ロープアクセスとは、2本のロープを使って高所作業する手法です。
機動性が高く足場の設置が不要で低コストな工事が実現できる点がメリットです。
近年では安全性や専門性を高めることを目的として、さまざまなロープアクセス講習が各地で開催されています。
本記事では、ロープアクセス講習の必要性や義務化されている講習を解説します。
受講によってスキルアップにつながる講習も、あわせてご覧ください。
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目次
ロープアクセス講習の必要性
本章では、ロープアクセス講習の必要性を解説します。
法的義務(ロープ高所作業特別教育)
厚生労働省は、「「ロープ高所作業」での危険防止のため労働安全衛生規制を改定します」の中で、ロープを用いた高所作業従事者に対して、特別教育の受講義務を発表しています。
上記はロープ高所作業特別教育と呼ばれ、作業中の事故を防止するのが目的です。
ロープアクセス講習の中には、ロープ高所作業特別教育のように、法的義務となっているものもあるため受講は欠かせません。
基礎的な技術・知識の習得
ロープアクセスでは、多種多様な道具を使用し、安全に作業を進めるためには道具ごとの使い方を学ばなければなりません。
道具の使い方は就職先で学ぶことも可能ですが、技術や知識を的確に身につけるには講習を受講するのが確実です。
なぜなら、ロープアクセスで使用する道具は下記のように多く、技術や知識を身に着けるには相応の努力を要するためです。
- ハーネス
- メインロープ
- バックアップロープ
- アッセンダー
- ディッセンダー
- ツールランヤード
- など
なお、ロープアクセスで使用する道具は上記のほかにもあり、詳細は「ロープアクセスに必要な道具とは?選ぶときのポイントも解説」で解説しています。
事故防止
ロープアクセス講習の受講は、自身や同僚の命を救うためにも役立ちます。
基本的な技術や知識に加えて、緊急時のレスキュー技術を学ぶことで、労働災害が発生した際に命を救う行動ができるようになるためです。
ロープアクセス講習の中には、イギリス産業用ロープアクセス協会が定めるIRATAのような国際基準に準拠したものもあり、認定を受けることで周囲の安全確保や外部との信頼関係向上にも役立ちます。
スキル向上・キャリアアップ
ロープアクセスは、上下・左右・前後と3次元的な動きが可能なため、足場を使用した工法と比較して機動力が高いのが特徴です。
また、高度な技術を有する作業員はキャリアアップも望めるでしょう。
しかし、3次元的な動きを実現するには、より専門的な知識と技術力が必要です。
ロープアクセス講習で、より専門的な技術・知識を身に着けることでスキル向上やキャリアアップを目指せます。
ロープ高所作業特別教育の概要
ロープ高所作業特別教育は、労働安全衛生法によってロープアクセス従事者に義務化されている講習です。
本章では、ロープ高所作業特別教育のカリキュラム・受講資格・受講費用・有効期間を解説します。
カリキュラム
ロープ高所作業特別教育のカリキュラムは学科と実技に分かれています。
まずは学科から見てみましょう。
| 科目 | 受講時間 |
|---|---|
| ロープ高所作業に関する知識 | 1時間 |
| メインロープ等に関する知識 | 1時間 |
| 労働災害の防止に関する知識 | 1時間 |
| 関係法令 | 1時間 |
続いて実技です。
| 科目 | 受講時間 |
|---|---|
| ロープ高所作業の方法 | 2時間 |
| メインロープ等の点検 | 1時間 |
学科に関しては、Web講座もあるため、必要に応じて活用しましょう。
受講資格
ロープ高所作業特別教育の受講資格はありませんが、ロープアクセスに従事できるのは満18歳以上である点に注意しましょう。
年齢以外の条件は特にありません。
受講費用
受講費用は受講する会場によって異なります。
仙台・東京・大阪・福岡の4地点での代表的な受講先の受講費用は下記の通りです(2025年11月時点・税込価格)
| 受講場所 | 受講費用 |
|---|---|
| 株式会社GNC(仙台) | 16,500円 |
| 一般社団法人 労働技能講習協会(東京) | 14,720円 |
| 株式会社アルゴプレスト(大阪) | 16,500円 |
| キャタピラー九州 教習センター(福岡) | 14,000円 |
※税込
教習所によっては、実技のみの受講が可能だったり、会員の場合は割引が適用されたりするケースもあります。
詳しくは受講を希望する教習所に問い合わせてみましょう。
有効期間
ロープ高所作業特別教育の有効期間や更新はありません。
ただし、氏名が変わった際は受講した教習所に申請して書き換えが必要です。
ロープ高所作業特別教育に有効期間はありませんが、安全に作業を進める上で、ほかの講習も受講するなど知識・技術の定期的な更新が必要なことも覚えておきましょう。
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スキル・キャリアアップのためのロープアクセス講習
本章では、スキル・キャリアアップを目的としたロープアクセス講習を解説します。
