キュービクル式高圧受電設備は、高圧の電気を受電するために必要な機器です。
オフィスや店舗など、小中規模施設の変電設備として、様々なメーカーから販売されています。
しかし中には、どのキュービクル式高圧受電設備を設置すべきなのかでお悩みの方がいるのではないでしょうか。
本記事では、キュービクルの基礎知識とともに、キュービクルの選び方について解説します。
メンテナンス会社の選び方についても解説しますので、あわせて参考になさってください。
目次
【基礎知識】キュービクルとは?
キュービクル選びに基礎知識は必須です。
目的や種類がわからなければ、設置すべきキュービクルをどれにすべきかの判断は困難でしょう。
本章では、キュービクルの目的や種類について解説します。
キュービクルは高圧電力の変圧が目的
キュービクルは、高圧で受電した電気を、低圧電力へと変換するのが目的の機器です。
高圧電力は低圧電力と比較して安いのがメリットで、多くの電気を利用する施設では、電気料金の低コスト化を図るために設置します。
かつては変電室を建物内に設置する方法が主流でしたが、キュービクルのほうが設置期間が短く、安全性・メンテナンス性に優れるため現在では主流となっています。
300kVA未満はPF・S型のキュービクルを使用
PF・S型のキュービクルは、保護装置に高圧ヒューズと高圧負荷開閉器を使用しているのが特徴です。
電気容量に300kVAと制限があるものの、設置コスト・面積を節約できるメリットがあります。
ショートをはじめとした事故発生時には、ヒューズが溶断して回路を遮断する仕組みです。
そのため、事故発生後はヒューズの交換が必須。
PF・S型のキュービクルを検討する際は、ヒューズの価格も含めたランニングコストを算出しておきましょう。
300kVA以上はCB型のキュービクルを使用
CB型のキュービクルは、真空遮断器やガス遮断器などの高圧遮断機が保護装置になっているのが特徴です。
PF・S型と比較すると設置費用が高いものの、電気容量に制限がありません。
ショート発生時には遮断機によって電流が止まるため、事故発生後にヒューズ交換は不要。
なお、4,000kVAまでであればJIS規格準拠となり、4,000kVA以上ではJIS規格外に分類されます。
キュービクルの性能はメーカーによる違いはわずか
キュービクルは、メーカーによって内部の配置や細かい規定が異なる場合がありますが、性能に関しては大きな差はありません。
ただし、同じ容量のキュービクルでも、本体の大きさが異なるケースがある点に注意。
2面体・3面体など、キュービクルの形状がメーカーによってそれぞれなためです。
キュービクルを選ぶときは、性能よりも、設置場所に合った大きさかどうかに重点を置くべきでしょう。
【新設】キュービクルを選ぶ2つのポイント
新規にキュービクルを設置する場合、選ぶポイントは以下の2つです。
さっそく詳しく解説します。
ポイント1.設備容量が適正なキュービクルか
キュービクルを選ぶときは、トランスの容量決定が必要です。
トランスの容量がどれくらい必要かについては、過去1年間の電気使用量があれば計算できます。
トランスの容量は少ないのはもちろん、多すぎる状態でもよくありません。
キュービクルを設置する際に、業者と相談しながら適切な容量を選びましょう。
なお、トランス容量の計算方法については「キュービクル(トランス)の容量選定とは?計算方法や性能を解説」をご覧ください。
ポイント2.設置場所にあったサイズのキュービクルか
キュービクル本体の大きさとトランス容量の大きさは比例します。
つまり、使用電気量に対して設置場所が狭い場合、スペース不足により設置が困難ということ。
そのため、キュービクルを設置するスペースは大きめにしておくのがポイントです。
キュービクルの設置スペースに余裕があれば、将来的に使用電気量が増えた場合も、より大きいキュービクルへと変更が可能です。
【交換】キュービクルを選ぶ3つのポイント
キュービクルを交換する際は、以下3つのポイントが大切です。
各項目について、詳しく解説します。
ポイント1.キュービクル交換の理由を明確化
キュービクルの交換には、以下のような理由が想定できます。
- 設備の耐用年数が近い
- 使用感に何か問題がある
設備の耐用年数が近い場合は、すでに理由が明確ですので、大きな問題はありません。
しかし、使用感に問題を感じる場合は「キュービクルの交換によって、どんな問題をどのように改善したいのか」を明確化し、業者に内容を伝えましょう。
なぜなら、現在感じている問題が、キュービクルの交換ではなく修理で済む可能性があるためです。
キュービクルの交換と修理では、必要な期間はもとより、必要なコストにも大きな差が生じます。
交換の必要性を感じた理由を明確化し、業者も交えて「本当に交換が必要か」について検討しましょう。
