見率が高い
赤外線サーモグラフィーカメラは高精度なため、原因の発見率が高いのもメリットといえます。
目視では見落としがちな、外壁の小さなひび割れが原因の雨漏りの特定も見逃しません。
水滴が落ちるような雨漏りではなくても、天井や壁に水分が含まれているかどうかを可視化できます。
調査時間が短い
赤外線サーモグラフィーカメラは、一軒家全体など広範囲を映すことが可能です。
雨漏りしている箇所を一目で断定できるため、調査に要する時間を短縮でき、作業効率が良いといえます。
足場が不必要で費用が安い
赤外線サーモグラフィー調査は、広範囲を一目で可視化できるため、足場を組む必要がありません。
調査対象の建物に接近できなくても遠距離から撮影ができ、雨漏りの診断が可能です。
例えば、スレートや瓦のひび割れが原因で浸水したと考えられる場合、目視調査だと人の目が行き届かないため足場を組む必要があります。
足場の設置には、費用も時間もかかりがちです。
足場が不要な赤外線サーモグラフィー調査なら、安心かつ検査費用を最小限に抑えられます。
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査のデメリット
メリットが多い赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査ですが、残念ながらデメリットもあります。
主なデメリットは、以下を参考にしてください。
- 赤外線サーモグラフィーカメラが高価なため、費用が高額になりがち
- 雨の日は調査が不可能
- 調査できない建築構造に注意が必要
- 正確な調査には業者の建築知識や経験も必須
赤外線サーモグラフィー調査の際には、高感度赤外線カメラという専門的で高額な機材が必須です。
遠赤外線で測定する機器のため、雨の日に調査すると、雨で濡れているだけの箇所と雨漏り箇所との区別がつきません。
調査日が天候に左右されるのは、デメリットといえます。
また、熱画像を撮影するだけでは、雨漏りの原因を判断できません。
室内外の温度環境や建物の構造に精通している業者でなければ、正確な原因解析ができない恐れがあります。
無駄な費用や時間を省くためにも、赤外線サーモグラフィー調査に熟知している業者に依頼しましょう。
雨漏りの赤外線サーモグラフィー調査に向いている建物とは?
赤外線サーモグラフィー調査は、原則どのような建物でも雨漏り調査は可能です。
ただし、条件によっては適していない建物もあります。
赤外線サーモグラフィー調査に向いている建物は、以下の通りです。
- 雨漏りがサッシや壁際から発生している
- 外壁がモルタル、ALC板が貼ってある建物
- 建物と隣地の距離が5m以上離れている
- 建物が全面道路に面している
- 建物が角地に立地している
赤外線サーモグラフィーカメラを三脚に立てて建物全体を撮影するため、雨漏りの原因がサッシや壁際だと予測された時には最適です。
調査対象である建物の周囲が囲まれていないと、機材が入りやすく、スムーズに撮影できます。
一方で、以下のような建物は赤外線サーモグラフィー調査に不向きです。
- トタンやガルバリウム鋼板などの金属製の屋根・壁の建物
- 隣地の距離が4m未満の建物
- 周囲の電線や建物に囲まれている建物
木造建築だと雨漏り発生から時間が経過すると、侵入した雨水を建物が吸収・乾燥して温度差がなくなる場合があります。
しかし、雨漏りを再現する散水調査と併用することで、赤外線サーモグラフィー調査の実施が可能です。
誤診を防ぐためにも、建物が赤外線サーモグラフィー調査に適しているかどうかを業者に確認することをおすすめします。
赤外線サーモグラフィー調査の費用相場
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査の費用相場は、20〜30万円です。
ただし、現場の状況や調査場所、調査箇所の数によって、追加料金が発生する場合があります。
赤外線サーモグラフィー調査以外の費用相場は、以下を参考にしてください。
- 目視調査 無料~
- 散水調査 5~20万円
- 発光液調査 12~25万円
- ガス調査 15~35万円
※雨漏りの修理費用の相場について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
雨漏り修理の費用相場はいくらなの?失敗しない業者の選び方も解説
業者に雨漏りの赤外線サーモグラフィー調査を依頼する際の注意点
雨漏りの原因解析に、専門的な知識と経験を必要とする赤外線サーモグラフィーは信頼できる業者に依頼しましょう。
業者に雨漏りの赤外線サーモグラフィー調査を依頼する際の注意点を3つ紹介します。
有資格者がいるかどうか
赤外線サーモグラフィーに関する有資格者がいるかどうかをチェックしましょう。
例えば、赤外線建物診断技能士が在籍しているかどうかを確認してください。
赤外線建物診断技能士とは、赤外線サーモグラフィーを使用して雨漏り箇所を総合的に診断し、改修箇所や改修方法などをアドバイスする専門家です。
雨水が侵入した箇所を断定するのは、複雑でプロでも見誤る場合も否定できません。
サーモグラフィーの撮影技術のみならず、建築の知識などを有している経験豊富なプロの業者に依頼しましょう。
アフターフォローがあるかどうか
調査・修理後のアフターフォローが充実しているかどうかも大切です。
雨漏りは、大雨や強い台風が来れば再発する可能性は否定できません。
定期的にアフターフォローやメンテナンスを実施してくれる業者を選べば、大事な建物を守れます。
明朗会計かどうか
明朗会計かどうかも業者を見極める際に重要です。
悪徳業者に依頼すると、見積書の内容が曖昧である可能性があります。
誰が見てもわかるような見積書でないと、追加料金を請求されるリスクがあるなど注意が必要です。
料金が適正かどうかを判断するためにも、相見積もりを取ることもおすすめします。
雨漏りが発生したら赤外線サーモグラフィー調査を業者に依頼しよう
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査は、高精度なカメラを使用して、雨漏りの原因を正確に突き止めることが可能です。
建物に負荷をかけずに調査ができ、目視では判断できない箇所の雨漏りも特定できます。
ただし、調査に不向きな建物もあるので、あらかじめ確認することを忘れないでください。
また、調査する建物の構造や知識、撮影スキルなどを有するため、必ず調査は実績のあるプロの業者に任せましょう。
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雨漏り調査でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※ロープアクセスについては、下記の記事で詳しく紹介しています。
無足場工法とは?足場を組まない工法のメリット・デメリットを紹介