ロープアクセスで求められる資格とは?取得するメリットも解説

近年では、低コストで柔軟性の高い無足場工法のひとつ、ロープアクセスが注目を集めています。

しかし、ロープアクセスでの作業における安全確保には、さまざまな知識やスキルが必要です。

本記事では、ロープアクセス作業の安全確保に欠かせない、ロープアクセスで求められる資格を解説します。

ロープアクセス関連資格を取得するメリットや注意点も、あわせてご覧ください。

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ロープアクセスで求められる7つの資格とは?

労働安全衛生法では、ロープを用いた高所作業の従事者に対して、特別教育の実施が義務化されています。(参照:ロープ高所作業特別教育リーフレット

また、高さ2m以上での作業に従事する場合や、器具・機械の知識を要する場合などは資格取得や講習会の受講が欠かせません。

本章では、ロープアクセスで求められる7つの資格を解説します。

資格 詳細
JIRAA検定(産業用)
  • 講習費用は125,000円から、日時は要問合せ
  • 現状にあわせてステップアップできる
  • ガラスクリーニング・橋梁点検などに活用可能
ロープアクセス技術資格(SORAT)
  • 講習費用は1日当たり55,000円、日程は随時開催
  • 順を追ってスキルを身に着けられる
  • 3次元的な動きを習得できる
ロープ高所作業特別教育
  • 講習費用は6,000~15,000円ほど、日程は会場によって異なるため要問合せ
  • 高さ2m以上の場所での作業に必須の教育
  • オンライン講座も活用可能
高所作業車運転技能講習
  • 受講料や日程は教習所や開催元に応じて異なる
  • 作業床が10m以上の高所作業車の運転が可能になる
  • 関連知識が身に付く
高所作業車運転特別教育
  • 講習費用はコースによって異なり4,000~16,000円ほど、日程は教習所に要問合せ
  • 高所作業車の操作に従事する人は受講が義務
  • オンライン講習も利用できる
ゴンドラ取扱特別教育
  • 講習費用は15,000円前後が目安で、日程は教習所によって異なる
  • ゴンドラの操作に従事する人は受講が義務
フルハーネス特別教育
  • 受講費用は10,000円前後が目安で、日程は教育機関に要問合せ
  • 高さ2m以上の作業床の設置が困難な場合にフルハーネス型墜落制止用器具を使用する作業者は受講が義務
  • 助成金を活用できる場合がある

JIRAA検定(産業用)

JIRAA検定(産業用)は、国際規格に準拠したトレーニングを受講する資格です。

資格を認定するのは一般社団 日本産業用ロープアクセス協会(JIRAA)で、Level1~3の講習会を全国の認定会場で受講できます。

レベルごとのトレーニング内容は下記の通りです。

  • Level 1:基礎知識・基本動作・ベーシックレスキュー基本動作・ベーシックノット・リギング
  • Level 2:レスキュー技術・必須ロープアクセス技術・必須リギング技術
  • Level 3:レスキュー技術・チームレスキュー技術・管理技術

講習に要する期間は4~5日で、Level 1は4日(連続しなくても良い)のトレーニング後に実技検定が、Level 2とLevel 3は4日の講習のほかに検定があります。

JIRAA検定で得た知識やスキルは、ガラスクリーニング・橋梁点検などに活用できます。

ロープアクセス技術資格(SORAT)

ロープアクセス技術資格は、一般社団法人 ロープアクセス技術協会(SORAT)が認定し、ロープアクセス技術の正しい普及と運用を目的とした資格です。

取得できる技術資格は下記の3種類で、それぞれがレベル3まで準備されています。

  • 【SORAT】斜面限定資格:勾配の緩い法面等でのロープアクセス技術
  • 【SORAT】上下限定資格:上下移動に必要なロープアクセス技術
  • 【SORAT】3次元資格:上下左右前後に移動するロープアクセス技術

それぞれ、レベル1は実務不可ですが、レベル2では有資格者のもとでの実務研修が可能でレベル3ではプロとして実務を任せられます。

ロープ高所作業特別教育

ロープ高所作業特別教育は、高さ2m以上の場所でロープで身体を支えながら実施する作業への従事者が、受講を義務とされている特別教育です。

各所にある講習所で受講でき、ロープ高所作業特別教育で学ぶ内容は以下の通りです。

  • ロープアクセス関連法令に関する知識
  • ロープ高所作業に関する知識
  • ロープ・メインロープ・各種器具に関する知識(保守・点検方法含む)
  • 墜落防止措置に関する知識
  • 作業方法・点検方法の実技
  • 過去の災害事例と原因に関する内容

近年ではオンライン講座も活用できますが、顔認証システムが搭載されていない端末を介する場合は監督者を配置しなければなりません。

なお、ロープ高所作業特別教育を受講せずに仕事に従事した場合は、50万円以下の罰金刑を科せられる可能性があります。

罰金のリスクのほか、安全な作業を守るための大切な教育のため、必ず受講しましょう。

高所作業車運転技能講習

高所作業車運転技能講習は、作業床が10m以上の高所作業車の運転に必要な講習です。

講習のおもな内容は、装置の構造や取り扱い方法・原動機や電気に関する知識・関係法令などです。

高所作業車運転技能講習は、インターネット・FAX・電話で申し込みができ、全国各地の教習所で受講できます。

詳しい日程や受講料については、各教習所・一般社団法人 労働技能講習協会建設業労働災害防止協会に問い合わせてください。

高所作業車運転特別教育

高所作業車運転特別教育は、作業床が10m以上の高所作業車での安全な操作を学べて、高所作業車の操作に従事する人は受講が義務です。

教育にかかる時間は、4学科6時間以上かつ実技教育が3時間以上です。

受講する方法は、全国各地の団体が開催する講習に参加するか自社でオンライン講習を受けるかの2つ。

自社でオンライン講習を開催する際は、実技教育の担当者が必要なため、経験豊富な従業員を確保しておきましょう。

ゴンドラ取扱特別教育

ゴンドラを操作する業務に従事させる際に、事業主はゴンドラ取扱特別教育の実施が義務です。

特別教育を受講させずに従事させた場合、6カ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

ゴンドラ取扱特別教育の受講資格は満18歳以上であることで、講習内容は以下の通りです。

  • 学科講習:ゴンドラに関する知識(2時間)・ゴンドラの操作のために必要な電気に関する知識(2時間)・関係法令(1時間)
  • 実技講習:実技教育(4時間)

