足場工事とは、建物の外壁工事や屋根工事、高所作業などを安全かつ効率的に進めるための通路を設置する工事のことです。
足場が正しく設置されていないと、作業員の安全が脅かされるだけでなく、工事の進行に支障をきたすこともあります。
本記事では、足場工事の基本的な情報や工事の種類、依頼する際の注意点について解説します。
初めて足場工事を依頼する方や足場工事の流れを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
足場工事とは?
作業員が安全かつ効率的に作業できる環境を整えるため、足場は欠かせない存在です。
足場の役割や基準について詳しく説明します。
足場の役割
足場の主な役割は、作業員が安全に高所で作業をするための作業スペースを提供することです。
建物の外装や内部の修繕、塗装作業、窓ガラスの設置など、地上からでは届かない場所での作業を安全に行うために足場は欠かせません。
足場は、作業員の移動や資材の運搬をスムーズに行うことにも貢献します。
塗装作業や外壁の修繕など、複数の作業者が同時に作業を進める際にも、足場を使用することで効率よく作業が進行します。
足場は作業員だけでなく、周辺の安全確保にも役立ち、落下物などによる事故を防ぐ役割も担っているのが特徴です。
足場の基準
足場の設置は「労働安全衛生法」や「足場の組立て等作業主任者に関する基準」により、法的な基準や安全基準が厳格に定められています。
事 業 者 は 、 高 さ が 2メ ー ト ル 以 上 の 箇 所 ( 作 業 床 の 端 、 開 口 部
等 を 除 く 。 ) で 作 業 を 行 う 場 合 に お い て 墜 落 に よ り 労 働 者 に 危 険 を 及 ぼ
す お そ れ の あ る と き は 、 足 場 を 組 み 立 て る 等 の 方 法 に よ り 作 業 床 を 設 け
な け れ ば な ら な い 。引用元:労働安全衛生規則 第 518 条
作業員の安全を守るために、足場の強度や高さ、幅、使用する資材の種類、設置場所など環境に応じた適切な対策が必須です。
足場の点検やメンテナンスも重要であり、作業の進行中に定期的に安全確認が行われます。
基準を守ることで、事故を未然に防ぎ、作業員が安心して作業に従事できる環境を整えることが可能です。
足場工事の種類
足場工事にはさまざまな種類があり、工事の規模や場所、高さ、作業内容によって適切な最適な足場が異なります。
代表的な足場工事の種類である、枠組み足場や単管足場、くさび緊結式足場(ビケ足場)、吊り足場、移動式足場について詳しく解説します。
枠組み足場
枠組み足場は、建設現場で最も一般的に使用される足場の1つです。
四角形の鋼製フレームを組み合わせて構築されるため、頑丈で安定性が高く、高層建築の工事でも多く採用されています。
組み立ての簡単さと強度が大きな強みで、長期間にわたる大規模な現場でも効率的に設置が可能です。
作業員の移動がしやすく、広い作業スペースを確保できるため、複数の作業員が同時に作業を進める場合にも適しています。
単管足場
単管足場は、単管パイプと呼ばれる鉄製のパイプを用いて組み立てられる足場です。
比較的小規模な工事や細かな作業に適しており、自由な形状に組み立てられるため、複雑な構造物や狭い場所での作業にも対応できます。
単管足場の特徴は、柔軟性と組み立ての簡便さです。
パイプをクランプで固定するシンプルな構造のため、設置が容易で、狭い場所でも対応できます。
ただし、強度や安定性の面では他の足場と比べてやや劣るため、大規模工事や高層建築には適さない場合があるので注意しましょう。
くさび緊結式足場(ビケ足場)
くさび緊結式足場は、通称ビケ足場と呼ばれる、くさびを使用してパイプ同士を固定する方式の足場です。
組み立てに時間がかからず解体も容易であるため、短期間の工事に適しています。
部材が軽量で持ち運びがしやすく、作業員にとっても負担が少ないというメリットがあります。
さらに、耐震性や耐風性にも優れており、安全面でも評価が高いです。
戸建て住宅や中規模の建物の改修工事などでよく使用され、効率的に作業を進めたい現場で特に重宝されています。
吊り足場
吊り足場は、地面からの設置が難しい場所での工事に使用される足場です。
橋梁や高層ビルの外壁工事で使用され、上部の固定された場所から足場を吊るして作業をします。
吊り足場の特徴は、地上に足場を設置するスペースがなくても作業が可能な点です。
橋の下部や高層ビルの外壁など、特殊な場所での作業に適しています。
設置には高度な技術が必要ですが、効率的に作業を進められるため、特定の条件下で非常に有効な足場の1つです。
移動式足場
移動式足場は、キャスター付きの足場で小規模な工事や室内作業で使用されます。
足場自体を移動させることができるため、作業箇所が頻繁に変わる場合や広い範囲での作業が必要な場合に便利です。
キャスターをロックして作業中の安定性を確保できるため、安全性も確保されています。
組み立てや解体も簡単であり、現場での作業時間の短縮が期待できます。
