経年劣化したキュービクルを持っている場合、保安管理や点検、突然の故障による修理費などさまざまなお金がかかります。
キュービクルは直接的には売上に関係しないため、買取業者を探している方もいるのではないでしょうか?
この記事では、キュービクル買取のメリットや流れを解説します。
直接売上につながらないキュービクルをどうにかしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
キュービクルとは
キュービクル(高圧受電設備)とは、変電所から送られてくる6,600Vの高圧電気を、100Vや200Vに変圧する受電機器一式を金属製の外箱に収めたものです。
キュービクルは、多くの電気を必要とする大型商業施設や工場、オフィスビルなどさまざまな施設に設置してあります。
キュービクルを設置すると、大量の電気を安く使用できますが、維持・管費には費用が必要です。
それでは、自社でキュービクルを所有する問題点を解説します。
キュービクルを自社で所有する問題点
キュービクルの保有・維持には、それなりに費用がかかります。
設備容量によって多少異なりますが、メンテナンスを外部へ委託する際にかかる費用は月額10,000~30,000円ほどです。
キュービクルを使用している法人は基本的に、自社保有となっています。
キュービクルを自社で所有する問題点は主に、以下の3つです。
- キュービクル自体は売上に関係しない
- 保安点検にかかる費用
- 修理・修繕費用
キュービクルは生産施設ではないため、売上を生みません。
また、キュービクルの設置者は、電気主任技術者を選定し定期的保守点検をおこなわなければらないため、継続的に保安管理費用が発生します。
さらに、経年劣化による事故を防ぐために、修理費や修繕費も必要になるでしょう。
高圧電力を扱うキュービクルに使用している部品が高額で、寿命を迎えた部品は安全確保のために、その都度修理や交換をしなければなりません。
キュービクルを自社で所有するリスク
キュービクルを自社で所有すると、波及事故のリスクをともないます。
波及事故とは、ある場所で事故が起きた際に、近隣やその地域を停電させるなど電気設備に影響を及ぼすことです。
一般家庭など低圧電力を扱う場合は、事故が起きる可能性が低く、影響する範囲も狭いため大きな問題になりにくくなります。
しかし、工場やビルなど高圧電力を扱う場合は、停電する設備や戸数の範囲が広く、停電時間も長くなるため、大きな影響を及ぼす可能性があるでしょう。
自社が所有するキュービクルの漏電・放電事故により、同じ配電用変電所を利用している会社や交通信号機などに影響を及ぼすと、損害問題や社会問題になる可能性があります。
キュービクル買取・アウトソーシングのメリット
キュービクル買取・アウトソーシングのメリットは、以下の4つです。
- 売却後も使用できる
- 費用は電気代のみ
- 修理費を負担してもらえる
- 保守・管理費を負担してもらえる
利益を出さないけど維持・管理費がかかるキュービクルを邪魔に思っている方もいるでしょう。
そんな時には、キュービクルを買い取ってもらい資金化するのもひとつの選択肢です。
それでは、キュービクルを買い取ってもらうメリットを見てみましょう。
メリット1.売却後も使用できる
キュービクルを売却したあとでも、従来の通り使用できます。
キュービクル買取・アウトソーシングでは、所有権が売却者から購入者へ移るだけです。
よって、キュービクルの所有権はないものの、継続して使用できる点は大きなメリットといえます。
メリット2.費用は電気代のみ
キュービクル買取・アウトソーシングすると、毎月かかる維持・管理費が必要ありません。
よって、キュービクル売却後にかかる費用は、毎月の電気代のみです。
キュービクルの売却時には、電力会社の見直しもおこなうため、従来よりも安い電気代になる可能性もあります。
メリット3.修理費を負担してもらえる
キュービクルを売却しそのまま継続して使用していても、経年劣化やトラブルによる修理はすべて買取業者が負担してくれます。
高額な部品を多く扱うキュービクルの修理・修繕費がかからないため、自社への負担を大きく減らすことが可能です。
メリット4.保守・点検費を負担してもらえる
キュービクル売却後は、買取業者が保守・点検費用をすべて負担してくれます。
保守点検をおこなう保安管理者は従来の担当者が継続しておこなう場合が多く、基本的にはこれまで通りの点検が可能です。
キュービクルの買取は現金でも可能
キュービクルを自社で保有するのが困難な場合は、業者に買い取ってもらいましょう。
キュービクルの買取は現金での受け渡しもできます。
キュービクル自体は人気で、在庫不足な状態にある業者が多く、常に買取手がいるため現金での買取が可能です。
キュービクルの買取価格
キュービクルの内部には、トランスや電線などさまざまな部品があります。
よって、キュービクルだけでなく各部品も買取が可能です。
キュービクルの部品で売却できるものには、以下があります。