ゴンドラ取扱特別教育を受講できるのは、全国各地の教習所など。

受講料金は特別教育実施機関によって異なるため、直接確認するのが安心です。

なお、ゴンドラを使用した作業の詳細については「ブランコ作業はどんなビル向き?工法のメリットやデメリットも解説」をご覧ください。

フルハーネス特別教育

フルハーネス特別教育は、高さ2m以上の作業床の設置が困難な場合にフルハーネス型墜落制止用器具を使用する作業者に義務付けられている講習です。

講習では厚生労働省が「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」で定める基準に沿った学科と実技の講習が実施され、具体的な内容は以下の通りです。

  • フルハーネス型墜落制止用器具の選び方
  • フルハーネス型墜落制止用器具の使い方
  • フルハーネス型墜落制止用器具の保守・点検の方法

フルハーネス特別教育は、建設業労働災害防止協会をはじめとした機関が講習を開催しており、講習後に修了証が交付されます。

フルハーネス特別教育は、厚生労働省が交付している「人材開発支援助成金」に該当する場合もあるため、事業者は対象になるかを確認しておきましょう。

ロープアクセス関連資格を取得する2つのメリット

ロープアクセス関連資格の取得には、労力や時間、費用などがかかります。

しかし、ロープアクセス関連資格を取得することで、複数のメリットがあります。

本章では、ロープアクセス関連資格を取得する2つのメリットを解説します。

活躍の場が広がる

ロープアクセスは、足場を組む必要がないぶん建物のメンテナンスにかかるコストを低減できます。

また、マンションをはじめとした建物は一定期間ごとに大規模修繕を要するため、ロープアクセスの需要は高まっています。

実際に、世界的な市場調査会社である「Straits Research」は、ロープアクセスを含む高所作業プラットフォーム市場が2033年には377億4,000万米ドルに達するとの予測を発表しました。

したがって、ロープアクセス関連資格を取得することで活躍の場を広げるのが容易です。

安全を確保しやすい

ロープアクセスは高所での作業なため、転落による死亡リスクがあります。

実際に、厚生労働省「「ロープ高所作業(準備中含む)」での死亡災害が発生しています~確認の多重化によるリスク低減へ~」には、複数の死亡災害事例が掲載されています。

死亡災害を招かないためには、ロープや器具などの適切な取り扱いに関する知識を身に着け、実践することが重要です。

ロープアクセス関連資格を取得することで、安全に対する意識が高まり、適切な行動が身に付きます。

よって、ロープアクセス関連資格の取得が、作業員の安全確保につながります。
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ロープアクセス資格取得時の3つの注意点

ロープアクセスの関連資格取得を目指す際の3つの注意点を解説します。

スムーズに講習を受講するためにも、注意点をあらかじめ把握しておきましょう。

申し込み期間・講習の日時を確認

申し込み期間・講習の日時は、取得を目指す資格によって異なります。

そのため、より効率的な複数資格取得を目指す際は、申し込み期間や講習の日時の確認が欠かせません。

スマートフォンのスケジュール機能をはじめとしたものを活用し、休日と比較しながら調整しましょう。

資格を取得する際は、オンライン受講が可能かどうかも確認してください。

オンライン受講が可能であれば、移動時間を気にする必要がなく、さらに効率的な資格取得を目指せます。

資格取得費用をチェック

ロープアクセスの関連資格は、講習の開催元や受講するレベルによって必要な費用が異なります。

たとえばゴンドラ取扱特別教育の場合は、開催元によって10,000~15,000円ほどと差があります。

一方でロープアクセス技術資格では、どのコースでも同じ料金のため、計算や管理が容易です。

ロープアクセス系のサービスを提供している企業に所属しており、働きながら資格取得を目指す場合は、上司などに相談しながら話を進めましょう。

休日の調整をしてもらえたり、企業が費用の何割かを負担してくれたりするケースがあります。

満18歳未満は高所作業に従事できない

満18歳未満の人は、高さ5m以上の高所作業や足場の組立て・解体・変更に従事できません。

上記の内容は、労働基準法第62条年少者労働基準規則第8条労働安全衛生法第61条年少者の健康と安全を保護する目的で定められています。

違反した場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる場合があるため注意が必要です。

満18歳未満の人は、地上での資材運搬をはじめとした補助的な業務に従事しましょう。

ロープアクセスの資格取得で未来を切り開こう

本記事では、ロープアクセスで求められる資格について解説しました。

ロープアクセス関連資格のほとんどは、知識やスキルを身に着けて安全を確保するのが目的です。

ロープアクセスへの従事を検討する際は、資格取得を目指し、安全に業務に従事しましょう。

なお、当メディアを運営する株式会社ギアミクスでは、ロープアクセスによる外壁調査・修復などを手掛けています。

ロープアクセスでお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

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