なお、ロープアクセス講習に関しては「ロープアクセスで求められる資格とは?取得するメリットも解説」もご覧ください。
| 講習 | 概要 |
|---|---|
| RATSロープアクセストレーニング |
|
| JIRAAロープアクセス講習 |
|
| 国際標準ロープアクセス講習 |
|
RATSロープアクセストレーニング
RATSロープアクセストレーニングは、3つのカテゴリーがあり、それぞれが2日間のスケジュールで実施されます。
講習時間は9:00~17:00で、費用は27,500円/日です。
カテゴリーごとのトレーニング内容は下記の通りです。
- カテゴリー1:高所作業・ロープアクセスの机上講習、基本的なロープの結び・セット、装備の説明・取扱い・装着、アセント・ディセント・チェンジオーバー、基本レスキュー
- カテゴリー2:中難度レスキュー、インターベンションレスキュー、テンションラインを利用したレスキュー、リギング
- カテゴリー3:高難度レスキュー、インターベンションレスキュー、チームレスキュー
カテゴリーの数字が増えるほど講習の内容が上級者向けになります。
また、カテゴリー2・3については、個人の能力習得度によってトレーニングの進め方が変わります。
受講を希望する人は問い合わせてみてください。
JIRAAロープアクセス講習
JIRAAロープアクセス講習は、ロープアクセスを始めようとしている人や初心者向けの講習です。
JIRAAの認定会場で受講でき、受講費用は会場によって異なります。
学ぶ項目はLevel 1~3まであり、約60項目の知識が身に付きます。
まずはLevel 1の項目です。
- Level 1 基本知識:装備の装着方法・器材の知識・点検の知識、ロープの知識・種類、バックアップデバイスのクリアランス、スリングの知識・使用方法、カラビナの知識・使用方法、落下係数についての知識
- Level 1 基本動作:下降器による登下降、チェストアッセンダーによる登下降、下降器からチェストアッセンダーへチェンジオーバー、チェストアッセンダーから下降器へのチェンジオーバー、リアンカーの通過、ロープtoロープ、ディビエーションの通過、パスノット、ディフィカルトエッジの通過、水平エイドクライミング1(Fixエイド)、水平エイドクライミング2(ムービィングエイド)、フォールアレストクライミング、リストレインについての知識
- Level 1 ベーシックレスキュー基本動作:基礎レスキュー1(横並び)、基礎レスキュー2(同ロープ下からアクセス)、基礎レスキュー3(同ロープ上からアクセス)
- Level 1 ベーシックノット・リギング:ノット基礎講習、リギング基礎講習
続いてLevel 2です。
- Level 2 レスキュー技術:ピックオフレスキュー、リアンカーレスキュー(スモール)、ディビエーションレスキュー、エイドクライミングレスキュー、ロープtoロープ レスキュー(乗換のみ)、ホーリング&ロワーリングシステム、ハンギングホール エキストラロープ使用、クロスホールレスキュー、フォールアレストクライミングレスキュー
- Level 2 必須ロープアクセス技術:縦エイドクライミング、ワイドリアンカー通過、プルスルー(上から・下から)、スローラインを使用したアクセス
- Level 2 必須リギング技術:ワイドYハングの作成と知識、エッジのリスクと対策法(リギング)、リアンカー・ディビエーションの作成、テンションラインの張り方・倍力基礎知識
最後にLevel 3です。
- Level 3 レスキュー技術:ワイドリアンカーボトムレスキュー、ロープtoロープ レスキュー(Mid)、パスノットレスキュー、ショートリンクレスキュー(カラビナ2枚)、カウンターウェイトレスキュー、バーティカルエイドレスキュー、ディビエーション(バイパス)レスキュー、ベーシック装備によるレスキュー
- Level 3 チームレスキュー技術:テンションラインレスキュー、RIG4レスキュー、応用チームレスキュー
- Level 3 管理技術:リスクアセスメント
JIRAAロープアクセス講習では、レスキュー技術を深く学べるのも特徴のひとつです。
受講希望者は、近隣の認定会場に問い合わせてみましょう。
国際標準ロープアクセス講習
国際標準ロープアクセス講習は、高所作業時に必要なスキルを身に着けるための専門的なトレーニングが身に付く講習です。
受講費用や日程については問い合わせが必要で、講習を通じて学ぶ内容は下記の通りです。
- 安全なロープの取扱い
- 登下降技術
- 緊急時のレスキュー技術
- など
実践的な内容になっているため、受講後も業務内で活用しやすく、自信をもって作業に臨めます。
国際基準に準拠した講習を探している人は問い合わせてみましょう。
なお、代表的な国際規格として IRATA(イギリスの産業用ロープアクセス協会)が定める基準があり、日本でもIRATAやSPRATの規格に準拠した講習を提供している事業者があります。
ロープアクセス講習は安全作業に欠かせない
ロープアクセスは高所での作業なため、安全に関する知識や技術が欠かせません。
ロープアクセス講習で安全に関する項目を学ぶことで、労働災害の防止につながります。
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