非常用発電機の導入前に、補助金に該当しているかを確認すべきです。
近年では、これまでの災害の経験を踏まえて、各種補助金が充実しています。
本記事では、非常用発電機の導入に活用可能な補助金について解説します。
令和3-4年・令和5年の補助金についても解説しますので、非常用発電機の導入を検討する際にお役立てください。
目次
非常用発電機の補助金、充実の背景は災害の増加
上記画像の通り、日本の災害の多さは世界でも有数です。
実際に、東日本大震災をはじめとした災害のニュースを目にした経験がある方も多いのではないでしょうか。
そういった背景をもとに、内閣府が発表した「令和4年版 災害白書」には、様々な災害への対策が記されています。
たとえば緊急避難場所です。
現在、地方公共団体に対して指定緊急避難場所の指定を促しています。
緊急避難場所には非常用電源が必要なこともあり、非常用発電機を設置する建物に対して補助金も設立。
補助金を活用して、非常用発電機が導入された建物の拡充を図っているのが現状です。
非常用発電機の導入に利用可能、3つの補助金とは?
非常用発電機の導入に利用可能な、以下3つの補助金の概要を解説します。
各補助金について、詳しく見てみましょう。
非常用発電機補助金1.災害時に備えた社会的重要インフラへの自営的な燃料備蓄の推進事業補助金
災害時に備えた社会的重要インフラへの自営的な燃料備蓄の推進事業補助金は、間接補助事業を行う民間団体向けの補助金です。
補助金を活用したい場合は、各自治体・補助事業者を通して経済産業省に申請し、承認後に補助金が支給されます。
令和4年の間接補助事業者として、申請するための要件や募集期間などについては以下の通りです。
1.応募要件
- 日本国内に拠点がある
- 事業遂行のための組織・人員を有している
- 事業の円滑な遂行に必要な経営基盤を有し、かつ資金管理能力がある
- 経済産業省から補助金交付等停止措置または指名停止措置が講じられていない
- 経済産業省の求めに応じて、必要事項を経済産業省ホームページでの公表に同意すること
2.募集詳細
- 募集期間:令和4年2月15日(火)~令和4年3月10日(木)12時必着
- 説明会:令和4年2月22日(火)10時~
- 対象設備:自家用発電設備等・自家用発電設備の設置に要する経費
- 事業情報掲載先:令和4年度「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業のうち自治体における防災の拠点となる施設向け自家用発電設備等利用促進対策事業に係るもの)」に係る補助事業者(執行団体)の公募について
応募を検討する場合は、経済産業省のホームページを随時チェックしましょう。
情報が更新される可能性があります。
非常用発電機補助金2.BCP実践促進助成金
BCP実践促進助成金は、BCPの実践に必要な物品・設備等の導入経費に対する補助金です。
BCPとは、緊急事態発生時に事業資産の損害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続・早期復旧を目的とした計画のこと。
中小企業庁「BCPとは」では、経済基盤がぜい弱な中小企業に対して、BCPの策定を求めています。
BCP実践促進助成金の対象となるのは中小企業であり、応募要件・対象設備などについては以下の通りです。
1.応募要件
- 平成29年度以降に「BCP策定支援事業(BCP策定講座・BCP策定コンサルティング)」による支援を受け、受講内容を踏まえたBCPを策定している
- 「事業継続力強化計画」の認定を受け、その内容に基づいてBCPを作成している
- 平成28年度以前の東京都又は公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施したBCP策定支援事業等の活用したBCPを策定している
2.募集詳細
- 申請予約期間(令和4年度 3回目):令和4年12月20日(火)~令和4年12月23日(金)
- 申請受付期間(令和4年度 3回目):令和5年1月11日(水)~令和5年1月19日(木)
- 対象設備:自家用発電設備等・自家用発電設備の設置に要する経費など
- 事業情報掲載先:公益財団法人 東京都中小企業振興公社「令和4年度 BCP実践促進助成金 申請案内」
BCP実践促進助成金は、ERP・CRMなどの基幹システムについても補助の対象となるのが特徴です。
直接的な災害対策だけでなく、クラウドシステム導入による主幹業務の早期復旧を考えている企業も、チェックしておいて損はないでしょう。
非常用発電機補助金3.石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金
