外壁補修とは?工事の種類・適切なタイミング・DIYが可能かを解説

外壁補修とは?工事の種類やタイミングをわかりやすく解説

 

壁のひび割れや塗装の剥がれなど、外壁の劣化をそのまま放置していると、大きな費用が必要になる可能性があります。

外壁の劣化が原因で、雨漏りやカビが発生するリスクが想定されるためです。

外壁補修のコストを抑えようと、DIYを検討するのも手段のひとつですが、外壁の状態によっては多大な費用が発生することも。

本記事では、外壁補修の基礎知識を解説します。

DIYが可能かを判断するためのポイントも、あわせて参考になさってください。

目次

【基礎知識】外壁補修とは?

外壁補修の基礎知識を、以下2つの視点から解説します。

  • 外壁補修の目的は建物の安全維持
  • 外壁補修・修理の工事方法は傷の程度で異なる

外壁補修の目的や方法の参考にしてみてください。

1.外壁補修の目的は建物の安全維持

外壁補修は、劣化した部分に補修工事を行い、建物の外観や安全を維持するのが目的です。

たとえば壁のひび割れは、見た目が小さくても内側に深刻なダメージを与える場合があるため注意が必要です。

外壁のひび割れから雨が侵入し、外壁の劣化を促進します。

壁に触れたときに、白い粉状のものが手に付着する場合も補修が必要です。

紫外線・熱・風雨に長期間さらされた外壁は、劣化が進んで白い粉状になるチョーキング現象を引き起こしていると判断できるためです。

劣化が深刻化した外壁は剥がれ落ちるリスクがあり、建物の安全な使用ができなくなるため、早い段階で対策しましょう。

2.外壁補修・修理の工事方法は傷の程度で異なる

外壁補修・修理の工事方法は、おもに以下の5つです。

  • コーキング
  • 塗装工事
  • V(U)カット補修
  • カットシーリング工法
  • サイディング補修

詳しくは後述しますが、ひび割れの大きさや使用されている外壁材などによって、適切な工事は異なります。

なお、外壁補修の費用相場については「外壁補修の費用はいくらかかる?騙されないための適切な相場を解説!」をご覧ください。

外壁補修・修理できる5つの工事方法とは?

外壁補修の工事方法を詳しく解説します。

補修が必要なレベルや耐用年数など、比較したいときにお役立てください。

工事方法1.外壁補修後の耐用年数5~10年「コーキング」

コーキングは、コーキング剤を使用して外壁のひび割れを補修する工事です。

コーキング剤の種類と特徴は以下の通り。

  • アクリル:水性で加工しやすい。紫外線に弱く、耐久性は10年ほど。
  • ウレタン:弾力性・密着性に優れ、耐久性が高い。耐用年数は10~15年ほど。
  • シリコン:耐久性・耐熱性・耐水性に優れ、カラーバリエーションが豊富で低価格。ただし塗装が必要な個所に使用できない。耐用年数は10年ほど。
  • 変性シリコン:シリコンと同様の特徴を持ち、塗装も可能。ただし価格が高い。耐用年数は10~15年ほど。
  • ポリウレタン:柔軟性・防水性・耐久性が高く、汚れにくい。紫外線に弱く、耐用年数は5~10年ほど。

