ジプトーンとは、天井に使用される部材です。
オフィスでよく使われているため、名称は知らなくても目にした経験のある方が多いのではないでしょうか。
今回は、ジプトーンについて解説します。
ジプトーンのデザインを変える方法と注意点についても、あわせて参考になさってください。
目次
ジプトーンとは?
ジプトーンとは、吉野石膏株式会社が開発した化粧石膏ボードのこと。
さっそく、下記4つの視点から解説します。
ジプトーンは天井材に使用される石膏ボードの1種
ジプトーンは、不規則な縞模様の穴が開いたデザインの天井材です。
商業施設や公共施設の、オフィスで多く使用されています。
石綿を固めた「石綿吸音板」と間違われるケースがありますが、ジプトーンとは素材が違います。
ジプトーンに比べて、石綿吸音板のほうが穴が細かいのが特徴。
機能や見た目が似ているため、間違えないように注意しましょう。
ジプトーンはアスベストの安全性も確認済み
アスベストとは、極めて細い繊維が集まった鉱物です。
以前は、防音・断熱・保温などの効果が期待され、多くのビルに使用されていました。
しかし、アスベストを削った際に飛び散る繊維を吸い込むと、肺がんリスクがあるため昭和50年に使用が禁止されています。
吉野石膏株式会社が製造した、初期のジプトーンにもアスベストが含まれていましたが、現在はアスベストがほぼ含まれないため安心です。
ただし、ジプトーンを切り取る・削るなどで加工する場合は、専門業者に任せるのがおすすめ。
自力での作業は、天井裏にも影響を与える場合があるためです。
ジプトーンの加工は専門業者に依頼して、構造上の安全性を損なわないようにしましょう。
ジプトーンを使用するメリット
ジプトーンを使用するおもなメリットは以下の6つです。
- 低コスト
- ネジが目立たず外観を保てる
- 短期間で設置可能
- 防音効果に期待できる
- 不燃材で建築基準法に抵触するリスクがない
- 改修が簡単
ジプトーンは、目地の処理・壁紙の仕上げが必要がありません。
改修が必要なときも、天井裏が見やすく、こちらも低コストで済みます。
ジプトーンは初期費用だけでなく、ランニングコスト削減もできるため人気がある天井材です。
ジプトーンを使用するデメリット
一見万能に見えるジプトーンですが、デザイン面ではネックとなる部分もあります。
- 古臭く見える
- 模様が恐怖感を与えがち
- チープな印象を与えやすい
デザインにこだわらず、コスト軽減や維持のしやすさ重視であれば問題ありません。
しかし、ジプトーンのデザインが気になる場合は、ひと工夫が必要です。
ジプトーンをおしゃれにする方法については、次章で詳しく解説します。
ジプトーンをおしゃれにする2つの方法とは?
ジプトーンをおしゃれにする方法は以下の2つです。
ジプトーンをおしゃれにする方法
さっそく、方法の詳細を見ていきましょう。
ジプトーンのデザインを変更したいときにお役立てください。
方法1.塗装してデザインを変える
ジプトーンの塗装は、コストパフォーマンスに優れるのが特徴です。
市販のペンキのほか、スプレーでもジプトーンの色やデザインを変更できます。
スプレーは色ムラに注意が必要ですが、塗料が床にたれるリスクを軽減可能です。
塗料を使うときは、養生シートやローラーの使い方を事前に調べておきましょう。
インターネットで検索すると、知識のない方でもできる方法が掲載されています。
方法2.クロスを貼ってジプトーンを隠す
クロス貼りは塗装と比べて、より幅広いデザインを選べるのがメリットです。
対して、塗装よりもコスト高になりがちなのがデメリット。
ジプトーンの表面には凹凸があり、パテで埋める作業が必要です。
さらに、壁紙の購入には、ペンキやスプレーよりもコストがかかります。
「多少コストが必要でも、おしゃれな空間にしたい」という方におすすめの方法です。
【方法別】ジプトーンのデザインを変える手順
塗装とクロス貼り、それぞれの手順を解説します。
ジプトーンの天井を、どのようなデザインにしたいのかに合わせて方法を選びましょう。
方法別!ジプトーンのデザイン変更手順
塗装でジプトーンのデザインを変える場合
塗装でジプトーンのデザインを変更する手順は以下の通りです。
- 天井掃除:ホコリやカビを落とす。
- 養生シート張り:塗装しない部分を養生シートで隠す。
- 浸透シーラー塗装:塗装の定着を促進する浸透シーラーを、ジプトーンに塗装する。
- 浸透シーラー乾燥:季節によって異なるが、最低2時間は乾燥させる。
- ペンキ塗装(1回目):白のペンキ、またはスプレーでジプトーンを塗装する。
- ペンキ塗装(2回目):1回目の塗装後、ペンキが乾いたら2度塗りする。
- 養生シート撤去:ペンキが乾ききる前にはがす。乾いてからでは、塗装が割れるため注意。
