外壁調査は、適切なビルの管理に欠かせません。
「歩行中に頭上から外壁が落ちてきた」という事態を回避するためです。
しかし外壁調査では、どのような調査が行われるのでしょうか。
今回は、外壁調査について詳しく解説します。
外壁調査が求められる背景とは?
ビルの外壁調査が求められる背景は以下の通りです。
さっそく、背景の詳細についてお伝えします。
外壁調査の基本としてご参考いただければ幸いです。
外壁調査で落壁リスクを減らせる
落壁事故の例を紹介します。
- 平成25年6月15日:3階建てビルにおいて、3階部分の外壁モルタル(垂壁)の一部が落下し、通行人に被害を及ぼした。
- 平成26年6月5日:6階建て共同住宅の外壁モルタルの一部が落下した。
- 平成26年7月14日:3階建て店舗付住宅の2階、3階部分の外壁タイルの一部が落下した。
- 平成26年8月10日:8階建て共同住宅の外壁タイルの一部が落下した。
- 平成26年11月30日:6階建て共同住宅の屋上パラペット部分の外壁タイルの一部が落下した。
- 平成27年5月28日:6階建てビルの3~5階部分の外壁モルタルの一部が落下し、隣地に被害を及ぼした。
- 平成28年7月7日: 9階建てビルで6階部分の外壁タイルの一部が落下し、通行人に被害を及ぼした。
- 平成29年3月15日:10階建て共同住宅の10階バルコニーの外壁タイルの一部が落下した。
- 平成29年7月24日: 5階建て共同住宅の5階バルコニーの外壁タイルの一部が落下した。
- 平成29年9月26日:4階建てビルで3階部分の外壁パネルの一部が落下した。
- 平成30年4月10日: 6階建てビルで4階部分の外壁タイルの一部が落下した。
上記は大阪市の「外壁等の落下防止対策のお願い」より引用した事故の一覧です。
中には通行人に被害が及んだ例があるのもご理解いただけるでしょう。
外壁調査では、経年劣化によってもろくなった壁を見分けられます。
外壁調査によって、落壁による事故を減らせます。
外壁調査は建築基準法で定められている
外壁調査は平成20年4月1日に制定された建築基準法で義務付けられました。
建築基準法によると、一定数以上の人が利用する建築物について、建築及び外壁改修をしてから10年が経過した年に外壁の全面調査が必要です。
同時に、外壁調査をした際の報告義務も発生します。
報告を怠った場合は100万円以下の罰金が課せられる場合も。
外壁調査に関する建築基準法は厳しい内容ですが、長期的に見るとメリットとなる一面もあります。
専門家による定期的な点検によって、こまめに修繕・維持ができれば、最終的な維持保全費用の削減が可能です。
万が一の際は外壁調査報告書が重要な資料に
落壁事故は発生させないように努めるのが大前提ですが、外壁調査と修繕を行っていても、事故が発生するリスクをゼロにするのは困難です。
万が一、事故が発生した場合は外壁調査報告書が重要な参考資料となり、ビルの管理者として適切な行動をしていたかを示せる可能性も。
悲惨な事故を防ぐためにも、外壁は必ず毎年調査すべきです。
外壁調査に用いる2つの工法とは?
外壁調査に用いられる工法は以下の2種類です。
2種類の外壁調査には、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
外壁調査の工法について詳しく解説します。
外壁調査の工法1.打診調査
打診調査とは、専用器具を使用して外壁を調査する方法です。
壁を叩いたときの音の高低を感じ取り、壁の浮きや内部の損傷を発見します。
打診調査のメリットは、外壁の目視による確認や触診が同時に行える点です。
さらに、天候に左右されずに作業しやすいという特徴もあります。
一方で、調査員の腕と経験によって精度が左右されてしまうのがデメリット。
打診調査の要となる音の聞き分けや触診には、一定以上の経験が必須です。
外壁調査の工法2.赤外線調査
赤外線調査とは、赤外線カメラを用いて壁面の温度差を解析して検査する方法です。
赤外線調査のメリットは、なんといっても足場が不要なこと。
足場を組むコストが不要で、調査員の安全が確保できます。
現場での調査が手早く終わる点も魅力です。
現場では撮影のみを行い、画像解析は持ち帰って行うため、短期間で作業が終了します。
ただし、外壁が乾いていなければ正確な調査ができない点に注意が必要です。
天候をはじめとした条件が合致しなければ、調査が延期される場合があります。
外壁調査は2つの工法を併用するケースも
打診調査と赤外線調査は、それぞれにメリットとデメリットがあります。
そのため2種類の工法を併用して調査するケースも。
さらに、近年ではドローンを利用した調査も行われています。
ドローンに赤外線カメラを搭載し、高所作業車を使用せずに高層ビルの外壁調査ができるため注目を集めています。
しかし、ドローンを活用した外壁調査にもデメリットはあります。
雨や風などの天候に左右されやすく、隣接する建物との距離が近い・重要施設の周辺などの条件下では使用できません。
安全確保のため、天候に左右される点は同じですが、隣接する建物との距離が近い・重要施設近辺といった条件下でも外壁調査が可能な工法があります。
低コストかつ柔軟な対応ができるロープアクセス工法については、次で詳しく解説します。
外壁調査の低コスト化が可能、ロープアクセス工法とは?
