エレベーター保守点検・管理とは?義務化された法律と頻度・種類を解説

エレベーターの安全性は、私たちの日常生活を支えるために欠かせません。

しかし「点検はどのように行われているのか」「法律で義務づけられているのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。


本記事では、エレベーターの点検に関する法律や
重要性について解説します。

日本ではエレベーターの点検が法律で義務づけられており、管理者には一定の責任が求められます。

エレベーターの管理者は、利用者の安心と安全を確保するために必要な知識を身につけましょう。

エレベーター点検は法律で義務づけられているのか?

エレベーターの点検が法律で義務づけられている理由や具体的な内容について解説します。

建築基準法

建築基準法は、建物内の設備が安全であることを確認するために定められた法律で、エレベーターの月次点検と年次検査を義務化しています。

建築基準法第8条では、建物の所有者が建築物を常に適法な状態に維持する責任が定められています。

検査は、昇降機等検査員など有資格者が担当しなければなりません。

建築基準法第12条第3項に基づき、建物の所有者はエレベーターなどの昇降機を定期的に点検し、その結果を特定行政庁に報告する義務を負います。

労働安全衛生法

労働安全衛生法は、職場環境の安全と従業員の健康を守るために制定された法律です。

エレベーターは頻繁に利用される設備であり、故障や事故が発生すれば、従業員に重大な危険が及ぶ可能性があります。

労働安全衛生法施行令第12条では、積載荷重が1トン以上のエレベーターを「特定機械等」として分類し、設置や使用に際して安全基準を遵守することが義務づけられています。

また労働安全衛生法第37条に基づき、事業者はエレベーターの適切な運用を確保するため、機械等に関する検査規定を遵守しなければなりません。

年1回の性能検査と月1回の定期自主検査を実施するのが一般的です。

性能検査は法律で定められた資格保有者が実施し、その結果は労働基準監督署長または厚生労働大臣の指定する機関に報告しなければなりません。

性能検査に合格した場合には、有効期限が1年間の検査証が発行されます。

定期自主検査の記録は、最低3年間保管することが義務づけられています。

法律で検査義務があるエレベーターとは?

法律で検査義務があるエレベーターは、建築基準法や労働安全衛生法に基づき、一定の条件を満たす昇降機を指します。

不特定多数が利用する、または業務用途で使われるエレベーターも対象です。


商業施設や病院、学校に設置されるエレベーターでは、多数の利用が想定されるため、法律に基づいた厳格な検査が求められます。

工場や物流施設で使用される業務用エレベーターは、労働安全衛生法の対象に含まれ、荷重試験やブレーキ装置の点検が義務です。

一方で個人住宅に設置されるホームエレベーターは、法律上の検査義務が課されていません。

法律で義務化されているエレベーター点検の種類

法律で義務化されているエレベーター点検の種類と概要について解説します。

法定点検

法定点検は法律で義務づけられている点検で、実施の頻度は年1回が通例です。

法定点検を受けたエレベーターには、点検完了の証として「定期検査報告済証」が掲示されます。

点検内容は建物の種類や用途によって異なりますが、主に昇降機能の正常性や扉の開閉に不具合がないかを確認することが中心です。

保守点検

保守点検とは、エレベーターの安全性と快適性を維持するために、定期的に行われるメンテナンス作業です。

点検の頻度はマンションやビルなど建物によって異なるため、一律に決まっているわけではありません。

月1回や2ヶ月に1回など、点検の周期は業者が設定しているのが一般的です。

保守点検はエレベーターが常に安全かつ快適に運行できるよう、日常的なメンテナンスと異常の早期発見を目的としています。

油圧装置や制動機の調整やモーターやケーブルの摩耗具合の確認など、高度な技術と経験を持つ専門業者が点検します。

法定点検は法律で義務化されていますが、保守点検は法律上の義務ではありません。


しかし、エレベーターの安全性を維持し、寿命を延ばすためには保守点検が推奨されます。

エレベーター保守管理に関する注意点

エレベーターの保守管理は、法律や規定に従って行わなければなりません。

ここからは、点検報告の提出義務や点検記録の保管義務、無資格者による点検の禁止など保守管理に関する注意点を解説します。

点検報告の提出義務がある

エレベーターの点検結果は、建築基準法第12条に基づき特定行政庁に提出する義務があります。

年1回の定期検査報告では、昇降機等検査員が点検結果を記録し、行政に提出しなければなりません。


報告がされていない場合、所有者に行政指導や罰則が科される可能性が高いです。


エレベーターの定期検査報告を怠ると、特定行政庁から使用停止命令が下される場合があります。

点検記録の保管義務がある

エレベーターの点検記録は、所有者または管理者に一定期間保管する義務が課されています。

点検記録は、トラブル発生時の原因究明やメンテナンス履歴の確認に役立つ重要な資料です。

保管義務は、建築基準法第12条8項および関連規定によって定められています。

月次点検や法定点検の記録には、点検日や実施内容、異常の有無を詳細に記載することが必須です。


また、点検記録は最低5年間保存しなければならないと規定されています。

無資格の人は点検できない

エレベーターの点検は、専門資格を持つ技術者が実施しなければなりません。

エレベーターの点検には高度な技術と知識が求められるため、専門資格を持つ技術者が対応することが法律で義務づけられているからです。


建築基準法第12条3項に基づき所有者または管理者が一級建築士、二級建築士または昇降機等検査員の資格を持つ者に実施させ、その結果を特定行政庁に報告する義務があります。

