マンションのエレベーター数はどう決まる?適正な台数と設置基準を解説

マンションの管理をするうえで、エレベーターの台数は重要なポイントの一つです。

エレベーターの数が足りないと、朝夕の混雑時に住民の不満が高まり、快適な居住環境が損なわれる可能性があります。


一方で必要以上に設置すると維持管理費が増え、コスト面での負担も軽視できません。  

本記事では、マンションのエレベーターの設置台数や設置条件について解説します。

適切なエレベーターの運用で住民満足度を高め、マンションの価値を維持するために、ぜひ参考にしてください。

マンションに設置すべきエレベーターの必要台数

マンションに設置すべきエレベーターの必要台数は、建物の住戸数や階数、利用者の利便性などを総合的に考慮して決定されます。

適切な台数を確保すれば、住民の日常生活における快適性が向上し、建物全体の資産価値を維持することが可能です。

エレベーターの設置台数の目安として、一般的には50〜70戸あたりに1基が適切とされています。

例えば、100戸以上の住戸を抱える大規模なマンションの場合、最低でも2基以上のエレベーターが必要です。

マンションでエレベーターが設置される条件とは

マンションにエレベーターが設置されるかどうかは、建物の高さや用途、法律で定められた基準によって決まります。

マンションにエレベーターが設置される条件について解説します。

高さ31m以上の建物

マンションにエレベーターを設置する条件の一つに、建築基準法第34条によると、高さ31m以上の建物という基準があります。

(昇降機)
第三十四条 建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。
2 高さ三十一メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。

