ロープアクセス工法をはじめ、ロープを用いた高所作業に従事する場合、ロープ高所作業特別教育の受講は法律で義務付けられています。
しかし「どのような作業が対象なのか」「フルハーネス特別教育と何が違うのか」「費用はいくらかかるのか」など制度の全体像を正確に理解できていない方も少なくありません。
本記事では、ロープ高所作業特別教育に関する基礎知識や法的根拠、受講場所、費用、必要性を解説します。
これから受講を検討している方はもちろん、事業者として安全管理を担う立場の方は参考にしてください。
目次
ロープ高所作業特別教育とは?
ロープ高所作業特別教育の基礎知識について解説します。
ロープ高所作業は、足場や作業床を設けず、ロープを用いて高所で作業を行う特殊な作業形態です。
墜落リスクが高く、一般的な高所作業とは異なる危険性を伴うため、法令に基づいた教育の受講が求められています。
ロープ高所作業特別教育の基礎知識を把握して、実際に受講する際の参考にしてください。
労働安全衛生規則で義務化された特別教育
ロープ高所作業特別教育は、労働安全衛生法に基づき実施が求められている特別教育の一つです。
具体的には、高さが2m以上の箇所で足場や作業床を設けず、ロープを用いて作業を行う場合、事業者は当該作業に従事する労働者に対して特別教育を行う必要があります。
この教育を実施せずに作業を行った場合、事業者は労働安全衛生法違反として罰則の対象となる可能性があり、労働者側にも罰金が科される場合があります。
- 事業者:6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金
- 作業者:50万円以下の罰金
講習料金を事業主が支払う場合は人材開発支援助成金(建設労働者実習コース)の利用も可能です。(参考元:一般社団法人 労働技能講習協会「建設事業主様等に対する助成金について」)
ロープ高所作業特別教育は、ロープ高所作業の基本的なスキルと知識を身に着ける講習のため、助成金も活用しながら必ず受講しましょう。
ロープ高所作業特別教育の目的は安全確保
ロープ高所作業特別教育の目的は、作業中の墜落災害を防止し、労働者の安全を確保することにあります。
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署が連名で発表した「ロープ高所作業」での危険防止のため労働安全衛生規則を改正します」によると、平成21~26年の6年間で発生したロープ高所作業中の死亡者数は24名です。
死亡した要因の96%が墜落で、詳細な内容としてはロープのほどけや切れ、接続ミスなどが挙げられます。
ロープ高所作業特別教育は、深刻な実情を踏まえて、安全を確保するための適切な知識とスキルを身に着ける場として設けられました。
ロープ高所作業は、わずかな判断ミスや手順違反が重大事故につながる作業です。
経験や自己流の作業ではなく、正しい作業方法や点検手順、緊急時の対応方法を体系的に学ぶ必要があります。
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育との関連性
ロープ高所作業特別教育とあわせて理解しておきたいのが、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育との関係です。
ロープ高所作業では墜落制止用器具としてフルハーネス型を使用するケースが一般的であり、適切な装着方法や使用条件を理解していなければ、安全性を確保できません。
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育は、主に器具の構造や正しい装着方法、使用上の注意点を学ぶための教育であり、ロープ高所作業特別教育とは目的が異なります。
ただし、実務上は両者の内容が密接に関係しており、ロープ高所作業に従事する労働者は作業内容に応じて両方の特別教育を受講することが望ましいです。
事業者は、作業内容や使用する器具を整理したうえで、必要な教育を適切に実施することが安全管理上欠かせません。
ロープ高所作業特別教育の概要
事業者は作業に従事させる前に、ロープの取扱いや墜落制止用器具の使用方法、異常時の対応について学科および実技による教育を行う必要があります。
ここからは、ロープ高所作業特別教育の概要について解説します。
受講場所
ロープ高所作業特別教育は、全国の講習実施機関や労働技能講習団体、民間の安全教育機関などで受講できます。
多くの場合、都市部を中心に定期的な開催が行われており、受講者は希望する地域や日程に合わせて選択可能です。
また、一定人数以上の受講者がいる場合には、事業所内での出張講習として実施できるケースもあります。
受講場所は、学科講習を行う教室に加え実技講習に必要なロープ設備や安全が確保された実習環境を備えていることが求められます。
もし講習会場に通う時間が取れない、仕事が抜けられない場合は、オンライン受講も可能です。
受講費用
ロープ高所作業特別教育の受講費用は、講習機関や開催形式によって異なりますが、一般的には1人あたり1万5,000円前後が相場とされています。
