非常用発電機が学校に必要な理由とは?設置のメリット・ポイントも

非常用発電機が学校に必要な理由とは?設置のメリット・ポイントも

豪雨や地震など、様々な自然災害の備えとして注目を集める非常用発電機。

非常用発電機の必要性は、日本各地にある小学校・中学校・高校などの学校でも増しています。

本記事では、学校に非常用発電機を必要性が高まった理由や、学校に設置できる非常用発電機を解説します。

非常用発電機の選び方のポイントや設置時の注意点も、あわせてご覧ください。

学校に非常用発電機が必要な2つの理由とは?

 

近年では、文部科学省が公立学校に対して、スプリンクラーや防火水槽などの防災設備の設置に対する財政支援制度を設けています。(参考元:文部科学省 学校施設の防災機能向上に活用できる財政支援制度)

非常用発電機も上記制度の対象となっており、全ての公立学校に非常用発電機が導入されるよう推進。

本章では、公立学校への非常用発電機設置が推進される理由を解説します。

理由1.自然災害の激甚化

日本は世界有数の地震大国として知られているほか、最近では豪雨による被害も大きなものとなっています。

実際に、国土交通省の「令和4年の水害被害額の概要(暫定値)」によると、被害額は全国で約6,000憶円と非常に大きいことがわかります。

地球温暖化をはじめとした要因が重なり、日本の広い地域で様々な自然災害が発生しているのです。

上記のような状態を鑑みて、非常用発電機は生活に欠かせないライフラインのひとつである電気を確保する手段として重要性を増しています。

理由2.学校が避難所に適している

学校が避難所に適している理由は、おもに以下の3つです。

  • 大勢が寝泊まりできる体育館をはじめとしたスペースがある
  • 校庭や駐車場など、大規模な炊き出しや緊急ヘリコプターの離着陸に対応できる場所がある
  • 地域住民が徒歩で移動できる学校が多く避難しやすい