一方で労働安全衛生法に基づく性能検査は、労働基準監督署長または厚生労働大臣の登録を受けた登録性能検査機関が実施します。

無資格者が点検を行うことは法律で禁止されていますので、注意してください。

エレベーター点検を怠った場合のリスク

法律に基づくエレベーターに関する点検を怠ることで、罰金や使用停止命令といった行政処分を受けなければなりません。

エレベーターの定期検査報告を怠ると、特定行政庁から使用停止命令が下される可能性があります。


建築基準法第12条に基づく定期検査報告の未提出や虚偽報告に対する措置として、特定行政庁が安全確保のために行う行政処分の一環です。


建築基準法第101条により、100万円以下の罰金が科せられることが定められています。


労働安全衛生法第109条においても、性能検査の未実施や報告義務違反に対して、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が規定されているので注意しましょう。


定期検査報告の未提出は法的な罰則や行政処分の対象となるため、所有者や管理者は定期的な検査と報告を確実に行うことが求められます。

エレベーター点検を怠ると事故や故障が発生するリスクが高まり、人命に関わる最悪な結果を招くかもしれません。

トラブル発生後の修繕費用や損害賠償の負担も大きくなるため、点検を怠ることは管理者にとって大きなリスクといえます。

信頼できるエレベーター業者の選び方

エレベーター業者を選ぶ際にチェックすべきポイントを解説します。

1. 資格と認可を確認する

 エレベーター点検や保守には、建築基準法や労働安全衛生法で定められた資格が必要です。

「昇降機等検査員」や「特定建築物調査員」の資格を保有しているか、国土交通大臣または都道府県知事の認可を受けているかを確認しましょう。

2. 実績や評判を調べる

長期間にわたる運用実績や他の顧客の評価は、業者の信頼性を測る重要な指標です。

業界での経験年数や顧客レビューや口コミ、商業施設や公共施設などでの導入事例を公式ウェブサイトなどで確認しましょう。

3. サービス内容と対応力

迅速な対応や柔軟なサービス内容は、トラブル時に重要です。

緊急対応が24時間可能か、見積書に保守点検の内容が具体的に記載されているかなどを確認しましょう。


地元の評判が良い業者や地元密着型の業者を選ぶと、急なトラブルにも瞬時に対応してくれます。

メンテナンス契約の柔軟性

メンテナンス契約を選ぶ際は、契約内容がニーズに合致しているかを確認しましょう。

フルメンテナンス契約では、点検や保守だけでなく部品交換が契約に含まれているため、予期せぬ追加費用を避けられます。


一方で、部分保守(POG)契約は部品代が別途請求されるものの、初期の契約費用を抑えられることが特徴です。


適切なメンテナンス契約を選ぶことで、エレベーターの安全性と効率的な運用を維持できるだけでなく、長期的なコスト管理も可能になります。


契約前には業者と十分な話し合いを行い、サービス内容をしっかり理解しましょう。

コミュニケーションの取りやすさ

業者とのコミュニケーションがスムーズであることは、長期的な信頼関係を築くうえで重要です。

見積もり時に、質問や要望にどれだけ丁寧に対応するかを評価してみてください。

保守点検の内容や費用に関する説明が明確であるかも重要なポイントです。

契約後の対応だけでなく、緊急時の連絡体制やトラブル発生時の対応スピードについても確認しましょう。

エレベーター保守点検は専門業者に依頼しよう

エレベーターの安全性を長期間にわたって確保するためには、専門業者による保守点検が欠かせません。

法定点検や必要な部品交換を適切に行うことで、安全基準を維持しながらエレベーターの寿命を延ばすことも可能です。

エレベーター保守点検の依頼なら、「ギアミクス」にお任せください。

ギアミクスでは、24時間365日エレベーターのトラブルに迅速に対応する体制が整っています。


フルメンテナンス契約から部分的な保守契約まで、お客様のニーズに合わせた柔軟なプランを提供しているのが強みです。

必要な修理だけを提案するので、リニューアル費用の削減が期待できます。

LED照明による省エネ化や防犯カメラ設置により安全性も強化させるなど、意匠リニューアルも得意です。

エレベーター保守点検サービスについて知りたい方は、ぜひギアミクスにお問い合わせください。


信頼と実績のあるギアミクスのサポートで、安心かつ安全なエレベーター運用を実現しましょう。