キュービクルの塗装は、高電圧を安全に取り扱うために必須です。
しかし、ときには見過ごされてしまうことも。
本記事では、キュービクルに塗装が必要な理由を、放置したときの危険性とともに解説します。
塗料の種類や費用の目安も、あわせてご覧ください。
目次
キュービクルに再塗装が必要な3つの理由とは?
キュービクルの塗装を軽視すると、思わぬ事故につながるリスクがあります。
本章では、キュービクルの塗装にメンテナンスが必要な理由を解説します。
理由1.紫外線・雨水でキュービクルの塗装がはげる
キュービクルの塗装は、常に紫外線や風雨にさらされるため、経年劣化に伴って剥げてしまいます。
一方で、キュービクルには高圧電流が流れるため、絶縁性のある塗料を使用する場合があります。
つまり、キュービクルの塗装が剥がれたままにしておくと、漏電リスクが高まるということ。
キュービクルの塗装は、定期的なメンテナンスで見た目と機能性を確保する必要があります。
理由2.塗装がはげたキュービクルは穴があくリスクがある
塗装が剥がれたキュービクルは、金属部分が露出し、サビによって腐食が進行します。
サビが大きくなれば、穴があき、内部に雨水や虫が侵入する可能性があります。
内部に雨水や虫が侵入したときは、内部に設置された回路がショートを引き起こす可能性があるのです。
キュービクル内部の回路がショートを引き起こした場合、回路を交換するまでは、キュービクルに接続されている施設全体が電気機器を使用できない状況に。
電力供給がなければ、パソコンやプリンターのほか、電話も機能しません。
そのため、ショートによって停電した施設内では、大規模な機会損失を生む可能性が高まるでしょう。
ショートによる損害を防止するためにも、キュービクルの定期的な再塗装・メンテナンスは重要です。
理由3.穴が開いたキュービクルは漏電リスクが高い
穴が開いたキュービクルは、雨水の侵入が原因となる漏電リスクが高まるのは明白です。
そして、キュービクル内に侵入した雨水に通電した場合は、雨水の侵入経路を介した周囲への漏電にも要注意。
漏電リスクが高まっている場合、最も注意すべきなのは波及事故です。
波及事故とは、高圧電力を引き込んだ事業所の電気設備故障に伴い、停止した配電線に接続している他事業所も停電を引き起こす事故のこと。
波及事故は自社の損害に加え、多額の損害賠償が請求されることもあるため、防止策としてキュービクルの塗装メンテナンスが必要です。
キュービクルの塗装方法は2種類
キュービクルの塗装は、外部のみを再塗装する方法と内部・外部の両方を再塗装する方法があります。
本章では、それぞれの方法の選び方と具体的な工事内容を解説します。
種類1.キュービクルの外部のみを塗装
キュービクル外部のみの再塗装は、点検した結果、サビをはじめとした金属の劣化が内部にまで到達していない場合に行われます。
表面のみの施工となるため、費用は比較的おさえやすく、短期間で終了します。
キュービクルの外部のみを再塗装する場合に注意点は、点検で「内側に再塗装するほどの問題はない」と診断されても、外部の塗装後に内部の劣化が進行するリスクがあること。
塗装に浮きや剥がれがない場合でも、匣体を構築する金属の内側で腐食が進行している可能性を考慮しておきましょう。
種類2.キュービクルの内部・外部を塗装
キュービクルの内部・外部を同時に再塗装する方法は、再塗装のスケジューリングが容易なのがメリットです。
塗料の耐用年数を同時に迎えるため、次の再塗装も内部と外部にで時期を分ける必要がありません。
一方で、キュービクルの外部のみを塗装した場合と比較して、1回あたりの施工にかかるコストは高くなりがちなのがネック。
しかし、内部と外部を別々に再塗装したときの総費用と比較すると、トータル的な金額は安くなります。
キュービクル塗装の3ステップとは?
キュービクルを再塗装する際は、以下の3ステップで施工するのが一般的です。
各工程を具体的に解説します。
ステップ1.キュービクルのサビ取り
サビの進行を食い止めて、適切に処理するために、古い塗装やサビを落とす工程です。
サンドペーパーや電動工具などを使用して、下処理を行います。
キュービクルの金属面の深いところにまでサビの腐食が進んでいた場合は、サビを削ったあとにパテで表面を形成する作業が必要です。
そのため、サビの浸食が深刻な場合は、塗装までの工期が長引く可能性も。
しかし、サビが十分除去できていなければ、再塗装しても短期間で塗装に浮きや剥がれが生じてしまいます。
サビが残っていると、内側から浸食が進んでしまうためです。
キュービクルを再塗装する際の下処理は、再塗装後の状態を長期間持続させるために必要な作業なため、丁寧に施工してもらうと安心でしょう。
ステップ2.錆止め塗装でキュービクルの下塗り
サビ取り後は、下塗りとして、錆止め塗装を施します。
錆止め塗装によって、キュービクルの匤体にサビが再発するリスクを軽減。
上塗りした塗料の耐久性も高まるため、長期的な観点で考えると、キュービクルを再塗装する回数が減少します。
そのため、キュービクルの再塗装にかかるコスト軽減へとつながり、コア業務の遂行に必要な機器や設備などへの投資額の増加にも期待できるでしょう。
ステップ3.高耐久塗料でキュービクルを塗装
錆止め塗装後は、仕上げ塗装を行います。
仕上げ塗装では、高耐久塗料を使用するのが一般的。
耐久性に優れた塗料を使用することで、紫外線・雨水などのダメージから金属を保護するのです。
塗りの回数は、使用する塗料によって異なりますが、2回塗りの塗料がほとんどです。
なお、見積書に塗りの回数を記載しない業者だった場合は、見積書の再作成を依頼して塗り回数を確認すると安心です。
キュービクルの再塗装業者を選ぶときの2つのポイントとは?