しかし文部科学省 公立学校施設の防災機能調査結果によると、全国にある公立学校のうち、非常用発電機を有しているのは73.2%にとどまる結果でした。

そのため、日本政府は文部科学省を中心として、学校への非常用発電機の設置を推進しています。

学校に設置可能な非常用発電機の種類

非常用発電機には様々な種類があり、使用目的や設置場所によって適しているものは異なります。

そのため、非常用発電機の種類を把握するのは、学校への設置を検討する上で重要度の高い要素です。

本章では、学校に設置できる3種類の非常用発電機を解説します。

なお、より詳細な非常用発電機の種類は「介護施設は非常用発電機の設置が義務!種類・選び方・注意点を解説」をご覧ください。

種類1.発電容量が大きい「ディーゼル式発電機」

ディーゼル式発電機は、軽油に残渣油を混ぜたA重油や軽油が燃料です。

ディーゼル式発電機は3,000kVA以上といった大容量の機種があり、低コストで設置できるのがメリット。

その一方で、騒音や振動などが発生しやすく、避難場所の近くに設置したときにストレスの原因となりやすいのがデメリットです。

ディーゼル式発電機は、燃料の種類を間違えてないけない点にも気を付けてください。

燃料の間違いは、非常用発電機の故障につながるため、どの燃料を使うのかをきちんと把握しておきましょう。

種類2.持ち運びも可能「ガソリンエンジン発電機」

ガソリンエンジン発電機は、ガソリンを燃料としており、小型機種が多いのが特徴です。

屋外に臨時で照明を設置したいときや、有線式の電動ドリルを使いたいときなど、状況に合わせて柔軟に対応できます。

ガソリンエンジン発電機をはじめとした、ガソリン・軽油などを燃料にする場合は、危険物乙四資格を所持する人がいることを確認してください。

ガソリン・灯油・軽油などの特定の危険物の取り扱い・管理には、危険物乙四資格が必要なためです。

なお、ガソリンエンジンは、一酸化炭素中毒になるため屋内での使用はやめましょう。

種類3.非常時の燃料確保が容易「LPガス発電機」

LPガス発電機は、約20年間という長期保存が可能なLPガスが燃料です。

ほかの非常用発電機と比較して騒音が少なく、非常時に燃料補給が途絶えにくいのがメリット。

技術の進化によって、大規模な発電に対応する機種もあるため、近年注目を集めています。

LPガス発電機は、定置式と可搬式がありますが、「石油ガス災害バルク当の導入事業費補助金」の対象となる定置式がおすすめです。

補助金は学校も対象となっており、公立学校の場合は最大5,000万円(参照:災害バルク_申請ガイドブック)の補助を申請できます。

学校向け非常用発電機選びの3つのポイント

学校に設置する非常用発電機を選ぶときに「どのような選定基準を設けていいかわからない」という声も散見されます。

本章では、学校向け非常用発電機選びの3つのポイントを解説します。

本章で解説する内容を主軸として選定基準の検討にお役立てください。

ポイント1.容量に余裕を持たせる

学校が避難所になったとき非常用発電機は、照明・空調設備・通信設備などのほか、避難してきた住民のスマートフォン・携帯電話などの充電用電源となります。

学校が避難所となる場合は、医療機器を使用するシーンが生じる可能性も考えておくべきでしょう。

なぜなら、長期間に及ぶ避難所生活でストレスに起因して病状が悪化する人が出てくるリスクや、ケガの治療に何らかの医療機器が必要になるケースが想定できるためです。

以上のことから、非常用発電機の容量は余裕を持たせるのが安心と言えます。

ポイント2.複数種の非常用発電機の導入を検討

学校に設置できる非常用発電機は、持ち運びできる可搬式と持ち運びできない定置式の2種類があります。

可搬式と定置式の特徴を比較してみましょう。

  • 可搬式:持ち運びできて柔軟性が高い。発電量が少ない。
  • 定置式:持ち運びできない。発電量が大きく多人数の避難にも対応できる。

上記のように、可搬式と定置式では活用できるシーンに大きな差があります。

そのため、可搬式と定置式の両方を導入し、場面によって使い分けられる体制を構築しておくと安全です。

さらに、同じカテゴリの非常用発電機を比較するのも大切です。

非常用発電機は、メーカーや機種によって使いやすさや機能性に差があります。

非常用発電機は、複数種の導入を検討するとともに、使いやすく機能性にすぐれたものを選びましょう。

ポイント3.長時間の稼働を想定

学校に設置する非常用発電機は、外部からの電力供給がない状態で72時間の運営ができる電源でなければなりません。

上記を基準とするのは、阪神・淡路大震災の生存率のデータと、人間が水を飲まずに過ごせる限界が72時間であるためです。

国土交通省近畿地方整備局が、阪神・淡路大震災の生存率をまとめた「死者を減らすために」によると、72時間を経過すると生存率がわずか5%ほどしかないことがわかります。

上記を踏まえると、学校が避難所として適正に運営されるためには、最低でも72時間を確保できる非常用発電機が必要と判断できます。

よって、学校に設置する非常用発電機は、長時間の稼働に耐えうるものを選定しましょう。

学校に非常用発電機を設置する際の3つの注意点

学校に非常用発電機を導入するときは、必要なコストやメンテナンスなどの要素も含めた検討が必要です。

特に、非常用発電機のメンテナンスは、非常時の正常稼働には欠かせない要素。

本章では、学校に非常用発電機を設置する際の3つの注意点を解説します。

注意点1.非常用発電機は定期点検・メンテナンスが必要

非常用発電機は、基本的に半年に1回の機器点検と年に1度の総合点検が義務です。

ただし、平成30年6月に改正された点検基準を満たした場合は6年に1度の点検となります。

非常用発電機の点検方法は、おもに下記の2つです。

  • 実負荷試験:スプリンクラーや消火栓など、非常時に稼働させる設備を稼働させて非常用発電機に負荷をかける試験
  • 模擬負荷試験:非常用発電機に、専用の疑似負荷装置をつなげて負荷をかける試験

近年では、模擬負荷試験で点検するのが主流です。

その訳は、実負荷試験は負荷が安定しにくく一時的な停電リスクもあるのに対して、模擬負荷試験は負荷が安定して停電リスクがないこと。

したがって、非常用発電機の点検やメンテナンスは模擬負荷試験を採用している業者に依頼するのがおすすめです。

なお、非常用発電機の点検内容や法改正の詳細は「非常用発電機の負荷試験とは?6年周期の条件や法改正の内容も解説」をご覧ください。

注意点2.利用可能な補助金をチェック

非常用発電機は、使用する機会が少ない場合でも、メンテナンスや保管している燃料の交換などにコストがかかります。

ゆえに、導入時のコスト削減を図り、ランニングコストに回すのもひとつの手段として有効です。

非常用発電機の導入に活用できる補助金は、おもに下記の3つです。

  • 災害時に備えた社会的重要インフラへの自営的な燃料備蓄の推進事業補助金
  • 非常用発電機補助金2.BCP実践促進助成金
  • 非常用発電機補助金3.石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金

補助金の詳細は「非常用発電機の利用可能な補助金を紹介!令和3-4年度・5年度の情報も」に掲載しています。

補助金の条件に該当するかどうかの確認や、申請にはある程度の労力が必要です。

しかし、申請が受理された場合には多額の補助金を受け取れるため、労力をつぎ込む価値は高いでしょう。

注意点3.設置場所の水没リスクを確認

学校に設置する非常用発電機は、発電容量の大きいものが選択されがちなため、必然的に本体の重量が重くなります。

そのため、設置場所を屋外にしているケースが多い一方で、海や河川などに隣接する場所では非常用発電機が浸水して動かなくなる事態が想定されます。

非常用発電機は、平時にも定期的に稼働させることで非常時の不始動リスクを低減できます。

しかし、いざというときに非常用発電機が水没しては元も子もありません。

非常用発電機を設置する学校は、津波や浸水のリスクの有無を確認した上で、安全を確保できる場所に設置しましょう。

学校に非常用発電機の設置を検討している方へ

本記事では、学校に非常用発電機を設置する必要性を中心に解説しました。

特に、以下3つのポイントが大切です。

  • 学校は避難所に適しているが、非常用発電機がないケースもある
  • 学校に設置する非常用発電機は定置式LPガス発電機がおすすめ
  • 非常用発電機はポイントや注意点を把握してから選定・設置する

非常用発電機は、非常時の電源を確保するための大切な機器です。

また非常用発電機の確実な動作には、定期的なメンテナンス・点検が欠かせず、信頼できる業者を選ぶ作業も重要です。

当メディアを運営する株式会社ギアミクスは、全国を対象に非常用発電機の設置・メンテナンスを請け負っております。

非常用発電機を学校に設置することでお悩みでしたら、お気軽にお問い合わせください。