石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金は、公的避難所・医療施設・社会福祉施設などを対象とした補助金です。
災害に対応したLPガスの貯蔵・供給システム「LPガス災害バルク」の設置経費の一部を助成。
ほかにも、ガス発電機や空調設備なども対象です。
応募要件・募集詳細などは以下の通り。
1.応募要件
- 災害等発生時、避難場所までの避難が困難なものがいる施設
- 公的避難所
2.募集詳細
- 募集期間(令和4年 追加公募):令和4年9月30日(金)~(締切日未設定)
- 事業完了期限:令和5年5月28日(日)
- 対象設備:LPガス災害バルク貯槽・LPガス発電機・燃焼機器・空調設備など
- 事業情報掲載先:一般財団法人 エルピーガス振興センター「石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金」
石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金の追加公募は、予算に到達次第終了予定です。
終了となった場合は公式ホームページに掲載されますが、活用を検討する場合、直接問い合わせたほうが安心かつ確実でしょう。
【令和3年】補助金は社会的重要インフラへの燃料備蓄を推進
令和3年に制定された補助金のポイントは3つです。
- 補助金の目的は災害時のライフライン確保
- 新たな避難場所の確保
- 医療・福祉施設の災害時の安全確保
LPガスや石油が選ばれた理由は、電気に変換できるほか、暖房や調理器具の直接的な燃料になるためです。
LPガスについては、タクシーのようなLPガス自動車も視野に入れていることが「経済産業省 避難所となる公共施設等への燃料備蓄の推進について」に記載されています。
令和3年の補助金については、中小企業向けの内容が含まれているのも大きなポイント。
経済産業省および総務省のデータによると、日本企業の99.7%が中小企業が占めており、避難場所の確保には中小企業の協力が欠かせないのが現状でしょう。
それでは、非常用発電機の補助金は、今後どのように変化を遂げるのでしょうか。
次章で詳しく解説します。
【令和5年】補助金対象はZEB化へも広がる
令和4年8月に発表された「令和5年度 国土強靭化関係予算概算要求の概要」によると、社会的重要インフラへの燃料タンク等の導入支援は継続される見通しです。
そして、新たに導入される対策の中でも、大きく変更された点としてZEB化推進が挙げられます。
ZEBとは、自家発電装置と省エネ対策によって、エネルギー消費量が正味ゼロになる建物のこと。
使用するエネルギーは、基本的に建物内でまかなえるため、建物内の設備は災害発生時も使用できます。
建物のZEB化と同時に、無電柱化が推進されるのもポイントです。
電柱倒壊による道路閉塞リスクがなくなり、物資の運送が容易になります。
補助金の詳細については、現時点(令和4年11月17日)では未発表ですが、制度が確定したのちに発表されるでしょう。
非常用発電機をはじめとした災害対策を検討中の場合は、各省庁の公式ホームページを定期的な確認が必要です。
補助金を活用した非常用発電機導入によくある2つの質問
補助金を活用した非常用発電機によくある、下記2つの質問について解説します。
非常用発電機に関する疑問解決にお役立てください。
非常用発電機の容量の目安はどれくらい?
非常用発電機の容量は、建物の規模・法令などによって異なります。
たとえば消防法では、定格負荷で60分以上稼働すること・燃料油は2時間以上の容量であることなどが定められています。
必要な容量の計算方法をはじめとした詳細については「非常用発電機の容量の目安とは?設置基準・選び方・容量計算も解説」をご覧ください。
非常用発電機に設置に必要な費用は?
非常用発電機の設置に必要な費用は、設置する環境や発電機の規模によって異なるため、一概には言えません。
相場を知るには、複数の業者に見積もりを依頼し、比較するのがベストな方法でしょう。
非常用発電機本体の価格相場については「非常用発電機の価格は?価格相場やおすすめメーカー14社も徹底解説」をご覧ください。
補助金を活用して非常用発電機の導入を検討されている方へ
今回は、非常用発電機の導入に活用可能な補助金についてお伝えしました。
非常用発電機は、いつ・どこで発生するかわからない災害の備えとして、今後も重要性が増すでしょう。
しかし、非常用発電機は導入後のメンテナンスも大切。
なぜなら、非常用発電機の負荷試験は法令で義務化されているためです。
株式会社ギアミクスでは、低コストな非常用発電機の負荷試験「疑似負荷試験」を請け負っております。
費用や流れなどについては「電気工事事業ページ」をご覧のうえ、不明な点や詳細についてはお問い合わせください。