- 塗装確認:塗り残しがないか確認する。塗り残しがあれば、塗り直す。
ペンキは、1回目では白、2回目で好きな色を塗ります。
2回目に塗装する色を、より鮮やかにするためです。
ペンキが乾くまでの時間は、使用するペンキによって異なります。
ペンキやスプレーの缶には、使用方法と一緒に、乾燥時間が掲載されているためチェックしましょう。
クロスを貼ってジプトーンを隠す場合
ジプトーンに、クロスを貼る場合の手順は以下の通りです。
- 天井掃除:ホコリやカビを落とす。
- パテ処理(1):パテを塗って、ジプトーンの凹凸をなくす。
- パテ処理(2):パテを塗った後、凹凸が残っていればパテを塗り直す、または削って平らにする。
- のりづけ:クロスに専用ののりを塗る。
- クロス貼り:ハケを使い、空気を抜きながら、ジプトーンにクロスを貼る。
- クロス切り取り:余ったクロスをカッターで切り落とす。
- 手順3~5を繰り返し、天井のジプトーン全体にクロスを貼る。
パテは、ジプトーンの凹凸にしっかり入り込むよう、押し込むようなイメージで塗りましょう。
パテ処理(2)では、サンドペーパーを使うのがおすすめです。
ホームセンターで、手軽に入手できて目の粗さも幅広くラインナップされています。
凹凸が目立つ場合は#40~100ほどの粗目、あまり目立たなければ#120~400ほどの中目から削り始めます。
粗目・中目で削り終えたら、#800~1000の細目で仕上げましょう。
ジプトーンの凹凸がなくなり、クロスを貼った後に浮いてくるリスクを減らせます。
ジプトーンのデザインを変更する前の3つのチェックポイント
ジプトーンのデザイン変更で、最も大切なポイントは「天井掃除」です。
塗装・クロス貼りのどちらにおいても、下地となるジプトーンが汚れていてはいけません。
天井掃除で、必ずチェックすべき3つのポイントを解説します。
ジプトーンのデザイン変更前にチェックすべきポイント
チェックポイント1.ジプトーンにカビが生えていないか
ジプトーンに生えたカビは、塗装やクロスで隠せても除去はできません。
ジプトーンにカビが残っていると、塗装やクロスの上にカビが広がります。
天井のカビ取りについては「天井のカビ取りで大量発生を防止!除去できない時の対処法も紹介」で詳しく解説しています。
ジプトーンのカビは、人体に悪影響を及ぼすリスクもあるため、塗装やクロス貼りの前に必ずチェックしましょう。
チェックポイント2.腰より高い位置にカビがないか
「ジプトーンをチェックして、カビがなければ安心」ではありません。
壁の、腰よりも高い位置にカビがないかどうかも、必ずチェックすべきです。
壁の高い位置にカビがある場合、天井にカビが生えている可能性大。
カビ菌が天井から降り注いでいるリスクが考えられます。
ここでポイントになるのが、ジプトーンの模様です。
ジプトーンの模様には凹凸があり、へこんでいる部分にカビが潜んでいる可能性があります。
特に注意が必要なのは、天井の角部分。
角部分は空気が停滞しやすく、湿気がこもってしまいがちです。
さらに、ホコリがカビのエサになるため、へこんでいる部分にカビが発生していてもおかしくありません。
新調したデザイン壁紙に、カビが浮き出るリスクをなくすためにも、壁のカビチェックが必須です。
ジプトーンのカビ取り方法を詳しく知りたい方は「ジプトーンのカビ取り方法を解説!放置すると危険な理由も」をご覧ください。
チェックポイント3.ジプトーンに浮きがないか
ジプトーンに浮きがある場合、漏水の可能性があります。
ジプトーンが濡れて浮くほどの漏水があれば、天井裏でカビが大量発生するリスクも。
天井裏にカビが発生すると、天井付けのエアコンから、カビが拡散する可能性もあるでしょう。
漏水の原因調査ができる外壁調査については「外壁調査とは?求められる背景・方法・費用について徹底解説」で詳しく解説しています。
外壁調査は建築基準法でも定められているため、漏水の調査と一緒に行うのがおすすめです。
ジプトーンの汚れでお悩みの方へ
今回お伝えしたポイントは以下の3つです。
- ジプトーンは手軽に採用できる天井材
- ジプトーンのデザイン変更方法は2種類
- ジプトーンはデザイン変更前にチェックすべきポイントがある
ジプトーンは、DIYでデザイン変更が可能ですが、特に大変なのはカビ対策です。
カビが広範囲にあれば、市販のカビ取り剤では対処しきれない可能性があります。
株式会社ギアミクスでは、スーパーマーケットや食品工場のジプトーンを使用した天井のカビ取り経験が豊富です。
さらにカビ取り後には、コーティング剤を使用した、カビ予防にも対応しております。
外壁調査・受電設備点検などとあわせ、ビルメンテナンスでお悩みの際はぜひお気軽にお問い合わせください。