高圧受電設備とは?機器構造や点検する必要性をわかりやすく解説

高圧受電設備とは?機器構造や点検する必要性をわかりやすく解説

工場やビル、病院など多くの電気を必要とする施設には、高圧受電設備を設置している場合がほとんどです。

高圧受電設備を設置すれば、多くの電気を安い価格で使用できるだけでなく、電気事故による波及事故を防げます。

高圧受電設備にはさまざまな機器が内蔵してあり、正常に稼働させ続けるには定期的な点検が必要です。

この記事では、高圧受電設備とは何か・機器の種類や交換時期、点検の必要性を解説します。

高圧受電設備とは?

高圧受電設備とは、高い電力を使用できる電圧にまで下げる役割を担っている施設です。

発電所で作成した電力は数万Vと非常に高いため、そのまま利用できません。

変電所を通し、電圧を徐々に下げながら電力を運んでいます。

家庭や小規模な施設で使用する電力は、電柱内にある変圧器(トランス)で100~200Vに変圧する仕組みです。

一方で、工場や大型商業施設など大量の電力を必要とする施設の場合、6,600Vもの高圧電力を受電し、設置してある高圧受電設備で変圧します。

高圧受電設備の種類

高圧受電設備には、受電室式高圧受電設備とキュービクル式高圧受電設備の2種類あります。

受電室式高圧受電設備は、主に工場など大量の電力を使用する施設で使用する高圧受電設備です。

フレーム鋼で形成されており、遮断器や継電器などの機器が付いており、多くの場合は屋外に設置してあります。

増設しやすい特徴がありますが、機器が露出しているため、日光や塩害など設置場所の環境によって劣化しやすい点も特徴です。

キュービクル式高圧受電設備は、キュービクルと呼ばれる金属製の箱のなかに高圧受電設備が収納してあります。

機器がキュービクルで覆われているため、環境の影響は受けにくいですが、施設内は狭く、メンテナンスや増設するのに手間がかかる点が特徴です。

キュービクル式高圧受電設備の基礎知識や設置基準を詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

キュービクルの設置基準とは?基礎知識や仕組み、種類別の内部構造を解説 – ギアミクス

高圧受電契約と低圧受電契約の違い

電気の契約方法は、高圧受電契約と低圧受電契約の2パターンです。

一般家庭や小規模な施設の場合、低圧受電契約により、電力会社が管理する変圧器で使用できる電圧にまで変電した電力を使用します。

一方で、50kW以上の電力が必要な施設では高圧受電契約を結び、高圧受電設備によって電力を施設内に引き込む仕組みです。

高圧受電契約は電力会社の変圧器を使用せずに電力を使用するため、低圧受電契約より安い費用で電気を使用できます。

高圧受変電設備の機器構造

高圧受電設備は、高圧電力の電圧を下げるだけでなく、落雷や漏水などの事故による影響を抑える役割があります。

設置している施設内に電力を確実に供給するには、高圧受電設備内にある機器が正常に稼働していることが重要です。

低圧受電設備にある機器とは大きく異なるため、各役割をしっかりと把握しておきましょう。

キュービクル

キュービクルは、高圧受電設備の機器を金属製の箱で収納したものです。

変圧器(T)

変圧器はトランスともいい、6,600Vの電流を100~200Vに変圧しています。

避雷器(LA)

避雷器は、電力会社の配線から高圧受電設備に流れる雷などの強力な電気を、地面へ受け流す役割があります。

落雷による機器の故障やショートを防ぐために、避雷器は重要な機器です。

断路器(DS)

断路器はディスコンとも呼ばれており、電気が流れていない電気回路を遮断する役割を持つ機器です。

月次点検や年次点検、工事をおこなう際には、受電線から流れる電気を遮断する必要があります。

なお、負荷電力を検知して電流を遮断する機能はないため、注意が必要です。

高圧気中開閉器(PAS)

高圧気中開閉器は高圧受電設備で電気事故が発生した際に、流れる電力を遮断し、電力会社に事故が波及するのを防ぐ機器です。

波及事故によって、多くの人や会社に影響を与えてしまうと、場合によっては多額の損害賠償金を支払はなければならないため、防止する機器が必要となります。

高圧真空遮断器(VCB)

高圧真空遮断器は、変圧器の容量が大きい設備に流れる電気を入れたり、切ったりするスイッチのような役割があります。

高圧電力が漏電したときやショートしたときに、過電流継電器や高圧地絡継電器と組み合わせて電気を遮断する機器です。

過電流継電器(OCR)

過電流継電器は、電気がショートした場合や過度の使用状態を検出し、高圧真空遮断機器などへ遮断する信号を送る機器です。

高圧地絡継電器(GR)

高圧地絡継電器は、電気が漏電した際に検出し、高圧気中開閉器や高圧真空遮断器に遮断の信号を送る機器です。

高圧ケーブル

高圧ケーブルは、高圧電力を放電しないよう安全に送る電線です。

低圧開閉器ブレーカー

低圧開閉器ブレーカーは、電気のショートや過度に使用した電気を遮断する役割を持ち、電灯用と動力用があります。

高圧進相用コンデンサー(SC)

