電気工事とは、専門知識を身に着けた有資格者が実施できる工事です。
現代社会において、電気が重要なライフラインとなるため、電気工事の必要性の高さがわかります。
本記事では、電気工事の基礎知識や業務内容の詳細を解説します。
電気工事をDIYしてはいけない理由や、電気工事業者を選ぶときのポイントなども、あわせてご覧ください。
目次
【基礎知識】電気工事とは?
電気工事とは、送配電・変電設備や電気機器の取り付けることです。
また、電気工事は正しい知識がなければ感電リスクがある上に、緻密な作業を要します。
そのため「電気工事法」では、従事する者の資格や義務を定めており、電気工事を実施する者は法の遵守が求められます。
電気を安心して使えているのは、電気工事に従事する人たちのおかげとも言えるでしょう。
電気工事は2つに分類される
電気工事は、目的に応じて2種類に分類されます。
本章では、電気工事の種類について、それぞれの違いや特徴を解説します。
1.建設に関連した電気工事
建設に関連した電気工事は、建物の建築に関連して発生する工事です。
具体的には、以下の3つが挙げられます。
- 発電設備関連:太陽光発電システムの設置や配線の整備。
- 変電設備関連:キュービクルの設置や配線整備。電柱からの電線引き込み工事。
- 送配電設備関連:建物内の電気配線の整備全般。ブレーカーの設置と配線接続。
なお、キュービクルとは高圧電力の受変電設備のことであり、詳細は「キュービクルとは?メリット・設置基準・注意点・必要な届出を解説」に掲載しています。
2.保安を目的とした電気工事
保安を目的とした電気工事は、設置済みの電気設備の点検やメンテナンスを実施して安全を保つ工事です。
保安対象となるのは、以下の2種類です。
- 一般用電気工作物:一般家庭や商店などの屋内配電設備や出力の小さい発電設備
- 自家用電気工作物:ビルや工場など、大型施設の発電・変電・需要設備
需要が増加傾向にある非常用発電機の場合は、保安を目的とした定期点検の実施が「消防法」で定められています。
「非常用発電機は消防法に基づく点検が必要!関係法令や必要な届出を解説」に詳細を掲載していますが、非常用発電機は負荷をかけた点検が義務です。
上記のように、保安を目的とした電気工事により、電気設備の安全な長期利用が実現されています。
電気工事の3つの業務とは?
電気工事は、作業の環境や内容によって、おもに3つの業務に分類されます。
本章では、電気工事の3つの業務を解説します。
業務1.屋外の電気設備を担う「外線工事」
外線工事とは、電柱の新設・建て替えのほか、電柱に設置された変圧器の新設・交換を実施する業務です。
実際に、電気工事用の高所作業車に乗って作業する電気工事士を見かけた経験のある人も多いのではないでしょうか。
また、外線工事は敷地内の外線設置や地中化工事も業務のひとつ。
電柱から離れた建物でも電気が使えるのは、外線工事のおかげです。
したがって、外線工事は発電所から家庭や企業など、街全体に電気を通すのに欠かせない業務となっています。
業務2.屋内の配電環境を整備「内線工事(低圧電気工事)」
内線工事とは、外線工事によって引き込んだ電気を、コンセントやスイッチを介して電気機器を使えるようにする業務です。
建物内にブレーカーを設置して、照明やコンセントの設置場所までの配線を設置。
建物に合わせた工事を実施して、快適に電気を使えるようにします。
内線工事は、建物内で使用する電気機器を提案するのも業務です。
省エネ機器の紹介をはじめとした提案を実施して、建物の省電力化を図ります。
業務3.電気機器に関する「引込線工事」
引込線工事とは、電話・インターネット・インターフォン・セキュリティ設備などの配線を引き込む作業です。
引込線工事が求められるのは、ほとんどが新築やリフォームの現場。
工事の進捗に合わせて器具を配置して、必要な配線を引き込みます。
引込線工事の対象となる電気機器は幅広いため、各種の様々な知識が必要です。
電気工事のDIYはリスクが高い
電気工事のDIYはおすすめしません。
なぜなら、電気を目視するのは困難で、知らず知らずのうちに漏電・感電・火災につながる可能性があるためです。
電気工事を業者に依頼するよりも、DIYのほうがコストを抑えやすいのは事実です。
しかし、怪我や火災に発展する事態を引き起こす可能性を想定すると、プロに依頼したほうが確実です。
火災につながる可能性のある一例として、コンセントの設置をDIYしたケースをもとに考えてみます。
コンセントを設置したものの、電気機器を接続したところ通電していないことが分かりました。
そこでコンセントの中を確認すると、配線が黒く焦げている状態です。
上記の例のように、電気は目視確認が困難なため、気付かぬうちに火災の原因になるリスクがあるのです。
電気を使った生活の安全・安心を守るためにも、電気工事は専門業者に依頼しましょう。
