ロープアクセス工法を安全に実施するために、道具に関する知識は重要です。
なぜなら、ロープアクセスではロープをはじめとした道具に自身を預ける場面が多々あるためです。
本記事では、ロープアクセスに必要な道具を解説します。
道具選びのポイントもあわせてご覧ください。
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目次
ロープアクセスに必要な道具とは?
ロープアクセスに従事する上で、道具の知識は非常に大切です。
道具ごとの役割を把握することで、より安全な作業を実現できます。
本章では、ロープアクセスに必要な道具を解説します。
| 道具名 | 詳細 |
|---|---|
| ハーネス |
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| アッセンダー |
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| ディッセンダー |
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| カラビナ |
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| ヘルメット |
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| グローブ |
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| 安全靴 |
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| ロープアクセスシステム |
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| ツールポーチ |
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| ツールランヤード |
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| メインロープ |
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| ツールポーチ |
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| ツールランヤード |
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| メインロープ |
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| ツールポーチ |
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| ツールランヤード |
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| メインロープ |
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| バックアップロープ |
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| レスキューシステム |
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| 通信機器 |
|
ハーネス
ハーネスは、ロープアクセスにおいて体重を支えて墜落を防止するための道具です。
おもにEN361やEN358といった規格のハーネスを使うのが一般的で、それぞれの違いは下記の通りです。
- EN361:墜落防止用フルハーネスの規格。落下時の衝撃に耐えるための胸部・背部にDリングを備えている。
- EN358:作業姿勢の保持を目的としたハーネス規格。おもに腰部側面にあるDリングが左右に1つずつ配置されている。
EN361は高所での作業で墜落の危険性がある場合に欠かせず、EN358は効率的に作業を進めるために必要です。
EN361・EN358の両方の機能を備えたハーネスもあるため、ロープアクセスに従事する際は、必要な規格に適合しているかを確認した上で準備しましょう。
アッセンダー
アッセンダーとは、ロープを登るときに使用する道具です。
一方向にのみロープをスライドさせて上る機能(アッセント)が備わっており、高い安全性と使いやすさが特徴です。
ロープアクセスに用いるアッセンダーの種類は、おもに下記の2つです。
- ハンドアッセンダー:足元のフットループと組み合わせ、ロープを上る際に使用する。
- チェストアッセンダー:胸部に取り付けてハンドアッセンダーと併用する。ハンドアッセンダーとの併用により、ロープを登る作業の効率化を実現できる。
ロープが外れる・滑るといった事態を想定して、上記のアッセンダーを併用するのが一般的です。
ただし、安全に作業を進めるためには専門的なトレーニングが必要です。
ロープアクセスに関する専門的なトレーニングを求める方は「ロープアクセスで求められる資格とは?取得するメリットも解説」もご覧ください。
ディッセンダー
ディッセンダーとは、ロープを使って降下する際に、降下速度を調整できる道具です。
レバーの操作によって降下速度を制御できるため、安全かつスムーズに降下できます。
ロープアクセス初心者がディッセンダーを選ぶときのポイントはおもに下記の2つです。
- パニック防止機能の有無:万が一の事故でパニックになった際に、操作ミスの防止機能が備わっているか。
- 対応できる荷重は十分か:対応可能な最大荷重が異なる場合があるため、確認すると安心。
ディッセンダーは、自身のスキルや安全性を考慮して選んでください。
カラビナ
カラビナは、ロープや安全装備をつなぎあわせるために使用する道具です。
ロープアクセスにおけるカラビナの特徴は、高い安全性と強度・耐久性があること。
カラビナはロープの結び目に使われる場合もあるため、十分な強度と耐久性が求められます。
また、意図せずにゲートが開かないように、ツイストロック(自動ロック)機能を備えたカラビナを使用するのが一般的です。
ロープの径が太い場合にも対応できる、通常サイズよりも大きなカラビナもあるため、必要に応じて準備しましょう。
ヘルメット
ヘルメットは、飛来物や墜落時の衝撃から頭部を守るために大切な道具です。
高所作業に適したEN12492規格と、地上作業に適したEN397規格の両方に対応したヘルメットを選ぶのが一般的です。
ヘルメットの中には、ヘッドランプ・シールド・イヤーマフなどを装着できるように設計されたものもあるため、必要に応じて選んでください。