上記の通り、コーキングを使用した外壁補修は、耐用年数が最長でも15年ほどです。

建物が置かれている環境によっても、耐用年数に差が生じるため、5~10年に一度は塗りなおすといいでしょう。

工事方法2.細かいひびを補修する「塗装工事」

塗装工事は、幅0.3mm以下・深さ4mm以下のヘアークラックと呼ばれる、髪の毛ほどの細かいひび割れの補修向けです。

ひび割れ箇所に下地材を刷り込み、塗装しなおすことで補修しながら再発を予防します。

経年劣化によるヘアークラックは、建物が崩れるリスクはほとんどないものの、外観が気になる場合は早めに対処しましょう。

なお、塗装後すぐに亀裂が生じた場合は、施工時の塗料乾燥が不十分・塗料と素地の相性が悪いといった原因が考えられます。

工事方法3.中程度のひび割れに有効「V(U)カット補修」

V(U)カット補修は、細かなひび割れから大きなひび割れまで、幅広く施工される工事です。

電動工具でひび割れに沿ってV型に溝を掘り、コーキング剤を充てんします。

ひび割れ箇所に、コーキング剤を直接注入・接着できるため、よりしっかりと補修できます。

工事方法4.深刻なひびを修理「カットシーリング工法」

カットシーリング工法は、建物の構造が歪むことで発生する「構造クラック」の補修に使われる方法です。

ひび割れ部分をV字に削り、汚れを除去したのちに下塗り剤とコーキング剤を注入して補修します。

構造クラックは地盤沈下・設計ミス・地震などの影響で発生します。

外壁が崩れたり剥がれたりする可能性があるため、見つけた場合は早急に専門業者に相談しましょう。

工事方法5.傷&外観を維持可能「サイディング補修」

サイディング補修とは、外壁材のサイディングを張り付けて傷と汚れをなくす方法です。

近年ではサイディングを外壁とした戸建て住宅も増えており、耳にした経験がある方も多いのではないでしょうか。

サイディング補修は、サイディングを外壁に張り付ける方法なため、強引に感じるかもしれません。

しかし、サイディングが外壁の下地を守ってくれるため、傷や汚れ対策として有効です。

外壁補修・修理の工事が必要な3つの理由とは?

外壁補修・工事が必要な理由は以下の3つです。

  • 外壁補修・修理が建物の劣化を防ぐ
  • 外壁補修・修理で外観を美しく保てる
  • 防水性能アップに外壁補修・修理が有効

それぞれ具体的に解説します。

理由1.外壁補修・修理が建物の劣化を防ぐ

外壁は、紫外線や風雨を直接受けるため、劣化しやすい箇所でもあります。

外壁にダメージが蓄積されると、ひび割れの発生原因となり、鉄骨や木材が腐る原因になります。

そのままの状態で放置して、建物そのものの劣化が早まった結果、断熱効果が低下するケースも。

定期的にメンテナンスすることで、上記のような状態になるのを防ぎ、快適な住環境を維持できるでしょう。

理由2.外壁補修・修理で外観を美しく保てる

外壁にひび割れやカビが目立ち、まるで幽霊屋敷のような家に住みたいと考える方はいないでしょう。

しかし、建物はおよそ10年で外観が色褪せ、コケやカビが発生します。

美しい外観を保つには、定期的にメンテナンスが必須。

取引相手をはじめとした訪問客に好印象を与えるためにも、早めの段階で手を打っておくのがおすすめです。

理由3.防水性能アップに外壁補修・修理が有効

外壁補修の際に、防水・断熱効果のある塗料を塗ると、建物の性能アップが可能です。

防水・断熱効果のある塗料は、ビルの屋上のような平らな屋根の雨漏り防ぎたいときに使用され、一定期間は効果に期待できます。

防水・断熱効果のある塗料は、コーキング補修と併用するとより大きな効果に期待できるのもポイント。

コーキング剤が新しくなれば、外壁のすき間がより少なくなるため、防水・断熱効果が高まります。

外壁補修・修理工事の目安とは?

外壁補修・修理工事が必要な時期の目安が分かれば、前もって備えておくことも可能です。

ただし、外壁補修・修理が必要な時期は新築かどうかで異なるため気を付けてください。

外壁補修が必要な時期の目安については「外壁補修の目的とは?作業方法や壁の種類、注意点を解説」でも解説しています。

【新築】外壁補修・修理工事の目安は8~10年

新築住宅の場合は8~10年で補修や再塗装するのが一般的です。

適切な年数については、外壁材の種類や周囲の環境によって異なり、耐用年数が長い外壁材は10年以上経過してもきれいな場合も。

近年では、外壁の塗り直しが不要なタイルを外壁とした建物もあるため、気になる場合は建築業者に問い合わせておくと安心です。

外見に問題がないように見えても、壁内が腐敗している場合もあります。

白アリをはじめとした害虫の被害を受け、目に見えないところで雨漏りしている可能性があるためです。

白アリ被害が心配な場合は、定期的に専門業者に依頼して確認するのが大切です。

【二度目以降】外壁補修・修理工事の目安は塗料で異なる

二度目以降の外壁補修のタイミングは、塗料の耐用年数によって異なるため、どの塗料を使用したかを確認する必要があります。

建物に使用される代表的な塗料の耐用年数は以下の通りです。

  • アクリル系塗料:5~7年
  • ウレタン系塗料:8~10年
  • シリコン系塗料:10~13年
  • ラジカル系塗料:13~16年
  • 光触媒塗料:15~20年
  • フッ素系塗料:15~20年
  • 無機塗料:20~25年

外壁補修の手間が最も少ないのは無機塗料ですが、施工価格は高め。

外壁の補修面積や状況に合わせて選択するといいでしょう。

外壁補修・修理が必要な3つのサインとは?

