エレベーターの安全性や快適さを維持するためには、信頼できる業者選定が重要です。
国内にはエレベーターの設計から設置、保守点検を手掛ける大手会社が複数存在し、独自の技術やサービスを提供しています。
最先端の安全装置や省エネ技術を提供する会社や、コストパフォーマンスに優れた保守プランを展開する会社とさまざまです。
本記事では、日本国内でシェアが高い大手エレベーター会社の特徴を解説します。
自社の建物に最適なエレベーターを導入したい、信頼できる保守点検業者を探している方は、参考にしてください。
目次
日本国内でシェアが高い大手エレベーター会社
日本国内には、多くのエレベーターメーカーがありますが、その中でも特に高いシェアを誇る大手の会社5社を厳選して紹介します。
各社の特徴や強みを把握して、エレベーターの選定やメンテナンス業者選びに役立ててください。
三菱電機ビルソリューションズ株式会社
画像出典:三菱電機ビルソリューションズ株式会社
三菱電機ビルテクノサービス株式会社は、三菱電機グループの一員として、ビル設備の総合的なサービスを手がける大手の会社です。
本社は東京都荒川区に所在し、全国で約24万台のエレベーターを管理。
国内の台数全体の約3分の1に相当し、国内トップクラスのシェアを持つことで知られています。
全国に約280の拠点を展開しており、24時間365日対応可能な遠隔監視体制を構築。
近年ではAIを活用したリモート点検サービス「AIリモート点検システム」を導入し、より効率的かつ安全な設備保守を実現しています。
株式会社日立ビルシステム
画像出典:株式会社日立ビルシステム
株式会社日立ビルシステムは、日立グループに属する企業で、昇降機やビル設備の総合サービスを提供する会社です。
本社は東京都千代田区にあり、茨城県ひたちなか市に建設した高さ213.8mの研究塔(試験塔)では、超高層ビル向けの高性能エレベーターの試験・研究が行われています。
中国・広州の高層ビル「広州周大福金融中心」に導入され、地上から95階(約440m)までを約42秒で駆け上がる性能でギネス世界記録に認定されました。
全国で稼働する約18万台のエレベーター・ビル設備を24時間365日体制で遠隔監視する独自のシステムを構築しており、故障やトラブルにも迅速に対応。
全国に約300ヵ所の拠点と約3,000人のフィールドエンジニアを配備し、災害時にも即座に復旧作業を行える体制が整っています。
東芝エレベータ株式会社
画像出典:東芝エレベータ株式会社
東芝エレベータ株式会社は、神奈川県川崎市に本社を構える、東芝グループの昇降機専門企業です。
乗り場とエレベーターかごの隙間を最小限に抑えた設計など、乗降時の安全性に配慮した技術力が定評。
全国に約250の拠点と複数の製造施設を持ち、自社製エレベーターの情報を一元管理する遠隔監視システムを活用し、トラブル発生時には迅速な現場対応が期待できます。
「自動復旧運転機能」を搭載したエレベーターも導入し、地震などの緊急停止後でも自動診断を行い、現場にスタッフが到着する前に一時的な運転再開が可能。
地震が多い日本では、利便性と安全性を兼ね備えたシステムは、非常に高く評価されています。
日本オーチス・エレベータ株式会社
画像出典:日本オーチス・エレベータ株式会社
日本オーチス・エレベータ株式会社は、アメリカに本社を置くオーチス・ワールドワイドの日本法人であり、世界的な昇降機メーカーの一翼を担う存在です。
オーチスは世界で初めて「安全装置付きエレベーター」を発明した企業として知られ、現在では200を超える国と地域で210万台以上の昇降機を管理。
また、エンジニアの技術研鑽とサービスの質の向上に力を入れているのが特徴です。
全社員に共有されている行動指針「オーチスの絶対(Otis Absolutes)」には、安全性や誠実さ、品質へのこだわりなど企業としての価値観が明確に示されています。
フジテック株式会社
画像出典:フジテック株式会社
フジテック株式会社は、滋賀県彦根市に本社を構える、日本発の昇降機専門メーカーです。
日本国内だけでなく、香港やシンガポール、中東、アジア各国などを中心に海外でも高いシェアを確保し、グローバル企業としての地位を築いています。
東京・大阪の主要都市には「セーフネットセンター」という遠隔監視拠点を設置し、24時間365日体制でエレベーターの稼働状況をリアルタイムで監視。
万が一のトラブル発生時には、監視カメラを活用してエレベーター内部の状況を即座に確認し、迅速な救助や復旧作業につなげられる仕組みを整えています。
大手エレベーター会社のメンテナンス・保守点検とは?