- トランス
- トランスコア 銅
- トランスコア 半銅
- トランスコア アルミ
- 配電盤
- ブレーカー
- ヒューズ
キュービクル自体は外部が鉄でできている場合が多いため、外装のみ売却する際には1キロあたり55円ほどです。
ただし、ほかの部品に関しては1キロあたり数百円ほどで買い取ってもらえるものもあります。
高価買取になるキュービクルの特徴
買取業者によって異なりますが、以下のキュービクルは高額買取になる可能性が高いといえます。
- トップランナー方式変圧器またはトップランナー方式変圧器2014を使用しているキュービクル
- LBS受電300kva以内・VCB充電300kva以上のキュービクル
キュービクル以外にも、トランスやその他の部品も買取対象になる可能性があるため、気になる方は一度買取業者へ確認してみるとよいでしょう。
キュービクル買取の流れ
キュービクルの買取は以下の流れでおこないます。
- 買取査定を依頼する
- キュービクルを設置している現場の確認
- キュービクルの査定
- 引き渡し
それでは、キュービクル買取の流れを見ていきましょう。
流れ1.買取査定を依頼する
キュービクルに限らず、不要なトランスやコンデンサがある場合、まずは電話・FAX・メールなどで買取業者に問合せします。
不要になったキュービクルの年式や仕様、図面、外観写真などがあると、買取査定がスムーズにできるため、早い段階で概算価格の提示が可能です。
クレーンなどの重機や横引きの手配が必要な場合には、買取査定の依頼をする際に伝えておきましょう。
流れ2.キュービクルを設置している現場の確認
キュービクルの買取査定では、機械の動作確認や施設の構造、据え付けられ方などの状況を把握できなければ、正確な買取価格を算出できません。
よって、買取業者がキュービクルのある現場に向かい、本体の設置方法や機械の動作確認、施設の構造などを確認してから、見積もり価格を算出。
ただし、地域や諸事情によりキュービクルと現場の確認をおこなわない場合もあります。
流れ3.キュービクルの査定
売却者から得たキュービクルの情報や、現物・現場を見て確認したことをもとに、買取業者が正式な買取価格を算出。
買取業者が提示した金額に合意したら、取引が成立し引き渡しをおこないます。
流れ4.引き渡し
キュービクルの買取額や引き取りに関する条件に対して、双方が合意したらキュービクルを引き渡す日程を話し合います。
キュービクルの配線は原則として、売却者で撤去する必要がありますが、撤去が困難な場合は買取業者へ相談しましょう。
キュービクルの引き渡しが終わったら、買取業者が工場で再度現物を確認でき次第、買取額が振り込まれます。
希望すれば、引き渡しの場で直接現金を受け取ることも可能です。
また、直接買取業者へ出向き、不要なキュービクルを持っていき買い取ってもらうこともできます。
ただし、キュービクルの現物確認をおこなうため、多少の時間は必要です。
【買取前に知りたい】キュービクルの耐用年数
キュービクルの法定耐用年数は15年ほどで、高圧機器の交換は15~20年で交換する必要があります。
キュービクル部品の交換目安は以下の通りです。
- 変圧器:20年
- 避雷器:20年
- 断路器:20年
- 電力ヒューズ:15年
- 高圧ケーブル:15年
- 保護リレー:15年
- 電力用コンデンサ:15年
なお、実用耐用年数に比べて法定耐用年数は短めに設定してあります。
キュービクルの耐用年数についてより詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
キュービクルの耐用年数とは?設置する必要性や必要な手続きを解説 – ギアミクス
キュービクル買取をしない場合は維持費の削減が重要
キュービクル買取をしない場合は、維持費をいかに抑えるかが重要なポイントです。
高額な部品を扱うキュービクルでは、修理費や交換費が高くなりやすいといえます。
よって、できるだけキュービクルや部品を長持ちさせるためにこまめな清掃が大切です。
外にキュービクルを設置していてもある程度の防水加工が実施してあるため安心できますが、濡れ続けることはあまりよくありません。
なぜなら、キュービクルで起こる事故は、湿気や埃が原因である場合が多いためです。
埃の蓄積が原因で火災事故へつながる恐れもあるため、キュービクルはこまめに清掃しましょう。
キュービクル買取にはメリットが多い
この記事では、キュービクル買取のメリットや流れについて解説しました。
キュービクルは、大量の電気を安い価格で利用できるため、大型施設などによく設置してあります。
しかし、キュービクルを所有していると維持・管理費がかかるため、買取サービスやアウトソーシングを利用するのもひとつの選択肢です。
キュービクル買取・アウトソーシングは、維持費や管理費を削減できるだけでなく、売却後も従来のように利用できます。
不要なキュービクルや部品がある方は、一度買取業者へ問い合わせてみてください。