外壁の打診調査は、工法の工夫によって低コスト化が可能です。
ロープアクセス工法について解説します。
ロープアクセス工法の特徴一覧
ロープアクセス工法は外壁調査に機動性をもたらす
ロープアクセス工法は足場を組まず、ロープを用いて外壁を調査する工法です。
足場の上で行う外壁調査と比べて、ロープアクセス工法は機動性が圧倒的に高いのが特徴。
外壁調査は足場の高さや幅に左右され、調査が困難な場合もありました。
しかし、ロープアクセス工法は足場にとらわれず、壁面を自在に動き回れます。
ロープアクセス工法は手が届きそうで届かなかった壁の調査を行えるため、より精度の高い結果を得られる調査方法です。
ロープアクセス工法で外壁調査を安全に行える
ロープアクセス工法は、2本のロープを垂らし、2名以上のチームを編成して行われる外壁調査です。
レスキュー部隊でも同様の技術が使用されており、関東地方整備局が橋梁点検にロープアクセス工法を採用した点を考えると、国が認めた方法と言えます。
2本のロープは、必ず異なる支点から垂らされ、メインロープとバックアップロープとして使用。
ロープアクセス工法の習得するまでに訓練を要しますが、習得すると安全かつ機動性に優れた外壁調査に活用できます。
ロープアクセス工法は低コストの外壁調査が魅力
ロープアクセス工法は足場を組む必要がなく、低コストな打診調査が可能です。
足場を組む場合、現地での調査期間のほか、足場を組む期間も必要とします。
ロープアクセス工法により、足場が不要となれば、より短期間での検査が可能です。
これまで打診調査は、赤外線調査に比べて高コストな調査方法として知られていました。
しかし、ロープアクセス工法によって、高層ビルの打診調査も低コスト化が実現できます。
外壁調査の費用相場については、下記記事にも掲載されています。
「外壁調査の費用相場とは?おこなう理由や方法、業者選びのポイントを解説」
外壁調査の3ステップ
外壁調査のステップは以下の3つです。
さっそく、外壁調査のステップ詳細をみていきましょう。
外壁調査を依頼する前のイメージ作りにお役立てください。
ステップ1.外壁調査の現場確認及び見積り作成
まずは外壁調査の対象箇所を確認します。
現地にて実際の不具合や要望を丁寧に聞き取るのと同時に、ロープ支点の確認を行います。
外壁調査の対象箇所を確認した後は、お見積り・ご提案書の作成です。
ご不明な点やご質問に、適宜対応しながら、外壁調査を不安なく進行できるようサポート致します。
ステップ2.外壁調査の実施
現地にて外壁調査を行うステップです。
ロープアクセス工法は、ビルを管理されている方のスケジュールに合わせやすい外壁調査です。
なぜなら、ロープアクセス工法は足場を組む必要がなく、道路使用許可を申請する必要がありません。
ビルを管理されている方のご了承が頂ければ、お好きな日程で実施できます。
ロープアクセス工法は、外壁調査の実施をうっかり忘れてしまっても、柔軟な対応が可能です。
ただし、天候にはご注意ください。
雨天時は安全確保のために延期になる場合があります。
ステップ3.外壁調査結果を報告書でお知らせ
外壁調査の結果は「わかりやすさ」にこだわった報告書でお知らせ致します。
どの方角の・どの位置に・どんな問題があるか、がひと目でわかるうえ、どのような方法で修繕できるかをお知らせ。
報告書のサンプルは下記リンク先に掲載しておりますので、ぜひご覧になってみてください。
外壁調査をご検討中のみなさまへ
今回お伝えしたポイントは以下の2つです。
- 外壁調査には2種類の方法があり、それぞれにメリットとデメリットがある
- 打診調査はロープアクセス工法で低コスト化、デメリットを解消できる
株式会社ギアミクスでは、ロープアクセス工法を用いた外壁調査に加え、同工法を用いた修繕にも対応しております。
壁面の修繕においても足場を組む必要がなく、より低コストな作業進行が可能です。
ロープアクセス工法は、足場を組むのが困難なケースにも柔軟に対応、お客様の様々なご要望を叶えられます。
外壁についてお悩みの際は、ぜひ当社までお問い合わせください。
安心・安全・スピーディーな調査・修繕をお約束致します。