ブランコ作業はどんなビル向き?工法のメリットやデメリットも解説

ブランコ作業はどんなビル向き?工法のメリットやデメリットも解説

ブランコ作業は「低コストかつスピーディな対応が可能」と注目を集めています。

しかしブランコ作業は、なぜ低コストかつスピーディに対応できるのでしょうか。

ブランコ作業の基礎知識を解説します。

ブランコ作業向きの建物やメリットなども、あわせて参考になさってください。

【基礎知識】ブランコ作業(ロープアクセス工法)とは?

ブランコ作業はロープアクセス工法とも呼ばれる、外壁調査・修繕方法のひとつです。

さっそく、ブランコ作業について解説します。

1.ブランコ作業は足場不要の特殊工法

ブランコ作業では足場を使わず、ロープでつるしたブランコ板に座って作業する方法です。

しかしブランコ作業は、風の影響を受けやすい・ブランコ板からの転落リスクがある、といったデメリットがあります。

そのため近年では、作業員の体をロープでつるして作業する「ロープアクセス工法」が主流となりました。

ロープアクセス工法は、ブランコ作業と比較して、高い機動性を確保できるのが特徴です。

ブランコ作業は、板の上で作業するため、左右の動きは苦手。

ロープアクセス工法は、上下左右に自在に動き、よりスムーズな作業を得意とします。

2.ブランコ作業は公的建造物にも使用している

2014年には、ロープアクセス工法を用いた橋梁点検が行われました。

関東地方整備局からは「ロープアクセス工法による橋梁点検について」という報告書が発表されています。

報告書では、ロープアクセス工法を限られた条件下でも対応可能な手段として掲載。

ロープアクセス工法は、斜壁やトップライトのような、足場の設置・ゴンドラ・高所作業車が向かない場合も対応できます。

ロープアクセス工法は、様々なデザインの建物がある現代において、より柔軟な対応が可能です。

3.ブランコ作業はライフライン設置・特別教育が義務化

ロープを用いた高所作業には、転落による怪我のリスクが想定されます。

そうした背景をもとに、厚生労働省が2016年にロープ高所作業の、改正労働安全衛生規則を制定しました。

ロープ高所作業の改正藤堂安全衛生規則では、メインロープとライフラインの2本のロープ使用を推奨しています。

さらに2019年にはフルハーネス型安全帯(墜落制止用器具)特別教育が開始。

ロープアクセス工法は、より高い安全性とともに、専門性の高い工法として知られるようになりました。

ブランコ作業(ロープアクセス工法)向きの建物3選

ブランコ作業が向いている建物の中でも、代表的な3例を紹介します。

足場工法とロープアクセス工法の、どちらにするか悩んだ際にお役立てください。

建物1.ブランコ作業で足場設置不要「タワーマンション」

タワーマンションのような高層ビルの場合、窓の清掃や壁の修理を行う際に、足場を設置するのは困難です。

そのためタワーマンション外壁の工事・清掃には、ブランコ作業で対応するのが一般的。

中には、低層部分に足場を設置し、高層部分のみをブランコ作業で対応するケースもあります。

しかし、タワーマンション外壁の作業は長期化しやすく、足場を組むのは現実的ではないでしょう。

一方でブランコ作業やロープアクセス工法には、足場が不要、かつ窓を養生シートで覆わずに済むというメリットがあります。

これらの理由から、タワーマンションの外壁は、ブランコ作業やロープアクセス工法向きです。

建物2.ブランコ作業の自在な動きが活きる「橋梁・鉄塔」

橋梁は、河川上にあったり道路上にあったりと、足場を組むのが困難です。

鉄塔の場合も、足場だけでは内側の点検が困難。

橋梁・鉄塔のような作業には、ブランコ作業やロープアクセス工法がぴったりです。

昇降が自在にでき、効率的な作業が可能です。

橋梁や鉄塔の打診調査は、ブランコ作業・ロープアクセス工法のメリットを、存分に活用できます。

打診調査については「外壁調査とは?求められる背景・方法・費用について徹底解説」をご覧ください。

建物3.ブランコ作業は複雑な形状に対応「プラント」

プラスチック・石油・セメント・ゴムなど、様々な製品を製造するプラント。

その形状は複雑で入り組んでおり、足場を設置できないほど建物間の距離が近いケースもあります。

ロープアクセス工法は、もともとヨーロッパのプラント工事で発達した工法です。

不規則な構造でも、ロープで吊り下げて作業するので問題ありません。

同時に、プラントの通路や動線を避けた作業も可能です。

ロープアクセス工法は、プラントで働くスタッフの動きを妨げず、ストレスフリーな作業を可能にします。

ブランコ作業(ロープアクセス工法)、3つのメリットとは?