キュービクルの再塗装にかかる費用は決して安くはありません。
そのため、信頼できる業者を選ぶのが大切です。
キュービクルの塗装業者選びのポイントを解説します。
ポイント1.キュービクル再塗装の業者は対応が丁寧か
問い合わせの電話やメールの対応が丁寧かどうかは、業者を選ぶときの大きなポイントです。
対応が丁寧であれば、依頼する側の希望を伝えやすい上に、詳細な見積書にも期待できます。
同時に、対応が丁寧であれば、社員教育が行き届いている証拠でもあります。
塗装に訪れた業者スタッフの丁寧な接客対応にも期待できるでしょう。
ポイント2.実績豊富なキュービクル塗装会社か
塗装作業は経験が多いほど迅速かつ手寧な作業が可能になります。
そのため、塗装業者選びには実績を確認する作業は必須。
業者の実績は、公式サイトやSNSで確認できる場合が多いため、業者を比較するときの判断材料として活用しましょう。
キュービクルの塗装によくある質問
本章では、キュービクル塗装によくある、3つの質問にお答えします。
キュービクルの再塗装を検討するときにお役立てください。
質問1.キュービクル塗装の耐用年数は?
キュービクル塗装の耐用年数は、5~8年です。
使用する塗料の種類や、周囲の環境によって異なるため、詳細は依頼する業者に確認しましょう。
なお、海が近くにある場合は、潮風の影響を受けて塗装の腐食進行ペースが早まることもあります。
海が近い場合は、海水耐性がある塗料を扱っている業者を選ぶ、取り寄せてもらうなどしてもらうとよいでしょう。
質問2.キュービクルに使う塗料の種類は?
キュービクルの塗装に使用される塗料は、大きく分けて、下塗り(錆止め)用と仕上げ塗装用の2種類です。
塗料それぞれの詳細は以下の通り。
- 下塗り用塗料:油性・合成樹脂・フェノール樹脂・エポキシ樹脂などがある。一般的に使用されるのはエポキシ樹脂系の塗料。エポキシ樹脂は、密着性が高く、防食性や接着性に優れているのが特徴。
- 仕上げ用塗料:シリコン・フッ素などがある。耐久性が高いのはフッ素系塗料。フッ素系塗料は汚れを弾きやすく酸性雨に強い上に、汚れが滑り落ちやすく紫外線に強いのが特徴。紫外線の影響も受けにくく、15~20年と高耐久に期待できる。
塗料は塗装業者の見積もりで確認できますが、中には見積書に記載していないケースがあります。
そのときは、業者への問い合わせや見積書の再作成を依頼して確認するといいでしょう。
なお、塗料は耐久性が高いほどに価格も高くなる傾向があり、業者によって使用される製品が異なります。
価格を比較する際は、価格を期待耐久年数で割って、1年あたりのコストを割り出すとわかりやすいでしょう。
種類3.キュービクル塗装にかかる費用はいくら?
キュービクルの塗装にかかる費用に、明確な目安はありません。
キュービクルのサビの状態や再塗装が必要な範囲、使用する塗料によって差が生じるためです。
たとえば、サビの状態がひどく、匣体の金属を削ってパテで埋める作業が必要であれば総費用は高くなります。
一方で、古い塗料を剥がして塗りなおすだけであれば、比較的低コストでの施工が可能になります。
塗料については前述した通り、1年あたりのコストを算出して比較しながら、コストと耐久年数のバランスがいいものを選ぶといいでしょう。
キュービクルの安全は塗装&定期メンテナンスで守る
本記事では、キュービクルの塗装がいかに重要かをお伝えしました。
キュービクルは、高圧電力の使用に不可欠な存在であり、安全を確保するには定期的なメンテナンスが必要です。
当メディアを運営する株式会社ギアミクスでは、キュービクルの保守点検をはじめとして、様々なサービスを提供しております。
キュービクルに関することでお悩みの際は、ぜひ当社にご相談ください。