グローブ
ロープアクセスにおけるグローブは、ロープの摩擦や作業中の衝撃から手を保護するための道具です。
革製や合成素材を用いることが多く、ロープを掴むための高いグリップ力と指先での細かな作業に対応できる機能性の高さをあわせ持ちます。
ロープアクセス向けのグローブを選ぶときは、フィット性の高さや通気性の良さなどを確かめて、長時間の作業にも適したものを選ぶのがポイントです。
また製品によってはタッチスクリーン対応や、カラビナの取り付けが可能な穴があるグローブもあります。
安全靴
安全靴は、落下物の衝撃や作業中に障害物に衝突した際に足を守るための道具です。
安全靴はロープアクセスにおける安全対策として欠かせない保護具として知られており、つま先を保護する先芯が入っているのが特徴です。
安全靴を選ぶときは、JIS規格に対応しているかを確認することが大切。
JIS規格は耐圧迫性・耐衝撃性・表底のはく離抵抗の安全規定で、規格を満たしていることで安全性と機能性の高さが十分だと判断できます。
ロープアクセスで使用する安全靴は、上記に加えて滑りにくさも確認しましょう。
ロープアクセスシステム
ロープアクセスシステムとは、同じ姿勢で長時間作業するときの負担を軽減するためのワークポジショニングシステムと、フォールアレストシステム(墜落防止システム)を組み合わせて構成された道具です。
ロープアクセスシステムを選ぶ際は、ワークポジショニングシステムとフォールアレストシステムのどちらが重要かを見極めることが大切です。
たとえば3~5mほどの高さでの作業の場合はワークポジショニングシステムを、10m以上の高さでの作業ではフォールアレストシステムを優先する、といったようにすると良いでしょう。
安全面と作業性の両面からワークポジショニングシステムとフォールアレストシステムのバランスを考慮し、十分に検討を重ねて選んでください。
ツールポーチ
ツールポーチは、工具を収納するための道具です。
ロープアクセス向けのツールポーチは、作業中に必要な工具を整理しつつ、片手で中身を取り出せるように設計されています。
ツールポーチを選ぶときに大切なのは、中身がこぼれにくい構造やコードロックなど、落下防止機能が備わっているかどうかです。
過酷な作業環境にも耐える耐久性の高さ・視認性を高めるためのメッシュ素材の使用などのほか、携行性の高さや取り付けやすさといった要素も含めて検討を進めましょう。
ツールランヤード
ツールランヤードは、高所作業中に工具の落下を防止するために固定する道具です。
ツールランヤードを選ぶときのポイントは、おもに下記の3つです。
- 工具の重量・サイズ:使用する工具の重量とサイズに適しているか。
- 作業内容・環境:作業内容や環境に応じて、適切な長さ・伸縮性・固定方法などが適しているか。
- 安全基準:墜落制止用器具の規格に準拠しているか、EN規格を満たしているか。
ロープアクセスは、外壁打診調査・橋梁点検・看板点検など、さまざまな場面で活用されています。
作業に必要な道具に適したツールランヤードを使用することで安全確保につながります。
メインロープ
ロープアクセスのメインロープは、作業員を吊り下げて作業する際に使用する主要なロープです。
メインロープはセミスタティックロープを使用するのが一般的で、強い負荷に耐えるように設計されています。
メインロープは、アッセンダーやディッセンダーなどに適応した径が異なる場合があるため、確認した上で選んでください。
また、作業環境に対して十分なゆとりを持たせた長さのロープを準備するのも大切です。
バックアップロープ
バックアップロープは、メインロープのバックアップ用ロープとして安全確保を目的とした道具です。
バックアップロープはメインロープとして使われるロープと同様に、セミスタティックロープを用いるのが一般的です。
素材(ナイロン・ポリエステル)の違いによって強度が異なるほか、併用する道具に適した径に合わせて選ぶことが大切です。
バックアップロープは、メインロープと同様に、ゆとりを持たせた長さを準備しましょう。
レスキューシステム
レスキューシステムは、墜落した場合に救助するための道具です。
足場が不安定で高低差がある場所に取り残された要救助者の救出に使用します。
レスキューシステムは、道具だけを所持していても、活用できるほどの知識とスキルがなければ十分に機能しない点に注意してください。
日本各地で開催されているロープアクセス講習の中には、レスキュー技術を磨くことを目的としたものもあるため、安全確保のために知識とスキルを身に着けておきましょう。
通信機器
通信機器は、作業中に地上との連携を図るためや作業員同士の連携に欠かせない道具です。
ロープアクセスにおいては、無線機を使用するのが主流で、作業員はヘッドセットを活用する場合もあります。
ロープアクセスで使用する通信機器を選ぶときは、落下防止用のホルスターの有無を確認することが大切です。
ロープアクセスの道具を選ぶときの3つのポイント
ロープアクセスの道具は、事故を防止し、命を守るために大切です。
本章では、ロープアクセスの道具を選ぶ時の3つのポイントを解説します。
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 安全性の高さ |
|
| 機能の充実性 |
|
| 使いやすさ |
|
安全性の高さ
墜落制止用器具の規格に準拠しているかやEN規格に適合しているかなど、十分な安全性が確保されている道具を選びましょう。
ロープやハーネスなどのように、大きな負荷がかかる道具もあるため、強度・耐久性・耐摩耗性もチェックしてください。
機能の充実性
登るときや降下するときの速度や操作性に関する機能が十分かをチェックします。
ロープアクセスで使用する道具は、メンテナンスも必要です。
メンテナンス性が高い道具を選ぶことで、業務の効率化にも期待できます。
使いやすさ
操作方法がわかりやすく脱着が容易な道具を選ぶのがおすすめです。
脱着が容易かどうかをチェックする際は、自身のサイズに適しているかも含めて検討します。
たとえばハーネスの場合は、きつすぎても余裕がありすぎてもいけません。
メーカーによってサイズ感が異なる場合もあるため、できれば実際に装着して選びましょう。
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安全なロープアクセス作業には安全な道具選びが大切
本記事では、ロープアクセスで使う道具を解説しました。
ロープアクセスを用いて安全に作業するには、知識・スキル・安全性の高い道具のいずれも欠かせません。
ロープアクセスの道具を選ぶときは、慎重に選びましょう。
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