ブランコ作業には、おもに以下3つのメリットがあります。

さっそく、それぞれのメリットを解説します。

メリット1.ブランコ作業は低コスト

ブランコ作業やロープアクセス工法は、足場設置が不要なため低コストです。

たとえば外壁を塗装したい場合。

足場を設置すると、コスト内で塗装するために、塗料のランクを下げる必要があるかもしれません。

しかし足場設置が不要であれば、耐用年数が長い塗料を使用でき、短期間で塗りなおす必要がなくなる場合もあります。

つまりブランコ作業やロープアクセス工法は、外壁塗装や工事を行う際の選択肢が広がるということ。

ブランコ作業やロープアクセス工法は、依頼先の希望に柔軟に対応できる方法です。

メリット2.ブランコ作業は狭小地にも対応

ブランコ作業・ロープアクセス工法は、建物間のわずかなすき間でも対応可能です。

特にロープアクセス工法は、人ひとり分のスペースがあれば対応でき、より幅広い建物に対応しています。

さらに、歩道上の足場設置が必要なケースでも、ブランコ作業やロープアクセス工法が活躍します。

東京都の「道路占用許可基準」に代表されるように、歩道の幅によっては、足場の設置条件が限定される場合があります。

その点、ブランコ作業やロープアクセス工法は、歩道の幅を気にする必要がありません。

メリット3.ブランコ作業は短期間で実施可能

ブランコ作業・ロープアクセス工法は、足場設置期間がない分、短期間で施工が完了します。

高層マンションやビルでは、足場の設置に1~2週間、解体に数日必要です。

つまり足場を設置した場合は「施工期間=足場設置・解体期間+施工期間」として想定しなければならないということ。

足場の設置・解体がなければ、最短での施工が可能になり、周囲に与える影響が最低限で済むでしょう。

ブランコ作業・ロープアクセス工法の、足場設置が不要なメリットは、複数の修繕箇所を分けて対応できる点もポイントです。

月ごとの予算に合わせた対応ができ、より手軽に修繕できます。

ブランコ作業(ロープアクセス工法)の注意すべき2つのポイント

万能のように思えるブランコ作業ですが、注意すべきポイントが2つあります。

ブランコ作業を依頼する前に、チェックしておきましょう。

注意点1.ブランコ作業は天候によっては実施できない場合がある

強風や雨天では、ブランコ作業は実施できない場合があります。

強風では、ブランコごと壁面に叩きつけられたり、ブランコから墜落したりとハイリスクなためです。

雨天時は、壁が濡れたことによって足元が滑ってしまい、体制のキープが困難になるケースも。

ただし、上記のような条件下では、足場を設置した工法でも同様です。

いっぽうで、ブランコ作業やロープアクセス工法は、スケジュール調整ができればスピーディに対応できます。

外壁調査・修繕の、急な中止が不安な方は、予備日を検討しておくと安心です。

注意点2.ブランコ作業は規模によって低コスト化できない場合がある

工事の内容にもよりますが、ブランコ作業・ロープアクセス工法は、大規模修繕工事でコスト高になる場合があります。

シーリング材の塗布・雨漏り箇所の修繕など、複数の修繕工事を同時に行うケースでは、修繕内容ごとに使用する部材・工具が異なります。

そのため、何度もロープの昇降を繰り返す必要が生じます。

結果的に作業効率が低下し、作業が長期化する可能性があるためです。

大規模な修繕工事が必要な場合は、足場を設置した工法とブランコ作業・ロープアクセス工法の両方を検討し、工事期間やコストを比較しましょう。

ブランコ作業(ロープアクセス工法)の安全性はどのように確保する?

ブランコ作業・ロープアクセス工法の安全性は、教育とチーム編成によって守られています。

特にロープアクセス工法は、レスキュー隊と同様の技術です。

チームを編成して外壁調査・修繕にあたるため、作業員のひとりにトラブルが発生した際も、即座にレスキューが可能。

フルハーネス型安全帯や、メインロープ・ライフラインの2本のロープ使用も欠かしません。

そういった努力があってこそ、高所作業の安全性を確保でき、安心してサービスを提供できます。

ブランコ作業によるビルメンテナンスを検討中の方へ

今回は、以下3つのポイントをお伝えしました。

  • ブランコ作業は公的機関も採用した特殊工法
  • ブランコ作業は、足場設置が困難な場合も柔軟に対応可能
  • ブランコ作業は短期間かつ低コスト

株式会社ギアミクスでは、大阪・東京を中心とした、豊富なロープアクセス工法の実績がございます。

さらに、キュービクル工事・非常用発電機負荷試験などの電気工事事業や、衛生管理事業も展開しております。

ビルメンテナンスでお悩みの際は、お気軽にお問合せください。