次に、外壁補修するべきタイミングを解説します。

始めは小さな傷でも、安易に放置すると建物の劣化が深刻化する原因に。

異変にいち早く気づき、早いタイミングで補修できれば、費用・時間を削減できます。

外壁補修のタイミングは以下3つです。

  • 外壁のひび割れ
  • コーキングのひび割れ
  • 塗装の剥がれ・浮き

では、3つのタイミングを見ていきましょう。

サイン1.外壁にひび割れが目立つ

1つ目の外壁補修のタイミングは、外壁のひび割れです。

外壁のひび割れは、主に地震によって発生。

外壁のひび割れは、雨水が侵入する原因になります。

壁に大きなひび、複数のひびがある場合は早めに補修しましょう。

小さいひび、少ないひびは自分で修理できますが、大きなひび・複数あるひびは専門家に頼んだ方が早く作業が終わります。

サイン2.外壁のコーキングにひび割れが生じた

2つ目の外壁補修のタイミングは、コーキングのひび割れです。

コーキングのひび割れや劣化も雨水が侵入する原因となります。

コーキングは主に、建物の隙間やサイディングボードの間に使用。

紫外線に弱いため、劣化が外壁に比べて早いです。

コーキングが年が経つにつれて、ひび割れや肉痩せします。

雨水の侵入は大きな修理に繋がるため早めに補修しましょう。

サイン3.外壁塗装に剥がれ・浮きがある

3つ目の外壁補修のタイミングは、外壁塗装の剥がれ・浮きです。

建物を長年使っていると外壁塗装の付着力が低下し、下地から剥がれたり浮き上がったりします。

外壁塗装の役割は、紫外線や雨水など強い刺激から建物を守ること。

また、夏や冬の厳しい気温も断熱効果によって防ぎます。

外壁塗装の剥がれ・浮きは、建物の外観が悪くなるだけでなく建物の守備力も低下。

外壁塗装が剥がれ出したら塗料の塗り直しましょう。

外壁補修はDIYで工事可能

外壁補修は、パテ・塗料・刷毛などの道具を準備できればDIYが可能です。

パテを使った外壁補修の方法は「外壁補修をパテでDIYする方法を解説!修理可能かの判断ポイントも」で具体的に解説してますが、洗う・下処理・パテ塗り・整地の4ステップです。

しかし、外壁補修のDIYを成功させるには守るべき注意点があります。

注意点は、次章で詳しく解説します。

外壁補修をDIYで工事するときの3つの注意点とは?

外壁補修のDIYで、最も注意すべきは作業中の事故です。

厚生労働省が発表した「災害事例」にも掲載されるように、専門業者でも事故を引き起こすケースがあります。

安全で楽しいDIYにするためにも、注意点を守るように心がけましょう。

注意点1.外壁補修DIYは怪我のリスクがある

はしごが必要な位置の補修は、転落による怪我リスクがある点に注意が必要です。

実際に、消費者庁はこちらのPDFで脚立・はしごからの転落を注意喚起を促しています。

はしごからの転落原因は、はしご使用上の注意が守られない・作業や昇降時にバランスを崩したなど、使用者の動作に問題があったケースがほとんど。

転落事故を完全に防ぐのは困難ですが、せめてヘルメットや命綱を着用し、万が一に備えておくべきでしょう。

注意点2.外壁補修DIYでは対処しきれないケースも

DIYで補修したにもかかわらず、何度もヒビが発生する場合は「DIYで対処しきれない」と判断してください。

外壁の表面だけでなく、内部にも原因があると想定されるためです。

建物の歪みや劣化が原因となるケースもあるため、専門業者に依頼したほうが安心です。

専門業者の選び方は「外壁修理の費用はどれくらい?修理が必要な状態や業者選びのポイントを紹介」をご覧ください。

注意点3.外壁補修はDIYより業者のほうが安いことも

外壁補修を、安全に配慮したうえでDIYする場合、パテ・塗料などのほかにもヘルメットや命綱が必要です。

ヘルメットも命綱の相場は5,000円ほどで、パテ・塗料・ハケなどに5,000円使ったとすると、合計で15,000円。

怪我リスクも考慮すると、決して安い金額ではありません。

一方で、外壁補修を専門業者に依頼すると、無料で補修できる場合もあります。

加入している保険の内容にもよりますが、外壁補修が保険の対象となるケースがあるためです。

これらのことを総合的に考えると、外壁補修のDIYは、あくまで緊急時の応急処置として考えておくべきでしょう。

ビルの外壁補修・修理でお悩みの方へ

本記事では、外壁補修について以下3つのポイントをお伝えしました。

  • 外壁補修の工事方法は傷の程度で異なる
  • 外壁補修は新築10年・その後は8年が目安
  • 外壁補修はDIYよりも業者のほうが安全・確実

高層ビルやマンションなど、特定の建物については、外壁補修のほか定期的な外壁調査が法律で定められています。

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