なお、電気工事は無資格者が実施した場合に、3ヶ月以下の懲役または3万円以下の罰金に課せられる場合があります。(参照:関東東北産業保安監督部「電気工事業者の皆様へ」)
電気工事に関連した資格一覧
電気工事に必要な資格は、電気工事士だけではありません。
なぜなら、電気工事には様々な業務があり、使用する機器や道具によっても資格を要するためです。
電気工事に関連した資格は下記の通りです。
- 第二種電気工事士:一般住宅や店舗など、600V以下で受電する小規模施設の電気工事ができる。
- 第一種電気工事士:第二種電気工事士の現場のほか、工場・ビル・大型商業施設など、500kW未満の大規模電気工作物の工事ができる。
- 認定電気工事従事者:マンションやビルなど、大規模建築物においてコンセント・照明設置などの簡易工事ができる。
- 特殊電気工事資格者:非常用発電機・ネオン工事ができる。
- 1級電気工事施工管理技士:事業所・工事現場に必要な電気工事技術者となる。大規模な工事の管理業務を担う。
- 2級電気工事施工管理技士:業務内容は1級電気工事施工管理技士と変わらないが、小~中規模の現場のみを担当できる。
- 第三種電気主任技術者:電気設備の工事・保守・運営の監督ができる。
- 消防設備士甲種4種:自動火災探知設備の工事・整備・点検ができる。
- 消防設備士乙種第7類:漏電火災警報器を整備・点検できる。
- エネルギー管理士:建物内における燃料・電気などのエネルギー使用状況の監視・改善ができる。
- 電気通信主任技術者:インターネットやLANなど、電気通信ネットワークに関する工事の監督責任者ができる。
- 電気通信の工事担当者:電話工事を実施できる。
- 高所作業車運転者:電気工事用の高所作業車の運転に必要。
- 電気取扱者(低圧・高圧・特別高圧):作業中の感電事故防止を目的として、作業従事者の安全を監視できる。
- 職長・安全衛生責任者:作業現場の安全を管理するとともに、指揮・監督を担う。
- 車両系建設機械運転者:パワーショベルをはじめとした機器の操縦資格。電線の地中化工事に活用できる。
上記のように、作業の環境や内容によって必要となる資格は異なります。
現場によっては、複数の資格が求められる場合もあるでしょう。
電気工事業者を選ぶときの3つのポイント
電気工事業者を選ぶときの注意点は、費用のみを判断材料にしないことです。
なぜなら、費用のみを判断材料にした場合には、悪徳業者に引っかかるリスクが高まるため。
電気工事業者は、様々な視点で検討しましょう。
ポイント1.電気工事業者の実績を確認
まずは電気工事業者のホームページやSNSをチェックして、どのような工事を請け負った実績があるかを確認しましょう。
工事の実績を確認することで、業者の得手不得手を把握できる上に、依頼内容に合っているかをチェックできます。
実績を確認した際に、質問が思い浮かんだ場合は、気軽に電話やメールで問い合わせてみるのもおすすめです。
電話やメールでの問い合わせは、業者の対応の良し悪しが分かるためです。
電話では口調や取り次ぎのスムーズさを、メールからは文面の丁寧さやスピーディさをチェックしてください。
ポイント2.複数の電気工事業者を比較
複数の電気工事業者に見積もりを依頼するのも大切なポイントです。
電気工事は、作業の環境や内容によって費用が異なるため、明確な目安はありません。
そのため、複数の見積書を比較して、工事費用の相場を把握しておく必要があります。
複数の電気工事業者に見積もりを依頼するのは、悪徳業者の被害を防止するという観点からも有効です。
相場からかけ離れた費用・工事や部品などの詳細が記載されていない、といった場合は要注意と考えて構いません。
複数の電気工事業者の比較は、適正価格と的確な作業という面から大切です。
ポイント3.電気工事業者の有資格者数をチェック
電気工事は「電気工事士がいればいい」という訳ではありません。
自動火災報知設備や作業用の車両運転資格など、作業内容に応じて様々な資格が必要です。
そのため、依頼を検討する電気工事業者には、どのような有資格者が在籍しているかを確認してください。
ただし、前述した電気工事関連の資格の全てを有する業者は多くありません。
よって、ときには作業内容によって複数の業者への依頼が必要になることも考慮しておきましょう。
キュービクル・非常用発電機などでお悩みの方へ
本記事では、電気工事の基礎知識・必要資格・DIYの危険性などを解説しました。
電気工事は、安易にDIYせずに専門業者に依頼するのが安全です。
当メディアを運営する株式会社ギアミクスでは、キュービクルや非常用発電機の設置・点検・メンテナンスなどのサービスを提供しております。
詳しくは「電気工事事業施工実績」のページに記載しておりますが、電気工事の経験が豊富です。
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