高圧進相用コンデンサーは、モーターなどを使用し、悪化した力率を改善する役割がある機器です。

高圧交流負荷開閉器(LBS)

高圧交流負荷開閉器は、変圧器の容量が小さい設備に流れる電気を入れたり、切ったりするスイッチのような役割があります。

高圧限流ヒューズと組み合わせて使用し、設備を保護する機器です。

三相交流電源の場合は高圧交流負荷開閉器を使用し、単相電源の場合は高圧カットアウト(PC)を使用し、コスト削減を図ります。

高圧カットアウト(PC)

高圧カットアウトは、高圧限流ヒューズと組み合わせて機器を保護する役割があります。

変圧器やコンデンサの1次側に設置し、高圧交流負荷開閉器(LBS)を使用するほどでもない容量の施設に使用する機器です。

計器用変圧変流器(VCT)

計器用変圧変流器は、計器用変成器や電力需給用計器用変圧変流器とも呼ばれています。

メーターを読み取るために、電圧を下げたり(変圧)、電流を小さくしたり(変流)する役割を持つ機器です。

高圧受変電設備の交換時期

高圧受変電設備の機器は、種類やメンテナンスの頻度によっても異なりますが、大体10~20年で交換する必要があります。

高圧受変電設備の交換時期は、以下です。

  • キュービクル:15年
  • 変圧器(T):20年
  • 避雷器(LA):15年
  • 断路器(DS):15~20年
  • 高圧気中開閉器(PAS):10~15年
  • 高圧真空遮断器(VCB):20年
  • 過電流継電器(OCR):20年
  • 高圧地絡継電器(GR):15年
  • 高圧ケーブル:15~20年
  • 低圧開閉器ブレーカー:15年
  • 高圧進相用コンデンサー(SC):15年
  • 高圧交流負荷開閉器(LBS):10~15年
  • 高圧カットアウト(PC):15~20年
  • 計器用変圧変流器(VCT):15~20年

上記の交換時期はあくまで目安ですが、機器の老朽化にともない、安全・安定した電気の供給ができなくなる恐れがあります。

さらに、機器が正常に稼働せず、波及事故が起こると大規模な停電につながる可能性もあるため、機器が老朽化してきたら専門家へ相談してみましょう。

なお、機械や機器に定められている耐用年数の意味をより詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

キュービクルの耐用年数とは?設置する必要性や必要な手続きを解説 – ギアミクス

高圧受変電設備を点検する必要性

大量の電気を扱う高圧受変電設備は、定期的に点検をおこなう必要があります。

もしも、機器や設備が故障すると、長時間の停電や操作不能により、周辺の人々や多くの会社に影響を及ぼしかねません。

高圧受変電設備の不注意による事故は、会社の信頼性を失いかねないため、設置する際には点検を怠らないようにしましょう。

それでは、高圧受変電設備における点検や点検を怠る危険性を解説します。

法安点検

高圧受変電設備は、月に1度や年に1度の点検を法律によって義務付けられています。

高圧受変電設備を点検するのは、設置者が選任した電気主任技術者です。

基本的には、選任した電気主任技術者が点検をおこないますが、外部委託承認制度を利用すれば、電気保安法人などにも依頼できます。

年次点検では、高圧電力の運転を停止し、月次点検ではおこなえかった部分を点検しますが、どうして停電できない場合には、無停電検査システムにより実施することも可能です。

点検を怠る危険性

点検を怠ると、停電事故や感電・火災事故、波及事故が起こる可能性が高まります。

雨水や小動物が設備内に侵入し、停電事故につながるケースも少なくありません。

工場やオフィスビルで停電事故が発生すると、その間は電気を使用できないため、納期に遅れる危険性があるでしょう。

また、漏電から火災事故につながるケースもあり、最悪の場合は人命に関わる大惨事に発展しかねません。

波及事故により、近隣の住宅や工場、病院や交通システムに影響を与えてしまうと、多額の損害賠償金を請求される恐れもあるでしょう。

高圧受電設備は定期的にメンテナンスが必要

この記事では、高圧受電設備とは何か・機器の種類や交換時期、点検の必要性を解説しました。

高圧受電設備は安い価格で大量の電気を使用できる反面、機器の故障で施設内や周辺に大きな影響を与えかねません。

定期的な点検は法律により義務付けられていますが、少しでも異常を感じたらすぐに専門業者へ依頼し、修繕してもらいましょう。

ギアミクスは、キュービクル工事をおこなっている会社です。

2016年に設立し、現在では、全国の企業とも取引しており、ロープアクセス事業や電気工事事業をおこなっています。

ギアミクスでは、キュービクル取替えの提案だけではなく、本当に取替えが必要な部品のみ提案しているため、無駄なコストの削減が可能です。

通常のメーカーは製品保証は1年ですが、ギアミクスでは無償で2年間保証しています。

高圧受電設備の修繕を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。