参照:建築基準法第34条

高さ31mはおよそ地上7〜10階建てに相当し、階段での移動が負担となる高さを考慮して設けられています。

6階以下の建物

6階以下の建物は、一般的にエレベーターの設置義務が課されていません。

先述したとおり、建築基準法では高さ31m以上の建物にエレベーターの設置が義務付けられていますが、6階以下の建物はこの条件に該当しないためです。


しかし、6階以下のマンションでも、住民の利便性や快適性を考慮してエレベーターを設置するケースは多く見られます。


設置義務がなくても、利便性や居住環境の向上を目的として設置されることが一般的です。

高齢者向け住宅や福祉施設

サービス付き高齢者向け住宅や福祉施設では、建物が3階建て以上の場合にエレベーターの設置が義務付けられている場合があります。

八 階数が三以上である共同住宅の用途に供する建築物には、原則として当該建築物の出入口のある階に停止するエレベーターを設置すること。

参照:高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則

高齢者が居住することを想定した施設では、階段での移動が困難な場合が多く、バリアフリー対応が求められるためです。

車椅子での利用を考慮した広さや、安全性を確保したエレベーターの設置が求められる場合があります。


詳細な基準は自治体や国の規定によっても異なるため、法令や自治体の指針を参照するのがおすすめです。

エレベーター付きマンションのメリット

エレベーター付きのマンションは、日常の移動がスムーズになるだけでなく、さまざまな面で利便性や快適性が向上します。

エレベーター付きマンションの主なメリットについて解説します。

住民のニーズに対応できる

エレベーター付きマンションは、住民の多様なニーズに対応し、快適で安全な住環境を提供します。

エレベーターは、特に高齢者や身体に不自由がある方、小さな子どもを連れた家庭にとっては欠かせません。

階段を利用する際の負担を軽減し、ベビーカーや車椅子を使用する際も、安全に上下階へ移動できます。


また、荷物の運搬や引っ越しする際にも便利です。


高層階への重い荷物の運搬は、階段では難しいため、エレベーターが負担を大幅に軽減します。

安全性が確保できる

エレベーター付きマンションは、安全性の確保という点でも重要です。

多くのエレベーターには、地震感知装置や停電時の自動運転機能が搭載されています。

地震が発生した際には最寄りの階に停止して安全を確保し、停電時でも非常用電源に切り替えることで避難時の移動手段になります。


さらに防犯面でも、エレベーターは重要です。


防犯カメラやモニタリングシステムを搭載したエレベーターは、不審者の侵入や犯罪を未然に防止できる効果があります。


エレベーター内に緊急通報装置が設置されている場合、トラブルや体調不良が発生した際にも迅速な対応が可能です。

高層マンションでは、非常用エレベーターが設置されている場合も多く、消防や救助活動時に使用されます。

資産価値が向上する

高層マンションやファミリー向け物件では、エレベーターの有無が購入や賃貸を決める際のポイントとなり、物件の競争力を左右する要素の一つです。

エレベーターのリニューアルやメンテナンスを適切に行えば、建物全体の印象や設備の寿命が延び、資産価値が持続します。


さらに、省エネタイプやバリアフリー対応のエレベーターが設置されているマンションは、将来的にも資産価値が維持されやすいと考えられます。

エレベーター付きマンションのデメリット

エレベーター付きマンションには多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットもあります。

エレベーター付きマンションのデメリットについて解説します。

維持管理費がかかる

エレベーター付きマンションでは、エレベーターの維持管理費が継続的に発生する点がデメリットの一つです。

エレベーターは定期的な点検やメンテナンスが法律で義務付けられており、建築基準法に基づく年1回の定期検査や月次点検を実施が欠かせません。


また、長期的に使用する中で部品の劣化や老朽化が進むため、定期的な修理や部品交換が必要です。


耐用年数を迎えた際には、リニューアルや更新工事を行う必要があり、大規模なコストが発生します。

騒音がする

エレベーター付きマンションでは、稼働時の騒音が問題になります。

エレベーターホールやモーターの音が近隣の住戸に聞こえる場合、住民にとってストレスの原因となる可能性が高いです。

住民同士の会話やエレベーターの開閉音がエレベーターホールでは響きやすく、騒音の一因となります。

安心して利用できるエレベーターの特徴5つ

エレベーターは毎日多くの人が利用する設備だからこそ、安全性や快適性が重要です。

万が一のトラブルや災害時にしっかり対応できる機能が備わっているかどうかが、安心して利用できるポイントになります。


安心して利用できるエレベーターの特徴について解説します。

非常時には近隣の階で運転を停止する

安心して利用できるエレベーターには、地震や停電など非常時に迅速に対応できる機能が備わっています。

地震感知装置が搭載されたエレベーターは、地震の揺れを検知すると自動的に最寄りの階に停止し、ドアを開いて乗客を安全に避難させます。


停電時にもバックアップ電源に切り替わる設計が一般的です。


最寄りの階まで運行を続けて、安全に停止できます。

非常用設備が内蔵されている

非常用設備が内蔵されていることも、利用者が安心して利用できるエレベーターの特徴です。

エレベーター内には非常用通報装置が設置されており、トラブルや体調不良が発生した際に外部と連絡を取ることが可能です。


災害時には非常灯が点灯することで、乗客が安全に避難できるよう設計されています。


一部のモデルでは、酸素ボンベや通信装置を備えた緊急避難用キットが設置されている場合もあります。

防犯カメラやモニターが取り付けられている

安心して利用できるエレベーターには、防犯カメラやモニターが設置されているのが特徴です。

防犯カメラやモニターが設置されていれば、不審者の侵入や犯罪の抑止効果が期待できます。


エレベーター内に設置されたカメラは、利用者の安全を見守り、トラブル発生時の記録としても役立ちます。


モニターをエレベーターホールや内部に設置することで、乗車前に内部の様子を確認することも可能です。

利用者に配慮した設計がされている

利用者の利便性を考えた設計が施されているエレベーターなら、安心して利用できます。

例えば、車椅子やベビーカーを使用する人がスムーズに乗り降りできるよう、内部のスペースが十分に確保されています。

ボタンの位置や高さが適切に設定され、視覚や身体に制限のある方でも使いやすい操作パネルが採用されているのも特徴です。


一部のエレベーターには音声案内や点字表示が搭載されており、視覚や聴覚に不自由がある方への配慮も行き届いています。

定期的なメンテナンスが実施されている

安心して利用できるエレベーターの特徴に、定期的なメンテナンスの実施が欠かせません。

安全装置やブレーキ機能の点検は、利用者の安全を確保するために重要です。


定期メンテナンスを実施することで、エレベーターの性能が安定し、突然の故障や運行停止を防げます。

適切な保守管理を続けることで、エレベーターの寿命が延び、長期間にわたって安全かつ快適に利用できる環境を維持できます。

マンションのエレベーターは定期的に保安点検をしよう

マンションのエレベーターは、安全性と快適性を維持するために定期的な保安点検が欠かせません。

エレベーターの故障やトラブルがマンション住民の生活に大きな影響を与えるため、計画的なメンテナンスが重要です。


建築基準法に基づく年1回以上の定期検査や月次点検を通じて、部品の劣化や不具合を早期に発見し、住民の安全を守りましょう。


保安点検を依頼するなら、信頼できる業者を選ぶのが重要です。


ギアミクスのエレベーター保守点検サービスでは、ブレーキや安全装置の動作確認、非常用装置の点検を徹底し、住民が安心してエレベーターを利用できる環境を提供します。


点検後の詳細な報告書を提供し、必要に応じて修理や部品交換の提案も可能です。


エレベーターの安全性を維持するために、ギアミクスのサービスを活用し、快適で安心な住環境を守りましょう。