費用には、学科や実技講習の受講料、教材費、修了証の発行費用が含まれることが多いです。
受講資格
ロープ高所作業特別教育には、特定の資格や学歴は原則として求められていません。
ロープを使用した高所作業に従事する予定のある労働者であれば、未経験者でも受講が可能です。
ただし、ロープアクセスに従事できるのは満18歳以上という点には注意しましょう。
有効期限
ロープ高所作業特別教育には、法律上明確に定められた有効期限はありません。
一度修了すれば、修了証そのものが失効することはないとされています。
ただし、長期間ロープ高所作業に従事していない場合や作業内容、使用する器具が変更された場合には、再教育や補足教育を行うことが望ましいとされています。
また、関連法令の改正や安全基準の変更があった場合には、最新の知識を習得するために再受講を検討することが適切です。
事業者は、継続的な安全教育の一環として教育内容の見直しを行う必要があります。
ロープ高所作業特別教育の概要について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「ロープアクセス講習とは?必要性や代表的な受講先を解説」
ロープ高所作業特別教育の内容
ロープ高所作業は、足場や作業床を使用しない特殊な作業形態であるため、一般的な高所作業以上に専門性が求められます。
ロープ高所作業特別教育の内容について解説します。
学科
学科教育では、ロープ高所作業に関する基礎的な知識と法令で定められた安全管理の考え方を学びます。
ロープ高所作業の定義や作業範囲、労働安全衛生法および労働安全衛生規則に基づく事業者や作業者の責任、墜落や転落災害の発生事例と原因分析などが主な内容です。
使用するロープやカラビナ、下降器、フルハーネス型墜落制止用器具などの構造や性能、点検方法についても解説されます。
作業計画の立て方や作業開始前の確認事項、異常時の対応手順についても学ぶことで、事故を未然に防ぐ判断力を養えます。
実技
現場で安全に作業を行うための実践力を身につけることが実技教育の目的です。
実技教育では、学科で学んだ知識を基に、実際にロープや器具を使用した安全な作業方法を習得します。
ロープの結索方法や支持点への正しい設置方法、昇降動作の基本、作業姿勢の保持、フルハーネス型墜落制止用器具の適切な装着と使用方法などを確認します。
作業前点検の手順やロープや器具に異常があった場合の対応方法についても、実技を通じて学ぶことが可能です。
ロープ高所作業特別教育の必要性
ロープ高所作業特別教育は、事故が起きる危険性を正しく理解し、安全に作業を行うために法律で義務付けられた教育です。
事故防止と法令遵守の両面から極めて重要な位置づけにあります。
ロープ高所作業特別教育の必要性について解説します。
専門的な知識・スキルの獲得
ロープ高所作業特別教育を受講することで、ロープ作業特有の危険性や作業原理を体系的に学べます。
ロープや支持点にかかる荷重の考え方、器具の正しい使用方法、作業計画の立て方などは、独学や現場経験だけでは正確に習得することが難しい内容です。
特別教育では、学科と実技を通じて「なぜこの作業方法が必要なのか」を理解しながら技能を身につけるため、現場での判断力や応用力が向上します。
安全性の向上
ロープ高所作業中の重大事故の多くは、ロープの結索ミスや器具の誤使用、作業手順の省略など基本的な知識不足が原因です。
ロープ高所作業特別教育では、過去の災害事例を参考に、事故が起きやすいポイントや注意すべき行動を具体的に学びます。
さらに、作業前点検や異常時の対応手順を理解することで、事故を未然に防ぐ体制の構築が可能です。
教育を受けた作業者が現場にいることで、職場全体の安全意識が高まり、労働災害のリスク低減につながります。
社会的な信頼獲得
ロープ高所作業特別教育を適切に実施していることは、法令を遵守している証明となり、元請企業や発注者、行政機関からの信頼確保につながります。
特に建設業や点検業務では、安全管理体制が厳しくチェックされるため、教育未実施は取引上の大きなリスクです。
一方で特別教育を修了した作業者を配置している事業者は、安全配慮義務を果たしていると評価されやすく、受注機会の拡大や企業イメージの向上にも寄与します。
ロープ高所作業特別教育を受講して正しい知識を身につけよう
ロープ高所作業は、作業者の身体をロープに預けて行う非常に危険性の高い作業であり、わずかな判断ミスや知識不足が重大事故につながります。
そのため、労働安全衛生規則では、ロープ高所作業に従事する前に特別教育を受講することを事業者に義務付けています。
ロープや器具の正しい扱い方、作業手順、緊急時の対応などを体系的に学べ、現場で安全に作業するための判断基準を身につけることが可能です。
経験や慣れに頼った作業ではなく、法令と理論に基づいた行動ができるようになる点が大きなメリットといえます。
事故を防ぎ、安全な作業環境を維持するためにも、ロープ高所作業特別教育を正しく受講して必要な知識と技能を確実に身につけましょう。
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