エレベーターは長期的に使用することで部品の劣化や不具合が生じるため、定期的な点検が欠かせません。
大手エレベーター会社は、エレベーターの安全性と快適な利用を維持するため、定期的なメンテナンスや保守点検を提供しています。
代表的な契約方式である「フルメンテナンス契約(FM契約)」と「POG契約」の特徴と違いを解説します。
フルメンテナンス契約(FM契約)
フルメンテナンス契約(FM契約)とは、エレベーターの全般的な保守点検を包括的に行う契約方式です。
定期的な点検に加えて、消耗部品の交換や故障時の修理費用がすべて含まれています。
エレベーターのワイヤーロープやブレーキ装置、制御装置など重要な部品の点検や交換が必要な場合でも追加料金が発生しません。
緊急対応サービスも含まれていることが多く、24時間体制でのトラブル対応が可能。
エレベーターが急停止したり、閉じ込め事故が発生したりした際に、迅速に対応してくれるため安心です。
ただし、契約費用は高額になる傾向がある点には注意しましょう。
POG契約
POG契約は、「Parts(部品) Oil(油) Grease(グリス)」の略称で、必要最低限の保守点検と定期的な潤滑作業を提供する契約方式です。
定期的な点検と潤滑作業・清掃など簡易的なメンテナンス、エレベーターの動作確認や簡単な調整が行われます。
フルメンテナンス契約とは異なり、故障時の修理費用は契約に含まれていない場合が多いです。
部品の交換が必要な場合は、その都度追加料金を支払う必要があります。
POG契約の最大のメリットは、契約費用が比較的安価であるため、稼働頻度が低いエレベーターや予算を抑えたい場合におすすめです。
ただし、POG契約はフルメンテナンス契約に比べて故障時の対応コストが高くなる可能性があるため、予期せぬトラブルに備えて事前に予算を確保しましょう。
大手エレベーター会社(メーカー系業者)と独立系業者の違い
エレベーターのメンテナンスや保守点検を依頼できる業者は、大手会社であるメーカー系業者と独立系業者の2つに分類されます。
それぞれの業者には特徴があり、契約する際には違いを理解しましょう。
両者のメリット・デメリットを比較しながら解説します。
大手会社(メーカー系業者)のメリット・デメリット
大手会社つまりメーカー系業者とは、メーカー自身が提供する保守点検サービスを行う業者です。
日本国内の大手エレベーターメーカーには、三菱電機や日立ビルシステム、東芝エレベータ、日本オーチス・エレベータ、フジテックなどがあります。
メリット
- 純正部品の使用:メーカーなら高品質な部品を使用し、エレベーターの性能を長期間維持できる
- 高度な専門知識:メーカー所属の技術者は製品に関する深い知識を持ち、トラブル発生時にも迅速かつ的確な対応ができる
- 計画的なメンテナンス:エレベーターの寿命を見越した長期的な保守管理プランを提案できるため、維持管理が計画的に行える
デメリット
- 高コスト:純正部品や専門技術者による対応のため、一般的に料金が高く設定されている
- 選択肢の制限:自社製品に特化しているため、他社製品への対応が限られる場合がある
- 契約の硬直性:標準的な契約プランが中心で、顧客ニーズに合わせたカスタマイズが難しい
独立系業者のメリット・デメリット
独立系業者とは、三菱電機や日立など特定のエレベーターメーカーに属さない第三者の保守点検業者を指します。
メリット
- コストパフォーマンスが良い:人件費や運営コストを抑えているため、保守点検費用が安価
- サービスの柔軟性:顧客ニーズに応じたプランが設定でき、部分的なメンテナンスや緊急対応などカスタマイズされたサービスが提供できる
- 多様なメーカー対応:さまざまなメーカーのエレベーター技術に対応し、複数のエレベーターを一括して保守点検できる
デメリット
- 純正部品の入手困難:純正部品が入手できず代替品を使用せざるを得ない場合がある
- 技術レベルの不均一:技術者のスキルや知識にばらつきがある
- 対応範囲の制限:専門性の高いシステムに対応できない場合があり、トラブル発生時に適切な対応ができないリスクがある
独立系エレベーター保守業者の選び方
独立系エレベーター保守業者は、大手会社と比べてコストを抑えた柔軟なサービスを提供できますが、サービスの品質や対応範囲は業者によって異なります。
独立系業者を選ぶ際に確認すべきポイントを解説します。
対応可能なエレベーター会社
独立系エレベーター保守業者を選ぶ際に、自社のエレベーターが対応可能な機種かを確認しましょう。
すでに製造が終了した古いモデルや、メーカーが保守サービスを打ち切った機種に対応できない可能性が高いです。
複数メーカーのエレベーターを管理している場合、業者が対応可能なメーカーや型番などを事前に確認すると安心して依頼できます。
営業所・対応エリア
エレベーターの不具合は予期せぬタイミングで発生します。
保守業者を選ぶ際には、営業所の所在地と対応可能なエリアを必ず確認しましょう。
近隣に営業拠点があるかどうかで、トラブル時の対応スピードが大きく変わってきます。
緊急時の駆けつけ体制、24時間対応の有無なども合わせてチェックしてみてください。
過去の導入実績・評判
業者選びで失敗しないためには、これまでの導入実績や顧客からの評判を確認することが不可欠です。
同業種や類似規模の建物での対応例が豊富な業者は、トラブル対応力も高く信頼できます。
対応の丁寧さや、トラブル発生時の対応スピードなど実際の利用者の声や口コミを参考にすることもおすすめです。
「迅速に対応してくれた」「説明が丁寧だった」など、実際のエピソードを把握しておくと、安心して任せられるかどうかの判断材料になります。
大手エレベーター会社(メーカー系業者)と独立系保守業者の違いを理解しよう
大手エレベーター会社と独立系保守業者の違いを正しく理解することは、エレベーターの安定稼働とコスト最適化を図るうえで欠かせません。
メーカー系業者は純正部品や製品知識の豊富さが強みである一方、独立系業者は柔軟な契約内容やコスト面のメリット、複数メーカー対応の利便性が魅力です。
建物の用途やエレベーターの使用状況に応じて、信頼できる業者にエレベーターの保守点検を依頼しましょう。
エレベーターの保守業者をお探しの方は、株式会社ギアミクスの保守点検サービスがおすすめです。
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エレベーターの保守体制や管理にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。