ポイント2.既存キュービクルのサイズと設置場所を確認
既存のキュービクルのサイズと設置場所は、新たなキュービクル選びの大きなヒントです。
設置できるキュービクルのサイズを具体化できます。
同時に、水害や雪害などの自然災害の影響がないかについても確認しておいてください。
日本の災害の多さについては「非常用発電機の利用可能な補助金を紹介!令和3-4年度・5年度の情報も」で詳しく解説していますが、世界的に見ても多いことがわかっています。
キュービクルは電気設備の要とも言える存在ですので、災害による影響がないかについて確認し、必要時は設置場所の再検討を行いましょう。
ポイント3.電気使用量にそったキュービクルか
キュービクルを交換する際は、電気使用量を再度確認する作業が大切です。
電気使用量に適しているトランス容量のキュービクルは、電気費用の低コスト化に直結します。
しかし中には、使用電気量を十分に確認せずにキュービクルを交換し、ランニングコストが高くついてしまうケースがあるのも事実。
「電気使用量はキュービクル新設時にシミュレーションしたから大丈夫」と考えず、電気使用量の現状把握に努めましょう。
【保守点検・メンテナンス】依頼会社を選ぶ3つのポイント
キュービクルは、電気主任技術者による定期的な保安点検の実施が「電気事業法」によって定められています。
しかし、電気主任技術者の雇用が困難な企業が多く、外部委託承認制度によって外注しているケースが多いのが現状です。
そのため、キュービクルの設置には、保守点検・メンテナンスを依頼する業者が必須。
本章では、キュービクルの保守点検・メンテナンス先の選び方について解説します。
ポイント1.キュービクル会社の対応地域か
キュービクルのメンテナンス先を探すときに、最初に確認すべきなのが対応地域です。
対応地域外の業者を選ぶと、いくらメンテナンス費用が安くても、交通費が必要になる場合があるうえに緊急的な対応も困難でしょう。
全国規模の業者を選ぶ場合は、どのような形態で営業しているのかについても確認しておきましょう。
全国規模の業者は、支店に修理対応できる人員を常駐させている場合と、現地の契約先から直接修理に向かわせる場合があります。
いずれにしても、重要視すべきは到着までの時間。
電気設備が使えない時間が長いほど、業務を中断する時間が長く、機会損失につながるリスクが想定できます。
キュービクルのメンテナンス業者選びは、スピーディな対応が可能かどうかがポイントです。
ポイント2.キュービクル会社に十分な経験があるか
キュービクルに対する知識と経験が豊富なほど、適切な対応を短時間で可能です。
キュービクルの点検・部品交換作業などの際は、必要に応じて電気機器の使用が制限される場合があります。
しかし、作業が短時間で済めば、電気機器の使用制限時間を短くできるでしょう。
そのため、キュービクルのメンテナンス業者を選ぶときは、必ず施工実績を確認するのが大切です。
メンテナンス業者がSNSによる情報発信を行っている場合は、そちらもあわせてチェックします。
SNSに掲載される情報からは、キュービクルのメンテナンスについての実績がリアルタイムで把握できるほか、施工の様子が映りこんでいて実力確認できるケースもあります。
ポイント3.キュービクル会社の特徴を把握
キュービクルのメンテナンス業者を選ぶときは、キュービクル以外の事業内容もチェックするのがポイントです。
たとえばキュービクル関連のほか、ビルの外壁調査事業やメンテナンス事業を展開している業者の場合です。
キュービクル関連だけでなく、ビルメンテナンスに関する内容を全て依頼できれば、緊急時の連絡先が一本化できて効率的です。
キュービクルやメンテナンスに関する内容を、1社に任せる利点はそれだけではありません。
業者が建物について詳しくなるため、機器の故障や外壁破損などが発生したときに、原因の特定がしやすくなります。
素早い原因特定は、工事期間の短縮ができ、より低コストでの修理にも期待できるでしょう。
キュービクルのメンテナンスを依頼する際は、業者が扱う事業をチェックし、将来的に総合的な仕事を任せられるかを確認するのが大切です。
キュービクルについてお悩みの方へ
本記事では、新設・交換・メンテナンスと目的ごとの業者選びのポイントをお伝えしました。
キュービクルのメーカーについて、もっと詳しく知りたい方は「【キュービクルメーカー15社比較】各メーカーの特徴と違いを解説」をご覧ください。
キュービクルのほか、ビルの総合的なメンテナンスが可能な業者に興味がある方は、ギアミクスのホームページをご覧ください。
ギアミクスでは、外壁調査・ビルメンテナンス・衛生環境事業などを提供しております。
キュービクルについての実績も豊富にございますので、お悩みの際はお気軽にご相談ください。