ただし、高所での作業には適しておらず、主に低層の作業での使用に制限されるので注意してください。
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足場工事の作業手順
作業の流れは大きく分けて、現場調査、足場の設計・準備、足場の設置、点検、安全確認、そして解体というプロセスで進行します。
足場を設置する前に現場の状況を詳しく把握し、建物の高さや作業範囲、周囲の環境などを現地調査します。
どの足場が適しているか確定したら、次に足場の設計と準備です。
設計では現場に適した足場の構造や材質が決定され、安全性を考慮した図面が作成されます。
組立作業は、必ず足場の組立作業主任者の指導のもとで進行し、法律で定められた安全基準に従います。
足場のフレームを組み立て、作業床や手すりなどを設置し、安定性を確保するのも重要です。
作業員が足場に上がる前に、適切に設置されているか、足場が安定しているかを確認して設置作業は終了です。
工事が完了した後は、足場の解体作業が進められます。
足場工事の費用相場
足場工事の費用は、工事の規模や足場の種類、設置場所の条件によって大きく異なります。
足場工事にかかる費用は、通常「平米(㎡)」単位で計算され、1㎡あたりの相場は600〜1,500円程度が一般的です。
ただし、建物の高さや構造、現場の立地条件によっては、この価格が上下する場合があります。
狭い場所や高層建築の現場では、設置が難しくなるため、費用が高くなる傾向です。
一般的な2階建ての戸建て住宅では、足場工事の費用は約15〜30万円が相場とされています。
一方で、マンションやビルなどの大型建築では、数百万円単位になることも。
足場工事の費用には、足場の設置作業や資材費、解体作業が含まれています。
しかし、現場によっては追加費用がかかることもあるため、事前に詳細な見積もりを取ることが大切です。
また、足場工事の期間によっても費用が変動します。
一般的に、足場のレンタル費用は1日単位で計算されるため、工期が延びるとその分費用が増加するので注意しましょう。
足場工事に必要な資格とスキル
足場工事は、作業員の安全を確保しながら効率的に進行するために、高度な専門知識とスキルが欠かせません。
足場の組立や解体を行う作業には、足場の組立て等作業主任者の資格が必須です。
足場の設置や解体作業を安全に進めるための知識と技術を持つことを証明するもので、現場において組立作業を指導・監督する役割を担います。
作業員には、高所作業に関する安全教育を受けることが義務付けられています。
地上2メートル以上の高さでの作業が含まれる足場工事では、墜落や転落のリスクがあるため安全対策が必要です。
足場工事を依頼する際の注意点
足場工事を依頼する際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。
まず、足場工事は安全性が第一に求められる作業であるため、口コミや過去の実績や評判を確認して信頼できる業者に依頼することが必要です。
次に、見積もりの内容を詳細に確認しましょう。
足場工事の費用は現場の条件や工事の規模によって異なるため、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが有効です。
見積もりには、足場の設置・解体費用、資材費、運搬費などが含まれていることを確認し、追加費用が発生しないかどうかを事前に問い合わせましょう。
最後に、安全管理体制が整っている業者かどうかを確認してください。
足場工事は高所作業が伴うため、作業員の安全を確保するための適切な装備や管理体制が整っていることが必要です。
定期的な安全確認や点検が実施される業者を選べば、安心して工事を依頼できます。
足場工事とロープアクセスの違い
足場工事とロープアクセスは、どちらも高所作業をする際に使われる手法ですが、その特徴や適した状況が異なります。
足場工事は、長期間にわたる作業や大規模な建物の外装工事、複数の作業員が同時に作業する場合に最適です。
一方でロープアクセスは、足場を設置することなく、作業員がロープやハーネスを使用して高所へアクセスする方法です。
足場を組む手間やコストを省けるので、短期間での点検や修理が求められる場合や狭いスペースや複雑な建物の外壁作業に適しています。
ただし、ロープアクセスは作業員の安全管理が厳しく求められるうえに、同時に複数の作業員が作業を進めることが難しく、規模の大きな工事には不向きな場合もあります。
足場工事とロープアクセスの違いを理解し、最適な方法を選ぶことが重要です。
建物の種類ごとに最適な足場は異なるので注意しよう
足場工事を依頼する際は、建物の種類に応じた足場を選ぶことが重要です。
建物の形状や規模、施工内容によって適した足場が異なるため、適切な選択をしないと工事の進行や安全性に影響を及ぼす可能性があります。
戸建て住宅と高層ビル、橋や特殊な構造物では、最適な足場の種類や設置方法が大きく異なるので注意しましょう。
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